
《概要》
「君が生きた証」
監督:ウィリアム・H・メイシー
2015年2月21日公開
《出演者》
ビリー・クラダップ
アントン・イェルチン
フェリシティ・ハフマン
セレーナ・ゴメス
ローレンス・フィッシュバーン
《あらすじ》
銃乱射事件で息子がこの世を去りすさんだ生活を送るサム(ビリー・クラダップ)は、別れた妻から息子が遺(のこ)した自作曲のデモCDを渡される。その曲を聴き息子のことを何も知らなかったことに気付いたサムは、遺品のギターを手に息子の曲を場末のライブバーで演奏する。その演奏に魅了された青年のクエンティン(アントン・イェルチン)はサムを説得し、年の離れた2人でバンドを結成するが……。(出典:シネマトゥデイ)
《感想》
★★★★★ 星5つ
この映画を監督したのは、「ファーゴ」や「マグノリア」などで個性的な役を演じたウィリアム・H・メイシー(以下、メイシー)という俳優。私はそれらの映画で先にメイシーの存在を知っていたので、この映画を観ようと思ったときに監督の名を見て驚いた記憶がある。

それまでハリウッドで俳優が映画を監督することはあまり珍しくなく、「ミリオンダラー・ベイビー」ではクリント・イーストウッドが、「イントゥ・ザ・ワイルド」ではショーン・ペンが監督を務めている。いずれも映画史に残る名作であることな間違いないが、果たしてメイシーが作る映画がどのようなものになるのかは観る前は全く想像がつかなかった。
結果として、私はこの作品を映画史に残る名作であると感じた。
まずこの映画の見所はズバリ音楽。主人公のサムが亡くなった息子の生前に遺した自作CDを聴くシーンでは、観る私たちも主人公と同じようにその音楽を聴くことになる。そのどれもが心地よく、そして美しい。その曲を主人公とアントン・イェルチン演じる青年がバーで演奏する場面は、どこかミュージカルっぽい雰囲気を醸し出しつつ、しっかり曲の良さを生かしたシーンとなっている。(個人的に『Home』と『Stay With You』という曲がお気に入り)

さらに役者の演技も素晴らしい。息子を亡くして心身共に疲れ果てた主人公を演じたビリー・クラダップは、その年のアカデミー賞を授与されてもおかしくない位の憑依っぷりであった。(なおノミネートすらされず)
さらに脇を固めるのは、アントン・イェルチン、セレーナ・ゴメス、ローレンス・フィッシュバーンとこれまた豪華なキャスト陣。メイシー監督の人望の厚さが見てわかる。(メイシーの妻で女優のフェリシティ・ハフマンも出演)
ストーリーも心動かされ、私も思わず涙を流しそうになるくらい胸が熱くなった。途中から展開が大きく変化するところにも注目。

《最後に》
今作で監督デビューしたメイシーには、今後も素晴らしい作品を作り続けて欲しいと思う。「君が生きた証」、まだ観ていない方にはこの作品を強くおすすめする。
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