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ひょっこり猫が我が道を行く!

カオスなオリジナル小説が増殖中。
雪ウサギが活躍しつつある、ファンタジー色は濃い目。亀スピードで更新中です。

リオとガウラの聖なる夜 番外編

2009年12月25日 10時31分17秒 | 小説作業編集用カテゴリ
 
 本編 白呪記

 リオとガウラの聖なる夜 (番外編)


 12月24日――クリスマスの前夜祭。
 巷ではイブの日だ。そこもかしこも、パートナーと一緒に過ごす大切な日。
 特に私は何もしなかったけど、二人のお兄ちゃんを含め、五人家族揃っては美味しい物を食べてたと記憶してる。

「ニャアアア・・・(もうそんな季節かなぁ)」

 魔族の世界、デルモントに雪が舞い落ちる。
 気温がいつもよりグッと下がって、自分の毛むくじゃらの手足がかじかむ。
 口から白い吐息がハッキリと見えた時、ガウラに抱き上げられた。

「雪を眺めるのも良いが、風邪を引く。城の中からも見れるし、中へ入ろう」
「ニャッ、ニャアッ(うんっ)」

 灰色の飛竜(ロドス)さんに頼んで、城の入口まで運んで貰う。
 さっきまで、ペンギン三兄弟と駆けっこして遊んでたんだ。
 長男のマルルさんには電光石火を特技にしてるだけ、猫の私は一回も勝てた事は無い。
 二男のコパパさんと三男のモモチさんにはなんとか勝てても、たまに彼等は腹で滑る時がある。汚い反則技にムシャクシャしてると、ガウラがツララを出して彼等をいびってくれた。

「ニャ!(しまった!)」
「どうした? リオ」
 
 クリスマスを連想する物――御馳走、サンタ、プレゼントじゃないかっ。私とした事が、ガウラへの贈り物の事を考えた事なんか無いっ!! 誕生日だって、ん? ・・・ガ、ガウラの誕生日も知らないじゃないかっ。これはぜひ訊かねばっ!

「ニャアアッ(ガウラッ、誕生日はいつ?)」
「リオ? どうしたんだ、いきなり――」
 
 頬ずりしていたガウラが、私の言動を聞いて動きを止める。少しうろたえ、視線が定まらない。・・・えっと、そんな変な事訊いたかなぁ??
 
「・・・」
「ニャオオッ(ガウラの誕生日を知らないと、贈り物もあげれないでしょ? だから、いつ頃かなーーって・・・)」
「すまない。誕生日は忘れてしまったんだ」 

 ホワイッ?? 忘れたとな? 
 ガウラは、私とそんなに年が離れてない筈だ。
 自分の両親がもし居なくても、カイナの群れに居た大人達から話を訊けば、どの季節に産まれたかくらい分かるはずなのに。

「ニャアアッ(春とか、夏とかは・・・? お祝いみたいなのは、カイナの中でしなかったの?)」
「多分、夏頃だったと思うが。誕生日とやらは、キリがないからしていない。かれこれ、百五十年は生きてるからな」

 ニャンとっ!

「リオには言ってなかったな。オレ達カイナは、長寿だ。千年は余裕で生きれる」
「ニャアアッ(えぇぇっ! じゃあ、ガウラって百五十歳なの・・・?)」

 じじいじゃないかっ!

「ニャガッ(あだっ、)」
 
 軽くゲンコツされた。
 ガウラの眉間にしわが寄って、不服そうに顔を顰(しか)めている。

「こら、リオ。声が聴こえたぞ。
 カイナの中での百五十年は、人間の十五歳に相当するんだ。オレはフリージア達と同い年なんだからな。間違ってもじじいじゃないぞ」
「ニャオォォン・・・(そ、そうだったんだ。ゴメンネ、ガウラ)」
「その証拠に、人間姿のオレは近衛騎士のイールヴァやライウッドとそんな変わらないだろ。若い証拠だ」
 
 確かに、ガウラの姿はじじい・・・とは無縁の若い青年の姿。髪の毛も、肌も、白髪やしわくちゃとは程遠い。
 現代世界では鶴は千年、亀は万年と諺(ことわざ)があるけど、千年もの月日を生きるなんて仙人じゃなきゃ絶対無理だ。

「リオ、この窓のくぼみからなら雪が見えるぞ」
「ニャ!(うんっ)」
 
 窓枠まで二人移動して、そこから眺める。
 実際にはガラスなんて取り付けられてないのに、外からの冷気は入ってこない。
 ガウラが近くにあった椅子を移動させて、膝の上に乗せて貰う。それから一緒に雪を堪能した。

「ニャアアッ(さっきの話なんだけど。お祝いの時はどんなモノ貰ってたの?)」
「オレが小さい時だったからな。皆からは沢山の獲物をドッサリ貰った。獲物は自分で捕らなきゃならないんだが、この日の時だけはてんこ盛りになるぐらいだった」

 ガウラの小さい時・・・百五十年で人間で言う十五歳。百年で十歳。三十年で・・・三歳?

「ニャオオオォォン!!(カイナは凄いなぁ)」
 
 ガウラはこれから、きっと千年は余裕で生きる。その時、私がそこに居ない事は少し寂しい――でも、猫の姿で千年や万年生きるとなるとキッツイしなぁ・・・神の使いでありながらヨボヨボの妖怪みたいな格好なんて、女として正直イヤだ。 

「ニャアアアッ(まっ、ガウラは頑張ってねッ)」
「・・・」
 
 平凡&小さい脳みそで考えた末の答えは、ガウラへの励ましの言葉だった。
 彼は少しの間沈黙した後、良い案が閃いたと私に切り返す。

「白精霊のパンナロットに頼んだら、リオもオレと同じ長寿になるんじゃないか――?」
「ニャニャニャッ!? (ハァ――――???)」
「パンナロットは、きっとリオを気に入る。そうすればオレの願いは快く受け入れてくれるだろ?」

 ガウラッ、私に猫の姿で千年生きろってか! 悪けりゃ、羞恥プレイじゃないかっ。
 腕の袖に噛んで、爪を立ててやった。
 頭を撫でられ、やっと馬鹿な事を言わなくなったと体の力を抜いて油断してたら、ガウラの顔の位置の高さまで掲げられた。至近距離な上に、真剣な表情をするもんだから身構えてゴクリと唾を飲み込んだ。
 彼の決意に満ちた琥珀色の瞳が、私の姿を捉えて離さない。

「オレの願いは、リオとずっと一緒に居る事だ。気にするな。他の誰がヨボヨボと罵っても、オレだけはリオの傍に居る!」
「フギャアアアアーーッ(誰がヨボヨボなのっ! ガウラのバカーーーッ!!!!)」

 意気込んだKY(空気読めない)ガウラは、今度の祭りで白精霊とやらに訊いてみるそうだ。本当に言いそうだから、始末に負えない・・・一緒に居たい気持ちは分かるんだけどね。
 デルモントでのホワイトクリスマス・・・来年(?)もガウラと過ごせますように・・・後は何が残ってるかな? と考えを張り巡らすと、良い子には必要なアレ! アレを置かねばっ。

「ニャアアアッッ(ガウラッ、塩王子にくつ下貰いに行こうよっ)」
「くつした??」
「ニャアア(きっと、サンタさんがプレゼントを入れてくれるハズッ。ねっ、行こう)」

 毛むくじゃらの両手を合わせておねだりする。こうすれば、ガウラは私のお願いを聞いてくれるのだ。
 自分の部屋で魔法書を読んでいた塩王子。何をするのかと訊かれれば、子供には必要な行事だと説明してやる。眉間にしわを寄せた塩王子に、やっとくつ下を貰った。準備は万端。さぁ、寝るぞ・・・

「ニャアアァァ(おとうさん・・・おかあさん・・・陽兄ぃ、太一兄ぃ・・・ガウラァ・・・)」
「・・・さっき言った言葉は、嘘じゃ無い。オレは、一生をリオと添い遂げてみせる」

 
****

 次の日目を覚ました私達のベッドの上には、くつ下には入りきらない位の花やお菓子、色取り取りの鉱物が所狭しと置かれていた。昨日、塩王子から話を聞いた熊魔王さんが、私達にプレゼントを贈ってくれたらしい。感謝のお礼を述べて、ガウラと二人でプレゼントを開けてみた。

「こっ、これは・・・!」
「ニャ??(ん?)」

 オモチャの猫じゃらしをガウラに与えて、よがり狂う私に、彼はとてもお気に召したらしい。猫じゃらしが壊れるまで、暫くはずっと遊んでいた私達だった―― 



 <クリスマス番外編 (終)>


 ※後書き※

 クリスマス番外編を思い付き、急いで書き上げました。
 ラクガキから始まる小説も、ありですねっ。想像力が膨らみます。

<バイオ3 獣記> 02 ショッピングセンター 認知

2009年10月31日 17時53分21秒 | 小説作業編集用カテゴリ
※この作品は、プレステ版“バイオハザード3 ラストエスケープ”を下敷きとした、
 ファンフィクションです。残虐な表現が入っています。苦手な人は読まないで下さい。
 
 今までの登場人物
 全ての物語の主人公であり、白い猫 リオ
 金髪の女の子 ジュリエーヌ(通称 ジュリ)
 ジュリの母親 チェリベッサ(通称 チェリお母さん)


<バイオ3 獣記> 02 ショッピングセンター 認知

 
「怖いよぉ・・・お母さん」
「大丈夫よ。ここなら安全だからね。
 ほら、リオちゃんも居るんだから、彼女を不安にさせちゃ駄目よ」
「ニャ!!(大丈夫だよ!!)」
 怯えたジュリが、震えながら私の白い体を抱き寄せる。
 私の勇ましい返事を聞き、親子二人の顔に生気が戻った。
 
 狂った人物達により、チャラけた青年が外側で食されてから一時間程が経ったと思う。
 センサーの反応しない自動扉から離れた私達は、一階のアトラクション広場に
 集まり、各々長椅子に座り出した。
 観賞用の植物、広々とした舞台、照明器具が幾つか設置され、ここで何かの催しが
 出来る様になっている。色取り取りの風船が、直ぐにでも子供達に手渡せる様に
 作られ、傍にある無人機械からはポップコーンの香ばしい匂いが漂っていた。

「ここに居れば安全だ。静かに救助を待とう!」 
「そ、そうよね。あいつらの居る外に出るなんて、私は御免だわ」
 黒髪のひょろひょろしたオタク風青年と、メガネを掛けたインテリスーツの女性が
 喋り出す。
 
 先程の事件により、センター内の客達は一か所に集まる者で溢れ返っていた。
 ここに居れば、外界との接触は無いと問答が繰り返される。しかし・・・

「な、なあ。この事、テレビで報道されてないのかよ? 本当なら、スクープもんだろ。
 ほら、ルーリア。熱いから気をつけろ」
「あ、ありがとう・・・ダイン」
「あ、ああ。人間が人間を食べるなんて、ホラー映画じゃあるまいし、狂ってるとしか
 思えねえもんな。俺にまで噛み付いてきやがるし・・・クソッ、ツイてねぇ!!」

 黒革のジャケットを着た、赤茶色の髪の青年が自販機から歩いて来る。
 手に持つ紙コップを、傍らに居る彼女らしき人に渡し、飲むように勧めていた。
 右腕を怪我した中年男性は、血が止まらないと悪態を吐き片手で腕を押さえている。
 ひじ辺りの噛み付かれた部分は血管が浮き出て、既に変色が始まっていた。

「ニャ、ニャアアッ!!(このおっさん、ゾンビに噛まれてるっ)」
「リオちゃん?」
 おっさんから離れろと、ジュリとチェリお母さんの服を軽くかじり引っ張る。
 二人は不審に思いながら、私の必死の動作を見て中年男性から距離を取ってくれた。

 
 



 ――ショッピングセンター 2階 電化製品売り場――


 外の様子がどうなってるか気になるので、私を入れた八人は電化製品売り場までエスカ
 レーターで移動する。残った他の客達は、アトラクション広場で待ってるとの事。
 
 二階に着くとオーブントースターや冷蔵庫、ドライヤーや扇風機などが沢山売られていた。
 テレビが沢山置かれている場所に来て、一同は画面に釘付けになる。
 ニュースが流れているプラズマテレビの大型画面では、凄惨な光景が映し出されていた。


 ザーーッ 

『ラクーンシティの大通り、中継繋がってますか?
 リポーターは私、デリシア・アンドラーです! 今、町中は大変恐ろしい事態となっています。
 死人が町を徘徊し、生きた人間の血肉を求めて襲いかかろうとしています!!』
『オオオオ・・・・』
『ギャアアッ』
『アアアア・・・』
『やめっ、ギャアーーー!!』

 グチャッ、グチャッ、ペチャッ

『うぐっ、惨いです・・・! 死人はゾンビと化し、蟻の様に生者に群がります。
 この悪夢を終わらせる事など、誰が出来ましょう?  あっ、見て下さい!! 
 サイレンを鳴らして、数台のパトカーがこの惨事を治めるかの様に、集まって来ました。
 警官達が銃を取り出し、応戦しています!!』


 バンバンッ、バンッ、バンッ


『どんなに撃ってもモノともしません! 痛覚もないのでしょう。立ち止まる事はあっても、
 倒れる迄には至りません!!・・・えっ、本当ですか。あ、すみません。今、緊急の情報が
 テレビ局本部から入って来ました。
 なんと、大企業の“アンブレラ”から、増援部隊がラクーンへ送られるようです! 
 さすが、我らの救い主。彼等が来るまで、持ちこたえてくれれば良いのですが・・・』

 ブツッッ

「なっ、何で消えるんだよ!」 
「あのアンブレラが・・・? 何を考えてるのか知らないけど、助けてくれるなら誰でもいいわ」  
 腕から血を流しながら、テレビを激しく揺する中年男性。
 インテリ眼鏡のスーツを着たお姉さんは、“アンブレラ”と口にし、救援の情報を聞いて
 安心している。

「自動扉も開かないし、救助が来るまでじっとするしかないのか」
「おい、ちょっと待てよ。何で扉が開かなくなったんだ? 人間に反応して開くはずだろう。
 不良のガキは扉の中に入ってこれなかったのに、あんたは難なく外から入って来たじゃねえか。
 一体どこで誰が操作してるのか、調べる必要があるんじゃないか?」

 オタク風青年が喋り、ダインと呼ばれた男性は彼女を抱き寄せながら疑問を口にした。
 彼の言う通り、私達の他にも人間が居るのなら、見つけて少しでも沢山の情報を手に入れ
 なければならない。しかも、ショッピングセンターの出入り口は一つだけではない筈だ。
 それらを頭に入れた上で、外へと繋がる扉の鍵を全て閉めないと完全に安全とは言えない。

「まず、このショッピングセンターの制御室へ行かないと駄目だな」
「二手に別れるか。よし、俺とルーリア、そこの親子二人の四人。
 そっちはひょろ男とおっさん、メガネの女と・・・」
 チラリと視線を向けられる。
 えっ、どこを見てるのかって言うと・・・私かよっ!

「白い猫を入れた四人な」
「ちょっ、ちょっと。私をこっちに入れるの? オタクと怪我したおっさんと、ただの猫がいるだけじゃないよっ」
「ちょっ、オタクって。僕はロイムだ」
「俺はバッカスってんだ。怪我はしょうがないだろうが」
「フ、フウウウーー!!(ただの猫だとーーー!!)」
 馬鹿にされて、憤る。
 見た目は確かに猫だけど、多分あんたらよりは生存の確率は高いんだからね!!
 なんたって、作者のラクトからのお墨付きだし、物語の主人公なんだからっ。
 毛を逆立て目付きを鋭くして唸っていると、上から手が伸びて来た。

「分かったよ。じゃあ、俺達は三階を回ってみるから、あんた達はこの二階と、もう一度一階を見て
 回ってくれ」
「・・・私の名前はエミリアよ。はぁ、しょうがないわね。さっ、早く行きましょ」
「まっ、待ってよ」
 腕を怪我したバッカスさんが、私を抱き上げ腕に寄せる。
 インテリ眼鏡の女の人、エミリアさんは落ち着きながら歩き、オタクのロイムが地面にコケながら、
 後ろから慌ただしく付いて来た。 

「あっ、リオちゃん!!」
「気を付けてね。絶対に生き残るのよ!」
 ジュリとチェリお母さんが、心配そうに私を見てくる。
 ゾンビ化決定のバッカスさんに、腕に抱き寄せられ顔を蒼白くするが――
 心配無用と、勇ましく鳴いてみた。

「ニャ、ニャオオオオッ(ジュリ、チェリお母さんも、心配しないで。私、頑張るよっ!!)」
「白い猫が居れば、幸運があるかもしれないだろ。リオだったな? お前頑張れよ」
「そうね。ちょっと都合が良すぎる感じかもしれないけど・・・白い猫が居れば何とかなるかしら」
「期待出来るんですかね? こいつ・・・」
 勝手に連れてきといて、低い評価ばっかしかいっ!
 御利益と言われ、背中や喉をこれでもかと三人に撫でられる。
 私を入れた四人は三階へと、中央にあるエスカレーターで移動した。



<バイオ3 獣記>01 ショッピングセンター

2009年10月25日 21時51分46秒 | 小説作業編集用カテゴリ
 バイオ3 獣記の始まりについて 


※この作品は、プレステ版“バイオハザード3 ラストエスケープ”を下敷きとした、
 ファンフィクションです。残虐な表現が入ってます。苦手な人は読まないで下さい。

 
 簡単な設定として、リオとガウラは基本的に無敵状態に近いです。
 白い猫のリオは首元にある花、“ピリマウム”でゾンビからの攻撃を完全防御。
 ついでに言うと、二足歩行までは出来ませんが普通に喋る事が出来ます。

 守護獣ガウラは雷属性の宝剣、“カルナック”と“リュック”を所持してます。
 剣の切れ味は抜群で、リュックには沢山の物が入ります。
 エスケープの世界は外国ですが、全て日本語で聴き取れる様にしました。
 
 銃器とかの種類には、全然詳しくありません。
 内容もうろ覚えです。そこら辺、オリジナルが入ると思います。

 後、不定期で続くかと思います。ラストまで書けるか自信もありません。
 修正も・・・沢山すると思います。

 行き当たりバッタリですが、獣記版・ラストエスケープの世界をお楽しみください。








 


























*****

 
 <バイオ3 獣記> 01 ショッピングセンター


 9月某日――




「うう・・・ここは・・・あれ?」

 青空が広がる、良く晴れた世界で車の走る音が耳に響き渡る。
 雑多なビルが多く、立ち並ぶ店や標識が入り乱れ、平常通りの交差点。
 メインストリートと呼ばれる大通りでは、人々が普通に往来している。
 それらを眺めつつ、薄汚れた建物の隙間でポツンと一人で座っていた。

 
「ゲームの世界のラクーンシティ・・・? まだ何も起こってない状態の??」

 半ば信じられない気持で、私は頭を必死に働かせた。
 作者のラクトから、面白そうだから“バイオ3”の世界へ行って来いと言われた
 んだった。
 彼女は本当に後先考えない性格の人物で、私とガウラはいいトバッチリだ。
 ガウラ・・・彼もこの世界に来た筈なのだが、どうやらはぐれてしまったらしい。
 女神のエリーちゃんとラクト、相容れたものを感じながらいつも通り猫の姿で
 うんうん唸ってると、上から声が聴こえた。

「猫ちゃんだ~~!! お母さんみてみてっ、白い猫だよ。可愛い~~!」
「まあ、本当だわ。真っ白いじゃない。こんな場所に綺麗な毛並みの猫なんて、
 迷子の猫ちゃんじゃないかしらね?」

 5,6歳位の首元まである金髪の女の子が、しゃがみ込み私の頭を撫でる。
 横に立って、微笑ましく笑っている大人の女性は私の背を撫でてくれた。

「ニャ、ニャアア!(こんにちは、リオでっす!)」 

 日本語で喋ろうかと迷ったが、絶対怪しまれると思ったので猫語で御挨拶。
 毛むくじゃらの白い手を上げ、行儀よく彼女達の返事を待つ。

「可愛いよぉぉ! お母さん、この猫私連れて帰りたいっ。ダメッ?」 
「駄目よ。この子の飼い主さんが、心配してるかもしれないじゃない。
 きっと今頃捜してるわよ」
「うわああーーん。ヤダヤダァ。連れて帰るぅぅ~~!!!!!」

 大泣きして自らの母を困らせる女の子に弱り果て、私の捜索願いが出されて
 ないか調べてから、彼女達の家へ御厄介する事になった。 



 *****


 
 警察所に行き、私の捜索がされてないか調べて貰った結果、該当するペットは
 いなかった。迷子・捜索願いの受付所で連れ帰っても良いか判断を聞くと、OK
 サインが出たので女の子はとても喜んでくれた。
 
「これからよろしくねっ、猫ちゃん。私の名前はジュリエーヌよ。
 お母さんの名前はチェリベッサ。
 家族と友達は私の事ジュリって言うの。だからジュリね!!」

 猫ちゃんの名前はぁぁ~~、と唸り出し待合室のソファに仲良く腰掛ける。
 その光景を、微笑ましく見ている警察所の人達。
 沢山の名前を閃いたジュリが、笑いながら言う。

「エリザベス、ダイアナ、フレイヤ、アルテミス、アテナ・・・猫ちゃんの名前、
 何がいいかなぁ・・・」
「ニャニャッ(多っっ!!)」

 慣れない横文字だらけに不満が募って、通路を歩く警察官の手に持つ紙を引った
 くってやった。私のその柔軟な素早い動きに、驚きの顔を見せた男の人は呆気に
 取られたままだ。
 床に落としたボールペンを口で咥え、肉球の手でフタを外し、紙に向き合う。
 アルファベットを拙いが、ゆっくりと書いてジュリに見せた。 

 ―― rio! ――

「ニャ!(リオだよっ!)」  
「リオ? 猫ちゃんの名前リオちゃんって言うの?」

 ポスポスと、毛むくじゃらの手で紙に書いた名前を指し示す。
 私の名前はリオだ。親に名付けて貰ったそれは、きっと一生変える事はないだろう。

「お待たせっ。さぁ、早く帰りましょうか」
「お母さんっ、この猫の名前、“リオ”ちゃんだよ。すごいのっ。
 名前まで紙に書くんだよっ。私ビックリしちゃったぁ~~」
 
 ジュリのお母さんが帰って来て、今までのやり取りを興奮しながら話す娘に、
 傍に居た警察官も笑いながら感心していた。

 大きな手で体中を撫でられてから、警察所を出る。
 私の晩御飯用に、キャットフードを買おうかとチェリお母さんが話し、私を含めた
 三人は地元のショッピングセンターへ向かった。 
 




 ****



 ―― ラクーンシティ・ショッピングセンター ――
 
 ラクーンシティ最大の、ミツバのマークが特徴の大型ショッピングセンター。
 ジュリのお母さんが運転する白のワゴン車で、警察所から移動したら5分と掛か
 らない場所にあり、近かったので警察所からスーパーまでの道のりを覚えてしまった。

「キャットフードッ♪ キャットフードッ♪」
「ニャニャニャッ!!!(げげっ、猫まんまは食べれても、それだけはっ!)」

 機嫌良く歌うジュリの顔を見て、イヤイヤと顔を振り、服を軽くかじってみた。
 すると、察してくれた彼女は悩みだす。

「お母さん、リオちゃんキャットフードが嫌いって言ってるよ」 
「あら、そうなの? じゃあ、一体何を食べるのかしら?」

 両開きの自動ドアから入り、食品売り場へ来た私達の目の前には、沢山の種類の
 キャットフード。缶詰と毛玉を防ぐ食べ物や、猫の栄養バランスを重視した袋入り
 商品に、私は目を剥いた。

 それらを手に取り、じっくりと眺めていたチェリお母さんの服によじ登り、
 毛むくじゃらの右手である方向を指し示す。
 彼女達が目にした視線の先には、新鮮な魚売り場だった。

「リオちゃんは、魚が食べたかったんだねっ」
「じゃあ魚と・・・後はミルクで良いかしら?」
「ニャアッ(うんっ!)」

 少しばかりワガママを言って悪いと思いつつ、ショッピングセンターからさあ出よう
 とした時――


「みんなっ、大変だっ!! 外に、狂った奴らがいるぞ」
「はあっ? あんた、頭おかしいんじゃないか?」
「そうよぉ。ヤクでも打って頭イカれてんじゃないの? キャハハハッ」

 腕に怪我を負った中年が、店内に慌てて入って来た。
 それを見た若いチャラけた青年が否定し、隣に居る彼女らしき不良少女と外へ向かう。
 しばらくして返って来たのは、耳をつんざく悲鳴だった。

「たっ、助けてくれぇーーっ」
「キャアアアッ、ヤメテェェェ!!!」

 透明の自動扉なので、隔てた建物の内部から外の様子がよく分かる。
 複数の車が停まっている外の駐車場で、二人の人間に4人位の人間が群がっていた。

「奴ら、何やってんだ??」
「さあ、バカやってんじゃない。人を小馬鹿にしようと、自演でもしてるんでしょ」

 大勢の客たちが扉の向こうを凝視する。
 すると、不良の少女に三人の人間が襲いかかった。

「なぁ、これって・・・ヤバいんじゃないか?」
「な、何なんだよ。あいつら寄ってたかって、何しようって・・・!」

「ギャアアアアアアアアアアアアアアッ」

 白目を剥いた男性や、焦点が定まっていない白人女性、警官の服を着た男性――
 不良少女の体に齧り付き、血を啜り肉を貪る。腕や顔の肉を噛み千切り、腹から
 内臓へと貪り、地面には鮮血が広がる。
 絶命の悲鳴を上げ不良少女は遂に息絶え、三人の人間の隙間から、少女の腕だけが
 無常にも力無く地面に落ちた。 

 それを見ていた、扉の前に居た客達は目を逸らす事無く、身動き一つ出来なかった。 
 絞り出す声からは、悪夢でも見ているんじゃないかと、誰かにこれは夢だと否定して
 欲しいと望むかの様に。

「・・・し、信じられねえ」 
「嘘・・・こんなのってない・・・誰か嘘と言って・・・!!」

 その時、少女と一緒に外に居たチャラけた青年が、命からがらショッピングセンター
 へと引き返して来た。やっと入り口の所までやって来て、横に開くのを待つ――が。

「なっ、何だよ・・・何で開かねぇんだよぉ・・・」

 安心したのも束の間、センサーで開く筈の自動扉は今はピクリとも動かない。
 焦りが限界に達した頃、透明の扉を激しく叩きだした。

「お、おい。ここ開けてくれよぉっ! お願いだっ。頼む、開けてくれっっ」
「・・・はぁっ、はぁっ、そ、そんな事っ・・・ど、どうやって・・・!」 

 震え出す客たちや、何とか扉を開けようと力を込める男性達。
 しかし、それに気付いた4人の内の一人が、鈍い動作で青年の背後まで迫って来ていた。

「お、おい後ろっ」
「なっ、こっこの野郎っ!!!」
「アアアアアッ」

 不良少女の肉を共に貪っていた、黒人男性が青年に襲いかかる。
 口から涎を流し、白目を向いていることから、視力は機能していないと推測できる。
 しかし――


「ウアアアアッ!!」

 生きた人間を求める余り、匂いに敏感にでもなっているのだろうか?
 彼の体目掛けて、噛み付こうとする黒人男性。
 少女の肉を一通り食していた彼等も、今度は入口まで近付き、彼を羽交い絞めして
 食事にありつく。肉を食す音だけが皮肉にもこちらまで届き、耳を塞ぐ者まで居る。

 ニチャッ、ニチャッ、クチャッ、クチャッッ
 
「・・・」
「ああ、神様・・・!!!」
「お母さん・・・」
「ニャ・・・(これが、バイオハザードの世界・・・!)」

 押しつけられた透明の扉には、青年の両手に付いた血液がベッタリと付着している。
 これからの私達の行く末を、前途多難な場面が待ち受けていようとは、ここに居る
 誰にも分かる事は無かった。


今日もラブラブ、そして暗転・・・

2009年10月24日 18時34分29秒 | 小説作業編集用カテゴリ
 管理人のラクト  
 白い猫のリオ  と
 守護獣ガウラ  が 

 今日もひょっこり猫を盛り上げるために、会話をします。

 <コメント>


「×○☆@〒▼§~~!!!!!」

「どうしたのっ。いきなり奇声上げて・・・?」

「分からない。どうしたんだ、リオ。どこか痛むのか?」

「・・・ハァッ、ハァッ。あんたら、恥ずかしくないの??
 ひょっこり猫で、ガウラとのキスシーンをラクトに絵を描かれて、あげくの果てにそれを大衆の人に曝してんだよっ! かっ、顔から火が出そう!!」

「別にいいじゃん。お嫁にはガウラが貰ってくれるんだしさ。
 それともリオ、彼が居ながら「お嫁に行けない!」って言うんじゃ・・・」

「何っ!? リオ、オレの他に誰か好きな奴でも居るのか? 名前とそいつの特徴を言ってくれ。直ぐにオレが始末してくる!」

「アッ、アフォか!!! そんな人なんか居る訳ないでしょ。ガウラのバカーーーーーッ!」




****

「さて、仕切り直しだね。今日は何をテーマにする?」 

「ラクトとガウラにはもう参ったよ・・・。私は何でも良いよ。
 最近、大好きな歌ばっかり取り上げてくれたしね♪ 
 ガウラは何か取り上げて欲しい事ってないの?」

「特には無いが。こうしてリオと過ごせるだけでオレは満足だからな」 





「えーー、ゴホンッ。ここで私から提案があります。
 このひょっこり猫では何でも取り上げてるって、リオもガウラも知ってるよね?」

「うん。“雑食サイト”って言うんだよね」

「最初はオリジナル小説で、ひょっこり猫では看板を出してたのにな」

「そこなんだよ! 小説サイトなのに、ひょっこり猫のカテゴリーには
 小説数がたったの一つだけなんだよっ! これってやばくない?」

「ちょっ、ちょっと待ってよぉ。
 ひょっこり猫では一つだけでも、“小説家になろう”さんのサイトでは白呪記を32話、
 ロマンシング獣記では11話まで活躍済みなんだよ。私達とは関係ないけど、
 短編を一話も置いて貰ってるし・・・ラクトがちゃんと管理すればいいだけじゃんか!!」

「ムッ、そっ、それは・・・まぁ、そうなんだけどね」

「・・・お前、さっきから何かあやしいな。何を隠してる?」

(ギクリ!)「あのっ、二人とも、これからここへ行ってみない?」

 

 でかい本を持ってきて、リオとガウラに中身を見せます。
 すると、ムービーが流れて来ました。



 
「ニャッ、ニャオオオッ! ゾンビだ!!ちょっ、ちょっとぉぉ。
 ラクトが言うと洒落になんないんだけど・・・!?つーか、無理だし、嫌だしっ」

「ラクトッ!・・・貴様、リオをそんな所へ連れてみろ。オレの爪で
 引き裂くからなっ!!」

「お願いっ! 二人を絶対危険な目には合わせないからさっ。
 リオにはゾンビ用・完全無敵の“ピリマウム”、ガウラには・・・イールヴァと同じ宝剣
 “カルナック”を貸してあげるからっ。今ならリュックも付けちゃう!」


 バチバチバチッッ!!!


「雷か・・・。おい、ラクト。オレは氷属性なんだぞ。雷なんか操れるか!!」

「大丈夫! リオを危険から救うために、守護獣の力はいつもよりか
 パワーアップするよ。何でも出来る・・・と思う、よ??」 

「どうも語尾が怪しい。どうせラクトの行き当たりバッタリなんだろう。
 どうする、リオ。行くのか行かないのか、リオが決めてくれ。オレはリオに
 ついて行く」

「むむぅ。はぁ・・・これもひょっこり猫のためと思えば良いのかな。
 そのかわり、長編には絶っ対しないでよ!白呪記もまだ終わってないのに、
 次から次へと新しい話に手を付けちゃって・・・読んでくれてる人に、愛想
 尽かされても知らないんだからっ!」

「ゴメンネェ~。面白そうだから行ってみて欲しかったんだよぉ。
 リオ達は、ゾンビの世界をただ様子見するだけで良いからねっ!」

「で、どうやって行くの?」

「私の言葉だけでスグに行けちゃうよっ。二人とも、準備はいい?」

「うんっ」「ああ」

「では、“バイオ3 ラストエスケープ獣記”へ行ってらっしゃい♪」


****

「次回では、リオ達がバイオ3の世界を目にします。どうなるか
 分かりませんがガウラの言うとおり、本当に行き当たりバッタリの話になると
 思います。雰囲気出して、出来るだけスグにひょっこり猫に帰れるようにはします。
 
 ファンフィクションの上に、ブログでの取り上げと言う事ですので、
 強制退去も充分あり得ます。その事を踏まえた上でお読みください。
 とりあえず、彼らの旅に幸あらんことを!!」 

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暗転シーン 番外編

2009年10月18日 15時00分56秒 | 小説作業編集用カテゴリ
 白呪記

 暗転1 番外編

「なあ、リオ・・・」
「ニャ?(どうしたの? ガウラ)」

 今日一日、ポネリーアと言う、港に面した町で私とガウラは奔走していた。
 ディッセントの王様から、傷付いた民の心を救って欲しいとお願いされたからだ。
 勿論そのお願いを私は受け入れ、フリージアちゃんと近衛騎士のイルさんライさん、そして守護獣のガウラと私を入れた五人で、町の中にある臨時救護テントまで足を運んでいた。
 

「黒ブチ猫のティム・・・あいつは幸せ者だな。守る者を見つける事が出来たんだ。きっと、あそこに住んでる猫達は幸せになれる」
 
 一段落着いた後、騎士団長のケネルさんと副団長のノキアさんと別れ、町の外にある丘の大木へ、私とガウラはゆっくり歩いた。
 
 太陽が沈み、辺りはすっかり漆黒が支配する。
 その夜空を照らすように、満月が雲から顔を覗かせていた。
 木の幹へと近づいた時、肌寒い風が吹く。
 私の頭へと葉っぱがひらひら落ちて来て、その葉をガウラが優しく取ってくれた。 

「ニャアアッ(そうだねぇ。すっかり親ネコの雰囲気出てたもん!ティムなら、野良でもたくましく生きてけるよねぇ・・・)」
「オレも、リオと出会えて良かったと思う。興味の無かった世界が知りたくなったんだぞ? リオが知ってる事をオレが知らないと落ち着かないから、積極的に言語を覚えようと努力したのは何年振りか・・・」
「ニャアアッ(そうだったの?)」
「“トイレ” と “年季の入ったおっさん” を覚えた。実際国王にも使ったし、これでリオの守護獣としても誇れる事が出来る」
「ニャ(え・・・)」

 頷き、自身に満ちてふんぞり返った様子のガウラに私は意識が遠のいた。
 
(も、もっとタメになる言葉を教えときゃ良かった!)
 と、頭を抱えたくなってしまった。
 これじゃあ保護者として、世間から何を言われるか分かったもんじゃない! そう口を開きかけた時・・・
 
「カイナの群れに居た時は、仲間意識なんて特に気にしてなかったんだ。
 仲間が危機に曝された時は、そりゃ威信にかけて助けなきゃと、自分に言い聞かせたからな。・・・でもそれ以外は、仲間を守るとか、そんな気持ちなんて持てなかったんだ」
「ニャ、ニャアア(ガ、ガウラ・・・)」 

 大木にガウラが座り、その膝の上に乗せられる。
 背中を優しくさすられ、琥珀色の瞳を私に合わせて来た。心なしか、彼の瞳が不安げに揺れている。

「なぁリオ、こんなオレはおかしいのか? ティムとオレはどう違う?」
「ニャアア・・・(ガウラ・・・)」 
「チビ達を精一杯守るティムは、群れのボスとしてちゃんと全うしていた。しかしオレは、カイナの中に居たチビ達を、あそこまで世話したいと思わなかった。これじゃあ、何の為の強者だ?」
「ニャ、ニャアア(ガウラ?)」
「もう群れに戻りたいとも思わない・・・じゃあ、あの頃のオレは、一体何だったんだ・・・!」

 私の体を力強く抱きしめてくるガウラ。
 同じ立場に居て、仲間想いでもあるティムと自分の違いを確認した時、自分の存在意義について不安に陥ったのかもしれない。なんとか心を和らげたいと、彼の顔をペロリと一舐めした。   

「ニャア、ニャアアッ(ガウラ、誰しも完璧な人なんて居ないんだよ・・・ガウラとティムが違うのは、きっと考え方が違う所から来てるかもしれないじゃない)」
「考え方?」
「ニャ!(そうだよっ! “愛しい気持ち”・・・それが湧きあがる時、誰かを守りたいって願うんじゃないかなぁ)」
「“愛しい気持ち”、“守りたい”、“願う”・・・?」

 目を見開き、私の顔を見るガウラ。
 彼の疑問に、全てを答える事なんか出来ない――でも、沢山の言葉の中からこれかな?と、差し出してみせる事なら私にも出来る。
 

「・・・リオは、やっぱりオレの女だ。ぜんぶ、オレの欲しい言葉をくれる・・・」
「ニャ、ニャアッ(そ、そう?)」
「今教えてくれた言葉は、全部リオに当てはまる・・・そうか、これが “守りたい” か・・・」

 そう言うと頬から口に、頬ずりといつものキスの雨を降らせて来た。
 彼が満足するまで身動きせずに待っていると、表情がふんわりと柔らかくなった。
 
「カイナの群れでは無理だったけど、リオとの子供なら “守りたい” と湧き起こるかもしれない。だからリオ、沢山オレとの子供を産んでくれな」
「ニャ、ニャアアアアッ(はっ、恥ずかしい事をサラリと・・・!!)」
「リオと子供の為に、いっぱい獲物を狩ってくる。そして、また “群れ” を作るんだ!」

 胸が温かくなるのは、守る存在が傍にいるから。自分も相手も幸せにしたいと、心の奥底で願う時がきっと来る。ガウラも私も、幸せになる為に先へ進むんだ。

 いつか辿り着く安息の地を求めて――


 暗転1 番外編(終)