最近愛読している漫画「ブラック・ジャック」。
言わずと知れた手塚治虫氏作の医療漫画です。
その単行本25巻に収録されている「過ぎ去りし一瞬」
という作品は、連載終了後に読み切りで掲載された、
少し長めのエピソードです。
この作品は出崎統氏監督のOVAにてアニメ化されており、
タイトルは「サンメリーダの鴞(ふくろう)」と改められているものの、
途中までの筋書は他のOVA作品に比べ、原作に近い印象です。
物語の粗筋は他のサイト様で紹介されているのでそちらにお任せするとして、
その中で、キーワードとなる地名として出てくるのが「サンメリーダ」。
原作では実在するエルサルバドルの地名という設定になっていますが、
アニメでは架空の国家、エルガニア共和国という国の一地名とされています。
さて、前置きが長くなりましたが、物語の中で問題の核心に近づく
「サンメリーダ」というキーワードを掴んだブラックジャックが、アニメ版では
「世界中に何億とある地名の中で、サンメリーダと名のつく土地はただ一つ」
ということを言っています。
そこで、はたと思ったのが、世界中には一体いくつの地名があるのだろう?ということ。
駅名マニアを自負する私には捨て置けない疑問です。
ただ、実際、それを数えることは不可能だと思います。
「サンメリーダ」は物語の中では村と言っていますから、行政区分ないしは集落の名前として、
恐らく地図にも載るレベルの地名でしょう。
しかし地図に載らない、あるいは地図から抹消された地名もまた山のように存在します。
例えば、我が家の目と鼻の先には「太郎山(たろやま)公園」と呼ばれている公園があります。
道路を挟んですぐのところには「太郎山稲荷」と呼ばれるお稲荷さんもあります。
この「太郎山」も恐らくは地名と言えるのでしょうが、何を指す物なのか、由来は何なのか、
地元の古老さえ誰も知りません。
ただ昔から「太郎山」と皆が呼んできたというだけで、無論地図にも載ったことはありません。
地形は元々平坦で、山など昔からありませんでしたし。
また隣町には「キリン公園」と呼ばれる公園もあります。
ここも、キリンの遊具があるわけでもなく、昔から「キリン公園」と呼ばれてきましたが、
由来はやはり誰も知りません。
こういう土着の地名も含めて数えると、地名など世界中レベルでは
何億では利かない数があるような気がします。
「サンメリーダ」も、主人公の記憶の中から出てきた地名なので、ともすれば地図になどに載らない
ごく狭い地域でしか知られていない地名だったかも知れません。
地名があるということは人々の生活の営みがあった証であり、その土地に刻まれた記憶
であるからこそ、大事にしたいものですね。
ですから駅名やバス停名に、住居表示などでとうに消え去った地名が
残っているのを見つけると、私などは嬉しく感じるわけです。
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