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NPO法人POSSE(ポッセ) blog

昨日(3月27日)、POSSEが支援している過労死裁判の判決言い渡しが行われました。

昨日(3月27日)、横浜地方裁判所で、POSSEが支援している過労死裁判の判決言い渡しが行われました。

この事案は、2011年8月、岩手県奥州市にある機械部品製造メーカー「株式会社サンセイ」で働いていた当時51歳の男性(Aさん)が、一ヶ月あたり最大111時間09分もの残業を含む長時間労働が原因で亡くなったというケースです。

翌年(2012年)7月には、花巻労働基準監督署が「発症前2か月においては残業時間の平均が98時間とほぼ100時間に近い時間外労働に及んでおり、請求人は著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に従事していたと認められる」として労災を認定しましたが、会社は責任を認めることはなく、2012年12月に解散しています。そこで、遺族は2017年11月に、「株式会社サンセイ」そしてサンセイの役員ら3人が責任を果たすよう横浜地方裁判所に提訴しました。

27日に言い渡された判決では、裁判所(長谷川浩二裁判長、松本諭裁判官、長岡慶裁判官)は、「株式会社サンセイ」の責任は認めたものの、当時の役員らは「他の従業員に業務を代わってもらうよう...声掛けをした」「見積りソフトを作成して業務を効率化しようとしていた」「発症前1か月の時間外労働時間 (85時間48分) は発症前2 か月の時間外労働時間(111時間09分)よりも軽減したこと」「実現はしなかったものの...被告会社の従業員の増員を検討していた」ことを理由に、責任はないと判断しました。

さらに、Aさん個人が高血圧などを発症していたことから、過失相殺として賠償金の7割を減額するという、今回の過労死の原因の7割が本人にありあたかも「自己責任」であると主張する内容も含まれていました。

驚くべきことに、「声掛け」をして、「ソフトを作成し」「増員を検討する」だけで、取締役による過労防止対策は十分だと裁判所は判断しているのです。さらに、どちらも過労死ラインの80時間を超える111時間から85時間に残業時間がなったことを負担軽減と判断した裁判所には、これ以上過労死が起こらないように過労死遺族の被害を補償するという姿勢が一切見られません。いまは存在しない「株式会社サンセイ」に1500万円を支払いを求める判決という、遺族の救済に一切寄与しない「不当判決」となりました。

詳細については別途、詳しくご報告させていただきますが、遺族は今後、東京高裁で闘いを継続していく意向です。今後とも応援よろしくお願いします。

過労死で会社に賠償命じる判決
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yokohama/20200327/1050009556.html

過労死 元の会社に賠償命じる
https://www3.nhk.or.jp/lnews/morioka/20200327/6040007039.html

1500万円の賠償命令 厚木・企業過労死で横浜地裁
https://www.kanaloco.jp/article/entry-312446.html


過去の報道
妻に遺した言葉「俺に何かあったら訴えろ」東日本大震災後に過労死、遺族が提訴
https://www.bengo4.com/c_5/n_6974/

「過労死」はどのように明るみにでるのか? 遺族が裁判を起こすまで
https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20171121-00078401/

父親の過労死のために闘う遺児へのご支援をお願いします!
https://note.com/sguion/n/nfc2f50f31f12
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