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ひょっこり猫が我が道を行く!

カオスなオリジナル小説が増殖中。
雪ウサギが活躍しつつある、ファンタジー色は濃い目。亀スピードで更新中です。

007 体の触れ合い、心の触れ合い(2)

2012年07月22日 15時03分53秒 | 小説作業編集用カテゴリ

「ニャオォォォ・・・やわらかいマシュマロが六つも押し迫って来るぅ・・・もう食べれませぇん。勘弁してぇぇ・・・」 
「リオちゃん、大丈夫?」

 お風呂でのぼせた私は、柔らかいタオルを下に敷いて熱を冷まして貰っていた。
 髪をタオルで纏め上げたサラちゃんが、タオルでパタパタと仰いでくれている。精霊さんに着ていた服を洗って貰って、もこもこした白いルームウェアを借りて着ていた。

「リオ、お水持って来たけど飲めるかい?」
「ブフォッ!」

 エレン姉さまは白いカッターシャツに、ズボンをはいていた。でもサイズが合わないのか、胸元のボタンは開けられ中から黒いブラが見える。ズボンのボタンもちゃんと留めていないから、おへそがチラ見えして・・・
 
「リオ?」
「・・・エレン姉さま、凄すぎますぅ」

 コップに注いだ水を屈み込んで持ってくれているので、胸の谷間がくっきり全開だ! 美人な上に強くてナイスバディ・・・神は三物を与え給うたのか。自分のペタンコな白い胸を睨み付けて、深く溜息を吐きたくなった。

「リオちゃん、気がつきましたか?」
「モニカちゃん、ゴメンネ。心配かけちゃった・・・」

 光沢のある、滑らかなピンク色のネグリジェを着たお姫様改め、モニカちゃん。半生乾きのブロンドの髪を下ろして、心配そうにタオルで私の体を拭いてくれている。決して風邪を引かせない様に、優しく水気を拭き取ってくれた。 

「あっ、そう言えばここは?」

 貰った水をゆっくり飲み、周りをキョロキョロと眺める。
 十畳はある部屋の床には赤い絨毯を敷き、洋服ダンスに複数のベッド、四人位座れる丸いテーブルセット、姿見の鏡などが置かれていた。

「私達は先に休める様に、部屋へと案内して貰ったんだよ。ユリアンとトーマスの二人が、入れ替わりにさっきの大浴場にでも行ってるってわけさ」
「ホォォ・・・」

 ロマサガ3で言えば、きっとお風呂イベントに違いない。
 もしかして神様が・・・いや、違った。エリーちゃんが用意してくれたサプライズかもしれん!! どっちにしろこんな貴重なイベントに、自分は気を失っていたなんてとんでもない馬鹿な猫だ。

「リオが目を覚ました事だし、先に夜食を頂いちゃおうか?」
「えっ、ユリアン達を待たなくて良いの?」
「実は、二部屋も用意して貰ってさぁ。向こうは向こうで食べようかって言ってたんだよ」

 悔しげに短い足で地団太を踏んでいると、エレン姉さまが私を抱き上げてくれた。丸いテーブルの上に近付き、椅子の上に下ろされる。傍にある呼び鈴を鳴らすと、ドアの外からノックの音が聴こえた。

「軽食ですがどうぞ」
 
 茶色の髪をした女の人がワゴンを押して、部屋に入って来た。見掛けは普通の人間にしか見えないけど、この人もレオニードさんが使役する精霊さんだ。
 アビスの影響を受けて、自らの魅力を武器にして戦いを挑んでくる妖精さんもいる。彼女らの正気を取り戻す為にも、早く“アビスゲート”を閉じなくちゃね。並大抵の鍛錬じゃ、まだまだ私には無理だけど。

「ニャ、美味しそう・・・イタダキマウス!!」
「リオちゃん可愛い! 私もイタダキマウス!」
「い、いただきマウス・・・は、初めて言いました」
「プッ、猫が“マウス”って・・・。リオ、よく噛んで食べなよ。口の周りにマヨネーズがいっぱい付いてるよ」

 大皿の上には美味しそうなサンドウィッチと、から揚げにフライドポテト。
 ジュースが入ったグラスもそれぞれ用意してくれてある。サラちゃんに食べ物をそれぞれ小皿に取り分けて貰い、皆で手を合わせて食べ切った。

 *****
 
 けたたましい嘲笑いが、レオニード城の怖さを引き立たせる。
 柳に似た大木は風に靡き、吹雪いた白い世界は人間を迷わせる。
 寒さに強い狼の遠吠えと、蝙蝠の鳴き声をBGMにして一夜が過ぎた。

「ニャオオ・・・今日はあんまん、明日は肉まん、あさってはピザまん・・・ノォォ」 

 肉まん達がせめぎ合って、押し寄せてくる夢を見た。
 息苦しくて目を開けると、モニカちゃんとサラちゃんの間に挟まれていた。彼女達が同じベッドで眠っているのを不思議に思い、起き上がると・・・

「ニャ?」
 
 目を凝らして見ると、同じベッドにエレン姉さまも座って熟睡していた。この部屋にはベッドが四つもあるから、皆はそれぞれの場所で眠っていた筈なのに。いつの間にか逆ハーレム状態になっていた。
 私が男なら、きっと鼻血を出して地に伏すに違いない。少しばかりニヤけていると、外を繋ぐドアの向こう側からノックの音が聞こえた。

「おーーい、もうそろそろ起きろよ。早く飯食べて、レオニード伯爵の所へ行かなきゃならないんだから!」
 ユリアンからの連絡を聞き、急いで皆を起こす事に。用意してくれた朝食を急いで食べて、皆でレオニードさんの所へ移動した。 

 窓から朝日が拝めるだろうと言う予想を、大いに覆してくれた摩訶不思議なこのお城。
 どうして入り口と反対の方向には、いつも稲光が出てるのか。
 晴天を覆い隠す様に、暗雲が流れているのか。レオニード城の七不思議に、リストアップする事を自分で決定した。

「おはよう、昨日はよく眠れたかな? 」
「おはようございます。レオニード様のご意向で、昨日はよく眠れました」
「そうか、それは良かった。実はミカエル侯からの伝書によると、まだ反乱を鎮圧していないみたいだ。
暇潰しとまでは言わないが、この近くにある洞窟に行ってみたらどうかな?」
「洞窟ですか?」

 ここから少し離れた場所にある洞窟は、初心者の冒険者にはうってつけらしい。序盤での武器・防具やらが手に入るみたいだからどうかと、勧めてくれた。
 通過儀礼みたいなもんだ。このイベントをクリアしないと、ミカエルさんが反乱を鎮圧する事件がいつまで経っても終わらない。ここで断る理由も無く、一同はポドールイにある洞窟を目指す事にした。



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