ムリョーカ小説集

Мориока моя любовь.
盛冈我的爱。
初めは短編小説にするつもりでしたが、長編になるかも知れません。

善人の苦しみ

2023-06-17 10:56:00 | 序盤
昨日、竹林で奇怪な賢者風の老人に出会い、取り敢えず会釈で挨拶をすると、何故私が奇怪な風貌なのかを問えと言うから問わないのも悪い気がして尋ねてみた。
彼は若い頃は人を騙して金を奪い取り、娘を買春宿に売り飛ばすなど、悪行を尽くした極悪人であったが、ある時ふと自分に苦しめられた者達の気持ちに気づいて、居ても立ってもおられないほど懊悩し、遂にこれまでの悪を償う為に警察に罪を洗いざらい白状し、15年の刑期を終えて出所し、その後も学問に勤しんで社会改善の為の書物を書いているのだと言う。

なぜ善人が悪人の社会で苦しむのか。
主は健康な者の為に来たのではない。病人の為に来られた。
主の健康な民が病んだ悪人の中で苦しんでも、主の民には主の永遠の生命が約束されている。

彼らが悪人の中で暮らす事で悪人は多くの自己改善の機会を得るのである。
悪人はこの世のうちに少しでも改善されなければ最悪の地獄に堕ちてしまう。主はそれを悲しまれ、善人がこの世で悪人と共に暮らし、それが悪人の改善の契機となる事を期待されている。
善人には天国が約束されている。
悪人は善人によって改善の機会を与えられている。

#主は善人にも悪人にも慈愛を注がれる

トンビの詠嘆

2023-06-17 06:03:00 | 序盤
全く、金を欲して死を恐れるとは脳がどうかしておる。
金は無駄にはしないし、生命を粗末にはしない。それで良いではないか。
なぜ金をそんなに欲するのか、なぜ死んだら何にもならないなどと言うのか。
それは誰もが地獄に寄生されているからなのだが、それが見える人はほとんどいない。

白樺の訪問者

2023-06-17 05:50:00 | 序盤
八幡平の白樺の林道で夜明けを感じ、地球はこれから大戦争になってしまふのではと案じてをると、何者かが確かに上から僕の眼前に舞い降りてきた。

天上より降り來し彼の者は地球外人類であると自らを紹介し、僕にこう語った。
彼らが地球を意識する時に、地球は一人の地球人類の姿に見えるのだと。
ではそれは如何なる姿かと問へば、盲目の狂人が手に凶器を握って神を打ち据えて居る有様だと。
そしてまた言ふ。
彼らにとって地球とは第一に特別な惑星であり、それは創造の神がこちらの世界に肉体を持たれた、宇宙で唯一の地だからだと。
それはキリストかと聞けば如何にも君たちがそう呼ぶ対象だが、我々はただ創造主、主と呼ぶのだと。
彼らはそれを語りしときその面はたしかに光を発したやうであった。
地球人類は地獄に取り憑かれてをり、目を塞がれ、ウイルスに侵されてをるのだと。
その地獄のウイルスは投資家・金融家、兵器産業、製薬会社などを侵し、そこから全人類に触手を広げてをると。

カラスがガァと鳴くと彼の姿は失せ、朝の高原の大気が僕の肌を撫でた。