Part1のつづき・・
3蛸 第1日 夜
夜中、いきなし切り出すかもわからない2人を沈めようと、柳生にはいい案があると。
それは・・・
それぞれが、二人三脚、三人四脚で登場。
足を引きずられながら出てきた小次郎、両足を縛られてたムサシ。
そして、ムサシと結んでた沢庵和尚が反対の足を小次郎と結び・・・
五人六脚姿に。
“柳生新陰流の極意のひとつ”=友情が芽生えると。
足を結んだまま 【○(ム)(柳生)(小)○】 この状態でおやすみ。
ムクっと小次郎が起きて、ひとりごと、巌流島での文句をまたぶりかえし。
どんだけ根に持ってんねん!て。
ムサシ:
声が高いぞ!
小次郎:
聞け!
小次郎はムサシを待っているうちに
“もしやムサシは臆病風に吹かれて逃げたのでは~”とまで思っていた
ムサシ:
おめでたいやつだな
小次郎:
勝てるのか、敗けてしまうのか、そして、戦わずして勝てるかもしれないという奇妙な期待が割りこんできたのだ。
生か、死か、不戦勝か、この3つが頭ん中をぐるぐる回り始めた。
こんな心の持ちようでまともな試合ができるか!
したがって遅刻したおぬしは策士だ!ひきょう者だ!
思ってもみよ、生と死と不戦勝、希望と絶望と期待の3つがグルグルと体の中を駆け回っているのだぞ
ムサシ:
・・・あのときは、潮目を呼んでいたのだ
戦いを始める時は、あらかじめその前に戦いをどう終えるかをかんがえておかなくてはならない。
これが戦いの基本ではないか
小次郎:おのれ!
ムサシのほーが大人です(笑)
その間も、眠りながら2人の間の柳生は能を・・・
カチカチ山の狸の子が6歳に~
わが父いかに悪くとも、あの殺し方の凄まじさ、あれはウサギはひどすぎる~♪
小次郎:
あの時の位置も卑怯だ!まぶしかった!
ムサシ:
いまごろ分かってどうするのだ!
位置取りも兵法の1つだよ。おぬしも海を背にすればよかったのではないか
小次郎:
だまれ!
ムサシ:
他に言いたいことは?
小次郎:
あの木刀よ!長い!長すぎる!
ムサシ:おぬしの太刀も長かったぞ
小次郎:
だまれ!きさまはそれを隠してた!
ムサシ:
それもまた技のうちだ
小次郎:
おのれ!
ウサギの悪知恵の始まりは~父に柴束背負わせて、火打ち石にてカチカチ~父の背中は一面の~大家事に~♪
ムサシ:この機会に忠告しよう。
おぬしは剣さばきにこだわり、格好のきれいな勝ち方にこだわり、そして約束にこだわる。
小次郎:そのどこが悪い!
ムサシ:型がわかれば崩すのはたやすい。俗にお茶の子サイサイというやつだな
小次郎:
だまれ!きさまの口にはドクがありすぎる!
ムサシ:
言葉は我ら武芸者にとって最初のそして最強の武器なのだ。
おぬしの剣は天才の剣だ。
だが、言葉にかぎってはまだ3歳の童子にもおよばぬな
小次郎:だまれ!だまれ!
ムサシ:
ほら、おぬしには“おのれ”と“だまれ”の2つしかないではないか
って、扇子でしばきあいながら、もーめちゃくちゃ笑っちゃった
叩き合いしてる間でも、眠りながら能を・・・
うさぎのワルジエその次は、やけどの薬といって、十がらしをぬりたくる~
あまりのいたみにわが父はカチカチ山をかけにけり~♪
ここで五人六脚の始まりです。
前に出てくるわ、こけるわ、みんな扇子で頭のしばきあい
もーめちゃくちゃおもしろかったです!!!!
ほんと、この舞台一番の見せ場ですね。ある意味。
途中で、アドリブしすぎてか、小次郎が一瞬かんじゃって。
これもご愛嬌
4狸 第2日 未明
泥の小舟に乗せられて~たちまち波間に消え~
野暮れ山暮れ里暮れて~涙にくれし子狸は~
殺すならば一度で殺せ~なぶり殺しは許さず~
かくなる上は、あのウサギ 父の仇と思い~江戸へ修行に~♪
乙女の父が騙され殺されたと。その仇を討ちたい。
ムサシ、小次郎、そして柳生に剣術を教えて欲しい。
殺された理由は“利き茶”
乙女の父は生まれついての聞き茶の天才であり、常に勝っていた。
それを妬んで、父を海に沈め殺したと。
小次郎:
それで、その浅川は?
乙女:いつも2番でした
ムサシ:
それはいささか辛いはなしだな
って、鼻で笑って小次郎をみる目が
柳生:殺生はいかん!
“柳生新陰流の極意”兵法は能なき者のわざなり
剣術は我れも打たれず他人も打たず無事に行くこそ妙とこそ知れ
争いごとはいけませんよ。つまんらんことだ。
頭をひやしなさい
2人が笑いだし
ムサシ:それではなぜ武士に太刀を帯びることを許しておいでなのですか
小次郎:それはつまり、万が一の場合には抜いてもよいということではありませんか
ムサシ:初めて意見があったな
(と、握手)
小次郎:無礼承知で申し上げる。柳生新陰流は弱虫の剣法です
ムサシ:腰抜け剣法といってもいい
ムサシ:ここに父を騙し打ちにされた女がいる。
それを見ないふりしなさいというのが柳生新陰法ですか
小次郎:困まってる人にささやかにであっても手をかす。
それが剣を持つ者のつとめではないか
ムサシ:悪を悪のまま放っておいて、なにが政治ですか
小次郎:そんなモチのどこがおいしいのか
←ここの2人のテンポが上手いっ!さすがです
すでに、浅川に果たし状を出してきたと。
その場所が2人が決闘する場所と同じ日同じ場所
ムサシ:いったいなにを考えているのか、あなたがたは!
まい:こうしたことにはなれておりませんので、
小次郎さまの果たし状をお手本にいたしました
(笑)
江戸に着きし子狸は~木の葉の小判を差し出して住み込み弟子になり~♪
ここまできたらしょーがない。小次郎が4人に剣術を教えることに
小次郎:
今からでは遅いかも知れぬが、とにかく命がけではげめ!
奇跡が起こるか知れぬ
いや、奇跡をおこそう!
4人が真剣に稽古してる隅で、ムサシも仲間入り
それに小次郎が気づくと
ムサシ:
後日の教訓のためにやらせてもらっている
小次郎:
スキにするがいい
はげしい稽古のかいあって~子狸の腕はあがりけり~♪
みんなの足もスムーズに動きだし、いつのまにか全員でタンゴの音楽にあわせて踊りだしました!
うまい!
ほんとね、マヂ楽しいっ!
ムサシ:太刀を返してあげたらどうだ。丸腰のままではまるでお能のけいこだ
小次郎:
でしゃばるな!ちょうどそうしようとしてた矢先ではないか
←ほんと、小次郎ってオトナゲナイ
だんだんと、小栗さんも“素”でやってるよーな・・・
小次郎:そうだな。打ち込む寸前にペッと唾を飛ばしてみよう!これは効くぞ
ムサシ:
・・・はぁ。
小次郎:いやみったらしい溜息よな。わたしの教え方が気に入らぬようだ
ムサシ:いや、さすが見事に教えるものよと感じ入ってた。
打ち込み3年、切り返し3年、都合6年でやっと一年前というのをわずか1日に縮めようとしていたおぬしの才気はさすが、勇気は見事よ。
あまりにみごとなだけに返って悲しい
小次郎:悲しい?
ムサシ:かくも天才といわれててきたおぬしが、ごろつき侍どもの下種技を懸命に教えている。これは悲しい
小次郎:
ほめながら腐すな!よいか、ムサシ。
わが方にはわずかな時しか残されていない。
基本技に奇手奇策を合わせて鍛えるしかないのだ
・・・まてよ、奇手奇策はおぬしの得意とするとこだったな。なにか策はないか
ムサシ:
無策の策ならばある
4人が真剣にしている中、平心に
沢庵:おまえは本望成就を祈る側へ立ちなさい
おまえの生涯をかけて、お三人の成仏を願いなさい
なんまんだぶなんまんだぶつ~
(ってマヂで手を合わし拝みだし・・・)
小次郎:
葬式はまだ早い!
ここで、ムサシが無策の策を教えてる所に、浅川御一行が。
乙女とやらはおらぬか
小次郎:
やるべきことが山とあっていぞがしくしておる。とっとと帰れ!
(笑)
←この言い方、ほんとツボ
そして、仇打ちが。
見事、腕を切り落とし、ただ、その離れた指がずっと動いてたんよ。
生々しくって・・・
ムサシ:さ、お父上の恨みを晴らすときです
小次郎:ぐずつきめさるな
乙女:
恨みは晴れるのではなくて、太るのでは。
この恨み、今わたくしが断ち切ります
乙女:“うらみ”の三文字を細筆で最初に書いたのは父でした
その文字を、小筆で荒く書き、今わたくしが中筆でなぐり書きしようとしている。
やがてゆかりの方々が太筆で暴れ書きすることになるはず・・・
そうなると、恨み、恨まれ、また恨み、恨みの文字が鎖になってこの世を黒く塗りあげてしまう。
そうなるまえに今はどんなに惜しくとも、わたくしはこの鎖を断ち切ります
平心:(ムサシに)恨みの鎖は切ろうと思えば切れるんですね。
ひとが作った鎖ですからあたりまえではありますが
まい:(小次郎に)ひとという生きものがうつくしくみえるのはこんな時ではないでしょうか
2人が何かを感じたあたりで幕は下り
5刀 第2日 たそがれどき
歩行禅中~
ムサシと乙女がぶつかったとき
乙女:今とても気分がいいんです
恨みの鎖を断ったせいですわ。この気分、ムサシさまにも分けてさしあげたい
ムサシ:試合が終われば、わたしも~
小次郎とまいがぶつかり
小次郎:あの無策の策を目のあたりにしたときの喜び!
ああ、自分はまたとない相手とふたたび刀を交えることができる!
剣客冥利につきるとはこのこと、小次郎はつくづくしあわせものです
まい:恨みを断ち切った時の乙女どののあのすがすがしい姿になにかお感じになりませんでしたか?
小次郎:なにがいいたいのですか?
沢庵さまのお説法!
沢庵:ムサシと小次郎、初試合はいくつのときだった?
ムサシ:
13でした。
小次郎:
9歳です! ←勝ち誇ったげに
沢庵:これまでに戦った試合の数は?
ムサシ:
60までは覚えております。その間一度も敗れることがありませんでした。
小次郎:
目下、99連勝中です
ムサシ:
舟島で敗れたのはだれだ!
小次郎:
決着はまだついていない!
明後日には小次郎の勝ち数はちょうど100になる
ムサシ:
・・・口達者なやつよ
小次郎:
きさまに学んだのよ
沢庵:そこまで剣にこだわるわけは?
小次郎:天下一を誇り、百姓町人の上に立つ栄誉を受け、天下に広げること
ムサシ:天下の大乱を忘れずこの先の戦乱に常に備える。するともう生きるか死ぬかしかない。
ムサシ:剣を唯一の友として己れの人格を築き上げていく、それがムサシの道です。
沢庵:おろかだな、小次郎も。そしてムサシはバカだ。
沢庵:人を殺しても出世したいというところがまことにおろかじゃ
おぬしたちに人を切る資格はない
この道理のわからぬ二本差しはみな、鈍鈍鈍の鈍鈍だよ
ムサシ:いかにしてもそれは暴言です。
小次郎:全発言の撤回を求める。
沢庵:きけ!
小次郎:聞かん!
ムサシ:それがしの35年間の努力はムダですか。そんなばかな・・・
小次郎:小次郎の29年間にはちと汗と涙がつまっている、ムダではない!
まあまあ落ち着いて、これもお説法なのですよ
柳生:わが柳生新陰流は“争いごと無用”としているが、ただ1つ例外があり、
一人を殺すことで万人が救われる時は、殺すのが正義としている。
活人剣、すなわち人を活かす剣である
活人剣をふるうときは、まず己れの中にある3つの毒を殺すこと、これが秘伝よ。
沢庵:
己れのうちに3つの毒を持つ者は、たとえ相手がどんな極悪人であれ彼を殺す資格はない。
欲張ること、怒ること、そしておろかなこと。
己れの心をこーやって(乙女がやったように)切ると切れる
刀を帯びているからには、侍はいつでもそれを抜いてよろしい
だが、刀を抜く資格は心のうちに三毒を持っていない者だけに与えられる。
柳生:しかし、そんな完璧な人間はだれ一人としておらぬぞ
沢庵:
だから、だれも刀が抜けない
柳生:・・・あ、なるほど
小次郎:ムサシ、おぬしは途方もない愚か者ぞ。
おぬしの心はそのおろそかに耐えかねていまに破れてしまうはずだ
ムサシ:何をわけのわからぬことをほざいているのか
小次郎:お通さんの真心を受け入れてやらなかった愚かさよ
夫婦約束までしておきながら、ほったからしたままだ。
かわいそうに。うわごとのようにおぬしの名をよんでるぞ
ムサシ:見てきたようなことをいうな
小次郎:おぬしの立ち回りそうなところへは残らず足を運んでいる~
ムサシ:だまれ!出世第一の優等生め
小次郎:おぬしはおろかさの塊~
ムサシ:おのれ、天下一が大好きなこの秀才やろうめ
ってゆって、小石を投げると、小次郎は扇子でカンとうちかえしてます
ムサシ:やかましい!明後日の朝まで好きなコトをさえずっていろ!
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