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めいぷるアッシュEnnyの日々是好日

『敵』 筒井康隆著 1998年1月刊 函入り

筒井康隆と言っても知らない人がいると思う。「時をかける少々」の著者といえば少し親しみがでるかな。待てよ若い人はこれさえも知らないかも!

『敵』? 誰?何?

最近「敵」が映画化されたのを知り、10年間積読ワーに眠っていた本書を崩れないように引っ張り出した。
読むのはタイムリーで内容的にも身につまされる事が多い。



映画の主演は長塚京三
龍内公美、黒沢あすか、河合優美、松尾愉、松尾貴史他

STORY/
渡辺儀助、77歳。大学を辞して10年、フランス近代演劇史を専門とする元大学教授。20年前に妻・信子に先立たれ、都内の山の手にある実家の古民家で一人慎ましく暮らしている。講演や執筆で僅かな収入を得ながら、預貯金が後何年持つか、すなわち自身が後何年生きられるかを計算しながら、来るべき日に向かって日常は完璧に平和に過ぎていく。収入に見合わない長生きをするよりも、終わりを知ることで、生活にハリが出ると考えている。
麺類を好み、そばを好んで食す。たまに辛い冷麺を作り、お腹を壊して病院で辛く恥ずかしい思いもする。食後には豆を挽いて珈琲を飲む。食間に飲むことは稀である。使い切ることもできない量の贈答品の石鹸をトランクに溜め込み、物置に放置している。菅井歩美に会うためでもある。
できるだけ健康でいるために食生活にこだわりを持ち、異性の前では傷つくことのないようになるだけ格好つけて振る舞い、密かな欲望を抱きつつも自制し、亡き妻を想い、人に迷惑をかけずに死ぬことへの考えを巡らせる。 遺言書も書いてある。もうやり残したことはない。メッセージが流れてる。
いつしかひとり言が増えた儀助の徹底した丁寧な暮らしにヒビが入り、意識が白濁し始める。やがて夢の中にも妻が頻繁に登場するようになり、日々の暮らしが夢なのか現実なのか分からなくなってくる。

「敵」とは何なのか。逃げるべきなのか。逃げることはできるのか。

自問しつつ、次第に儀助が誘われていく先にあったものはー



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