税法等Q&A集

税法等について注意すべき点や、お客様からのご質問を掲載していきます。

社宅の家賃

2013-06-10 10:10:28 | 所得税法
Q.会社所有の社宅を役員に貸して家賃をもらおうと思っているのですが、いくらの家賃をもらえばいいでしょうか?


A.会社が役員あるいは従業員に対して、社宅を貸し付けるケースがあると思います。
その際に、個人から家賃をいくら徴収するか悩みどころになりますが、実は徴収すべき金額について税務上取り決めがあり、低すぎる家賃では、会社から個人に対して経済的利益の供与があったとして、その経済的利益の供与分が給与課税されることとなります。では、会社は個人からいくら家賃をもらえばいいのでしょうか。


☆税務上における「通常の賃貸料」

1.小規模住宅等の場合

 役員社宅が小規模住宅等(下記参照)の場合、法人がその役員から徴収すべき家賃月額が
(1)その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×0.2%
(2)12円×(その家屋の総床面積平方メートル/3.3平方メートル)
(3)その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%
の3つの合計金額以上であれば、給与課税の問題は生じません。しかし、当該合計金額未満であれば、徴収額との差額が給与課税されます。また、当該社宅の貸付を従業員に対して行う場合は当該合計金額の50%以上が徴収すべき家賃となっております。(借上社宅の場合も同じです。)


2.小規模住宅等以外の場合

 役員社宅が小規模住宅等以外の場合、法人がその役員から徴収すべき家賃月額が
{その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×12%(木造家屋以外は10%)+その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%}×1/12
上記の金額の合計額以上であれば、給与課税の問題は生じません。しかし当該金額未満であれば、徴収額との差額が給与課税されます。なお、借上社宅の場合は、(1)の金額と法人が支払う借上料(管理費等含む)の50%相当額とのいずれか多い金額が徴収すべき家賃となっております。


3.豪華社宅(下記参照)の場合
役員社宅が豪華社宅(下記参照)の場合、法人がその役員から徴収すべき家賃月額は時価(周辺相場等で第3者に貸与した場合の賃貸料)が徴収すべき家賃となっております。


小規模住宅等とは・・・
耐用年数30年以下の建物(木造家屋など)の場合…床面積132平方メートル以下の住宅※
耐用年数30年超の建物(木造家屋以外)の場合…床面積99平方メートル以下の住宅※
※1世帯あたりの床面積。共有部分床面積の按分面積を含む。

豪華社宅とは・・・
・床面積240平方メートル超の住宅で一定のもの(取得価額などから総合的に勘案します。)
・床面積240平方メートル以下であってもプール他役員個人の嗜好を反映した設備等を有する住宅


長期譲渡、短期譲渡の区分

2012-08-30 09:09:16 | 所得税法
Q:平成19年3月に取得した土地をこの度売却しようと思います。平成24年9月に売却予定なのですが、所有期間が5年を超える土地の売却は所得税が軽減されると聞きました。この度の土地の売却についても所得税は軽減されるのでしょうか?


A:土地や建物を譲渡した場合は、所有期間の長短によって次のように所得税の計算方法が異なります。
 (長期譲渡)
   譲渡所得 × 15% (+住民税5%)

 (短期譲渡)
   譲渡所得 × 30% (+住民税 9%)

  (注1)譲渡所得 = 譲渡価額 -( 取得費 + 譲渡費用 )
  (注2)マイホームを売却した場合などは別に軽減税率の特例等があります。
  

 さてこの長短の区分ですが、譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超えれば長期譲渡、5年を超えていなければ短期譲渡となります。
したがって、ご質問のケースでは、平成24年1月1日現在の所有期間が5年を超えていない(4年9ヶ月)ので、平成24年9月の時点では5年を経過していても短期譲渡に該当することとなります。したがって、所得税は高い税率となります。

 なお、平成21年及び22年中に取得した土地を、5年を超えて保有した後に譲渡した場合に、その土地に係る譲渡所得の金額から1,000万円を控除することができるという特例がありますが、この特例についても譲渡した年の1月1日における所有期間が5年を超えるかどうかで判定をします。したがって、平成21年中に取得した土地については平成27年以後、平成22年中に取得した土地については平成28年以後に譲渡した場合にこの特例が受けられます。