「実はもう、カレー食べてないですよ。今年のシーズン中、一度も食べてない」
イチローにはたくさんのルーティンがある。その代表的なひとつである朝カレーがなんと本人の口から覆された。それにしてもなぜこのタイミング、なのか。
「今年200安打打った後のいろんな情報番組をDVDに編集してくれた人がいて、それを観てたらある番組で『これがイチロー選手が食べているカレーです』って断言してた。それがまあ、ひっどいレシピだったんです」
――何がいったい…。
「全然違うんです。使ってる肉も調味料もそうだし、ジャガ芋だって目を疑うくらいでっかいのが入ってたりする。で、試食して『甘いですね、意外と』なんてやっちゃってる。うちのカレー、本物はめちゃくちゃ辛いんです。これじゃ視聴者に失礼じゃないか、と。だから、僕の口から言わなきゃダメだと思った」
――もうカレーは食べていない、と。
「(毎朝は)もう3年前からです。去年は(カレーの代わりに)食パンとうどん。で、今年は食パンとそうめん」
朝カレーとともに、遠征先のランチでピザを食べることがよく知られている。同じチェーン店の同じプレーンピザ。それ以外では、試合終了が遅く、外出できない場合になじみの日本食レストランなどで鰻(うなぎ)弁当の出前を頼む。
「ピザは変わらないですね。試合前だから味が変わったりしてイライラしたくない。試合後の鰻弁当も一番リスクが少ないですからね。鰻弁当には鉄火巻とかっぱ巻を付けるんですけど、これもその点で安全なんです」
――同じものを食べ続けることも、一種の強さでは?
「それは強さと全く関係ない。イヤイヤ続けてたら強さですよ、それこそ忍耐だから。でも、好きで食ってるんだから」
好きなものを食べ続ける。栄養士さんが聞いたらぶっ倒れそうな食習慣かもしれないが、それでいてしなやかで強靱な肉体はまったく変わらない。さまざまな体験を経て、最後に残ったのはごくシンプルな身体哲学。無駄のないものは強い。
小西慶三●取材・文 text by Konishi Keizo
イチローにはたくさんのルーティンがある。その代表的なひとつである朝カレーがなんと本人の口から覆された。それにしてもなぜこのタイミング、なのか。
「今年200安打打った後のいろんな情報番組をDVDに編集してくれた人がいて、それを観てたらある番組で『これがイチロー選手が食べているカレーです』って断言してた。それがまあ、ひっどいレシピだったんです」
――何がいったい…。
「全然違うんです。使ってる肉も調味料もそうだし、ジャガ芋だって目を疑うくらいでっかいのが入ってたりする。で、試食して『甘いですね、意外と』なんてやっちゃってる。うちのカレー、本物はめちゃくちゃ辛いんです。これじゃ視聴者に失礼じゃないか、と。だから、僕の口から言わなきゃダメだと思った」
――もうカレーは食べていない、と。
「(毎朝は)もう3年前からです。去年は(カレーの代わりに)食パンとうどん。で、今年は食パンとそうめん」
朝カレーとともに、遠征先のランチでピザを食べることがよく知られている。同じチェーン店の同じプレーンピザ。それ以外では、試合終了が遅く、外出できない場合になじみの日本食レストランなどで鰻(うなぎ)弁当の出前を頼む。
「ピザは変わらないですね。試合前だから味が変わったりしてイライラしたくない。試合後の鰻弁当も一番リスクが少ないですからね。鰻弁当には鉄火巻とかっぱ巻を付けるんですけど、これもその点で安全なんです」
――同じものを食べ続けることも、一種の強さでは?
「それは強さと全く関係ない。イヤイヤ続けてたら強さですよ、それこそ忍耐だから。でも、好きで食ってるんだから」
好きなものを食べ続ける。栄養士さんが聞いたらぶっ倒れそうな食習慣かもしれないが、それでいてしなやかで強靱な肉体はまったく変わらない。さまざまな体験を経て、最後に残ったのはごくシンプルな身体哲学。無駄のないものは強い。
小西慶三●取材・文 text by Konishi Keizo