まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

奄美大島のタイル墓めぐり

2024-02-29 01:08:53 | 風景
今年のお正月休みの旅、続き

フェリーきかいで早朝に奄美大島に着いて、夜にはまた鹿児島へ戻る予定。滞在時間は約13時間。
レンタカーはだいたい空港近くに集中していて、港からはかなり離れているため、名瀬のまちなかで
スクーターをレンタルすることにしていた。
どこから来たのかとバイク屋のおっちゃんに聞かれ、大阪と答えると、スピード違反で捕まる人は大阪の人ばかりだ、
こっちの警察はヒマだから取り締まりをよくやっている、制限速度30kmだからね、31kmでも違反だからね!
とさんざん念を押された(苦笑)。


さてどこへ行くか。実はあまり考えていなかった(笑)。車と違ってあまり遠くへは行けそうにないし、
山がちな奄美、長いトンネルを走るのは嫌だな~、あんまり深い山越えは嫌だな~、ということで、
名瀬から竜郷にある登録有形文化財の瀬留(せどめ)教会を目指して海沿いを走ることにした。
奄美大島には古くからキリスト教が布教されカトリック教会がたくさんある。途中にいくつかある教会もめぐろう。

1月の奄美は結構寒くて風が冷たい。。持っている防寒着を全稼働して走り出す。まちなかも車は少なく、
おっちゃんの言いつけを(というか法律を)厳格に守って30kmをキープしつつ港や海を眺めながらトコトコ走る。
町はずれにさしかかった時、何か変わったものが目に入った。何だあれは!?ミニチュアの教会堂のような形をした
コンクリート製の造形物。バイクをUターンさせて停め近寄ってみると、キリスト教徒のお墓のようだ。
こんなお墓初めて見た。すごいこだわりだな!


そしてもうひとつ目についたのは、お墓の台座などにみっしりと貼られたタイル!え~っ、タイル貼りのお墓!?
実は年末に『絶滅する「墓」』という本を読んだのだが、奄美にタイルで飾られた墓がある、という一文を読んだのを
思い出した。ははぁ、ここのことだったのか~


その墓地にはタイル墓がたくさん見られ、全体の半分ぐらいはタイル墓じゃないか!?というくらい。
どうも個人的趣味で貼ったというレベルではなさそうだ。


墓地で写真を撮るなんて不謹慎とは思いながら、興味深くてあれこれ見て回る。
その墓地には、キリスト教徒のお墓とその他のお墓が混在していたが、タイル墓に宗教は関係ないようだ。
キリスト教徒のお墓は、教会堂を模したような特殊なものは別として、長崎で見るような十字架の墓標を掲げた
ものでもなく、他と同じような形で単にタイルで十字架を表してある。


タイル墓に使われているのは主に玉石タイルの系統で、混ぜ物のパーツがかなり大きい種類のものが多い。
長方形のタイルやデザインタイルもあるが割と大きめサイズで、正方形の豆タイルなどは全く見当たらない。
いずれも昭和40年代後半~50年代初め頃だろうか。


数種類の玉石タイルを混ぜて貼っていたり、混ぜ物のパーツを取り出して意味ありげに貼っていたりと、
玉石タイルをばらして使っているのも面白い。
見ていると使われている玉石タイルはどうも特定のメーカー製に偏っているように感じられる。








うちの先祖のお墓をはじめ、私が昔から知っているお墓は、小さな区画に御影石の台座、その上に〇〇家之墓などと
文字を彫り込んだ四角柱の墓石が載っている、というもので、あたりを見回してもほとんどが同じ形をしていた。
地方に行くとお墓の形にも特色があるのは気づいていたが、ここでは五輪塔や、中国風の家型のお墓、台座だけのもの、
擁壁に囲まれた広い前庭があるものなど、いろんな形状のお墓が見られる。


その後も走りながら墓地があるたびスクーターを停めて観察。最初に見た浦上共同墓地ほどたくさんはないが、
それでも各地で数基はタイル墓がある。
どうも特定の家系の墓というわけでもなさそうだし、特定の集落だけというのでもなさそう。
宗教も関係ないようだし、特に金持ちの家の墓というのでもない。いったい何なんだろう。。。


レリーフ模様の入ったタイルを円形に組み合わせて家紋のように貼っていたり、同じタイルを1枚、まるでご神体か
何かのようにうやうやしくポツリと貼っていたり。


このタイル墓はタイル屋が仕掛けたのではないか?拡販のためにお墓にタイルを貼ることを各集落に提案して回り、
それで一時期島じゅうで流行したのではないだろうか。






本来は床に敷き詰める用のタイルを装飾として使ってある。


玉石タイルの混ぜ物パーツを中央にシンボリックに配してある。


黒無地のタイルの中に一部分玉石タイルを入れて飾りにしてある。しかも数種類の玉石タイルをばらして混ぜてある。


玉石タイルは大小のパーツをランダムに混ぜて30cmのユニットにして紙張りしてあり、連続して貼っても
つなぎ目が目立たず曲面でも隙間ができず貼れるのが利点だが、1ユニットをまるまる装飾として使ったり、
パーツを取り出して再構成して使うという、このような玉石タイルの使い方は他ではほとんど見たことがなく、
ちょっとした衝撃だった。


お風呂屋にあるような6枚組の絵付けタイルもたまーに使われていた。


興味津々のお墓めぐり、すっかり楽しんでしまった(笑)
機会があれば他の集落のお墓もめぐってみたいな!

続く
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フェリーきかいで奄美大島へ。

2024-02-19 23:32:03 | 川・橋・船
今年のお正月休みの旅、続き

鹿児島から奄美への往路は、フェリーきかい。奄美行きのフェリーのうち喜界島経由の船で、いおワールド鹿児島水族館の裏手にある
鹿児島本港北埠頭から発着する。奄美大島の先、徳之島、沖永良部まで行くが、沖縄までは行かない。


ターミナルで手続きしてから待っている間に船の全体が見えるところがないかとうろうろ。


やっと乗船開始時間になってターミナルを出ると、大きな赤いALINEの文字が目に飛び込んできた!
うわーい!船腹にかけられたタラップを歩いて上るのだ。わくわく~~






船室の入口にはしめ縄が飾られていた。お正月らしくていいね!


奄美海運は、大島運輸が前身のマルエーフェリーの子会社。
ホールには売店を兼ねた小さなカウンターひとつのみで、あまり旅客に媚びていない(笑)簡素な設備だ。


個室の二等寝台は結構広く、荷物も広げられるし人の目を気にせずゆっくりできてやっぱり快適!
三千円の差額なら断然コスパがいい。




ちなみに他のクラスをちょっと覗いてみると、二段ベッドの「寝台B」も大部屋の「二等席」も結構快適そうだが
近年はもう贅沢を覚えてしまって(笑)。




夕闇迫るデッキに出て船員の作業風景を眺めていると、スマートな船が入港してきて、くるりと転回。
「プリンセスわかさ」、種子島行きの船だ。この港からはいろんな島への船が発着している。
十島行きの「フェリーとしま2」も停泊中。


いよいよ出航。タラップは引き上げられ、船の横っ腹に吊り下げられたまま。
空中通路やタラップはだいたい陸側で用意されていて、客が乗船したら取り外されて船の側では入口を閉めるだけ
なのが多いので、こういう光景は面白いな!




・・・しかし、大阪から奄美までピーチなら数千円で2時間で行けるところを、鹿児島までANAで飛んでまた
往復2万円以上払って船で一晩かけて行くなんて、しかも奄美で0泊なんて、なかなか非効率なことをしているなと
思うが、、、船に乗ることも旅の目的のひとつだからね。







この船は早朝4:30に喜界島に寄港する。ローカルな港の風景を見たいが起きられるかな??自信なかったが、
Wi-Fiもないから本を読んでいるとすぐ眠くなり7時半頃早々に寝てしまったので(そのあとまた目を覚ましたが)
ちゃんと起きることができた(笑)。


こんな時間にも関わらず真っ暗な岸壁にどこからかわらわらと人が集まって来た。意外に多い。車も乗り込む。
明らかに旅行客でない人々がタラップを上り下りするのを真上から眺めていると、この人たちは今からどこへ、
何しに行くんだろう、この人たちの人生にはどんなドラマがあったんだろう、と知りたい気持ちになってくる。
やはり近隣の島や鹿児島に親族がいたりして行き来するのだろう。フェリーは生活の足なのだ。


フォークリフトがくるくる動き回ってコンテナを次々積んでいく。最後に転落防止のバリケードを置いて終了。


再度寝て奄美名瀬港には7:00に到着。
南国だと思っていたのに、寒い!大阪とあまり変わらないじゃないの・・・




街の中心部は港から1kmぐらい離れているのでぶらぶら散策しながら歩いて行く。




奄美にはもう数回来ているのであまり珍しいものは見つからないが、予約しているレンタルバイクは9時からなので、
2時間もあるのだ。。




時間をつぶしながらモーニングできるところを探すとサンドイッチカフェが1軒開いていた。助かった〜!
暖かいところでたまごサンドを食べてほっとひと息。

続く
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長いお正月休み、船旅に。

2024-02-13 23:05:10 | 川・橋・船
例年のお正月休みは1月4日までなのだが、今年は5日が会社の一斉休みとなったため三連休とつながって
なんとも贅沢な大型連休になった。実家に帰ってまったり過ごすにも長すぎる・・・ということで、
実家は例年通り3日に切り上げ、4日から旅に出ることにした。
前に沖縄に行ったときに、那覇から鹿児島へ行く船に乗りたいと思っていたので、鹿児島まで飛んで
何とかそれに乗れないかとあれこれ考えたのだが、配船スケジュールの関係でなかなか旅程の中にうまく
おさまらない。。。それで、那覇まで行くのは諦め、鹿児島から奄美折り返しのプランに。
朝イチの飛行機で鹿児島に到着、順調に鹿児島市内へ。今日は鹿児島に泊まらず夕方のフェリーで奄美へ移動するのだ。


早朝の便で鹿児島へ飛んで、夜には奄美行きの船に乗るので、それまで鹿児島のまちでうろうろしよう。
何度か見ていたカッコイイ鹿児島県産業会館。「鹿児島ブランドショップ」が営業していたので入ってみると
いろんな物産品が売っていたのだがまだ旅の初日、、、ウインドウショッピングのみ。。


エントランスホールの方へ出てみると、おぉ、片持ちのカッコイイ階段が~!ここより奥へは入れなさそうだな。
1967(昭和42)年築、手仕事感が残る戦後モダニズム。この時代の建築が好きだ。
しかし、外観もだいぶほころびが出ているし、大丈夫だろうか。。。

検索してみると2023年にDOCOMOMO JAPANにより日本におけるモダン・ムーブメントの建築に
選定されているらしい。やっぱりそうか!

鹿児島には何度も来ていてまちなかの主な近代建築などは見ているし、奄美から戻ってから2連泊するので
今日はノープラン。。。どこに行こうかな。


夕方まで時間がたっぷりあるので桜島フェリーに乗りに行こう。
港へ行く途中に見つけた味のある飲み屋横丁を覗いたり溶結凝灰岩の塀を愛でたり。




桜島フェリーも以前乗ったことがあるが、当時はまだ「御船印」が始まっていなかった。
御船印とは、寺社巡りで御朱印を集めるように、船に乗って集めるスタンプラリー的なもの。
公式サイト


私は定期航路の船旅が好きなのでもうずいぶん昔からいろんな航路に乗っていて、御船印が始まってからは
せっせと集めているのだ(笑)。ただ私は、トンボ返りや連続乗りまくりはせずあくまで旅の一部に
組み込むことを旨としている。


第〇〇桜島丸、という船が何隻もあって行ったり来たりしている。桜島フェリーは日中の時間帯だと1時間に
3~4本という高頻度で運航している。所要時間は15分ほどなので、常に3~4隻が海上にいるということか。




たった15分の航海だというのに船内には「うどんスタンド」があって、結構賑わっている。私も食べてみようかと
思ったが列に並んでいる間に桜島に着いてしまいそうなので諦めた(笑)。




この日はすっきりと晴れわたり、爽やかなクルーズ。桜島がてっぺんからふもとまできれいに見えた!
デッキで眺めていると桜島はどんどん大きくなり、そして到着。


港のターミナルには飲食店があるだろうと思ったら小さなカフェしかない。この古いビルのパチンコロッキー、
前にも見た気がするな。。ラーメン屋はあるようだが・・・
「桜島マグマ温泉」に行けば何か食べられるだろう、と思ったら、レストランはやっていないと。。。え~


温泉に入ったあと道の駅に行ってみたら、港周辺で唯一の地場グルメが食べられるレストランは満席。。。
待つのも時間がかかりそうなのであきらめる。やっぱり車がないとツライな。。


昼食を逃してしまったので帰りのフェリーのうどんスタンドで食べよう。今度は一番乗りで!


何を血迷ったかそばを選んだのはちょっとミスった、、、うどんスタンドなのだからうどんを頼むべきだった。


鹿児島港に戻ってきたら隣接する運河に何やら人が集まっている。何だろうと見に行ったら、運河を締め切った
ところでイルカのショーが始まるらしい。港のすぐ横には「いおワールドかごしま水族館」があるのだが、
こんな水族館の外の運河でやるって本当!?珍しいし無料のようなので見ていくことに。
イルカがどこからともなくすい~っと出て来てすごいスピードで泳ぎまわる。飼育員のお姉さんがいるにはいるが
特に指示とか掛け声とかはなく、イルカが自由に自主的に動き回っているようだ。
ジャンプも披露!うわぁ〜すごいすごい!


観客にまんべんなく見えるように場所を考えてあちらでこちらでジャンプする。くるくる回りながらのジャンプや
横向きのジャンプなどいろんな種類のジャンプを見せてくれ、お客に近いところではちょっとかかる程度の絶妙な
水しぶき、水路の中央部では豪快な水しぶきをあげるというサービス精神旺盛なイルカ。
しかもそこは鹿児島旧港の古い石積みの堤防なのだ。これは楽しいなぁ〜


鹿児島旧港施設は国の重要文化財に指定されている。




イルカを見ていたらふと水族館に入ってみようという気になった。特に予定していなかったのだが、
まぁ奄美行きフェリーの乗り場は水族館のすぐ裏手なので、わざわざ別の場所へ移動して遊ぶより効率もいい。


いおワールドかごしま水族館は、とっても楽しかった!大水槽はずっと眺めていられるし、小さな水槽も
たくさんあって充実。ヒラメの水槽とかウツボの水槽とか好き。


ウミウシの展示が興味深い!カラフルでゴージャスな何百種のウミウシの写真と、いくつかの飼育水槽があって
興味津々(写真撮ったはずなんだけど、ない・・)。
最後はちょっと駆け足でアザラシもチラ見、ミュージアムショップは見ずに出てしまった。


続く
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