絶望獣ジャムの進撃に気づいていない神殿の者達の視線は賊よりもグリークスを刺していた。
賊の方は、タイラー将軍が完全に抑えているために逃げることすら出来ない。
濡れ衣を着せられたグリークスは。マルーン教皇の護衛であるブランチがグリークスを捕らえるべく差を詰めていた。
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「グリークス、お前、まさか…」
兄のボーダーが悲痛な声を出した。信じられないという目つき。
リゾートも挙動不審な動きでオタオタとしている。
バロゲニア神殿内、会議室。大神官デスペラドが2人の賊の手によって襲われた。手引きをしたのは、デスペラドの4人息子の1人、ヴィジョンズ。だが、この邪悪な男は、首謀者を末っ子のグリークスになすりつけようとしているのだ。 . . . 本文を読む
沈黙。各国の頂点に立つ者達、そして、その側近の者達が凍りついた。
世界に多大なる影響を与えるバロゲニア神殿。この神殿があるからこそ、このガルド会議があるからこそ、均衡が保たれている。
その神聖なる神殿の長、大神官が、突然現われた賊に襲われたのだ。
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白い髪の男…聞いたことがある…とダニエルは思った。我がアーガス国の者だ。名はなんといったか…思い出せない。国内では有名な男だ。どうしてそこまで名が知れている。そうか。歴戦の勇者クラシェイカの初めての弟子だった男だ。剣を教えるということが一切なかったクラシェイカが初めて教える相手としてその白い髪の男を選んだ。当時はかなり話題になったはずだ。その男がなぜゲルニア国滅亡に関与しているのだ。我が国の者だとわかれば、追求はアーガスにも及ぶ。ダニエルは冷静に状況を判断した。今この場では、何も知らないフリをするのが最善だと思った。
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