
《概要》
「ペーパー・ムーン」
監督:ピーター・ボグダノヴィッチ
1974年3月9日公開
《出演者》
ライアン・オニール
テータム・オニール
マデリーン・カーン
ジョン・ヒラーマン
《あらすじ》
聖書を売り付けて小金を稼ぐ詐欺師のモーゼが、亡くなった知り合いの娘アディと出会う。彼は嫌々ながら彼女を親戚の家まで送り届ける事になったが、ペテンの相棒としてアディと旅を続けるうち、モーゼは父親めいた愛情を感じていく……。 (出典:allcinema ONLINE)
《感想》
★★★★★星5つ
この映画が作られたのは1973年、そして映画の舞台は1930年代に置かれている。映像も白黒でどこか当時のチャップリン映画のような雰囲気を感じることも出来る。

まず何といっても脚本が完璧といっていいほどの完成度。最初は見ず知らずで仲の悪いモーゼとアディが喧嘩するところから、一緒にビジネスパートナーとして組むことになるまでの運び方がとても自然。徐々に二人の間に絆のようなものが生まれ、いつしか本物の親子のように見えてくる。(実際演じた役者二人は本当の親子)
その後、ひょんなことから保安官に追われることになったりと二人は散々な目に合うが、そんなトラブルのなかでこの二人の距離がどんどん縮まっていく様は、映画「レオン」のレオンとマチルダの関係を彷彿とさせる。
そしてこの映画に大きく貢献したのは、アディを演じたテータム・オニールの演技だろう。彼女は当時9歳で、母親を亡くした少女の悲哀と、ずる賢い詐欺師としてのクールさを見事にバランスよく演じきっている。その年のアカデミー賞で助演女優賞を獲ったのも納得だ。(このとき最年少でその記録は今も破られていない)

多くのレビューで「登場人物に感情移入できない」という意見がちらほらみえたが、私はそんなことは全くなく、モーゼとアディの行く末をまるで自分のことのようにハラハラしながら追っていくことが出来た。まあ人それぞれ感じかたは異なるだろうが、私は「レオン」がとても好きな映画なので、この作品も素直に楽しめた。
《最後に》
この作品はあまり大々的に取り上げられることがなく、まさに「隠れた名作」といえるだろう。ロードムービーが好きな人にはおすすめの一作だ。
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