当別・男子修道院

こぬか雨に霞む道、その先は乳白色に隠されている。海から空へとつながって目の前を圧倒する風景は、今は見えない。
先ほどから私の前には一人旅であろう女性が一人水色の傘を差して、歩いていく。
両側から迫る、木々は彼女を優しく包み込むかのように垂れ下がっている。
左の土手には満開の桃色の花が咲き乱れている。まるで暖炉の暖かさを与えるように。
その中をブルーを基調とした服装で歩く彼女の心模様は木々の優しさを感じることが出来たのだうか。
修道院を見て、何を思ったのだろうか。何かを求めての一人旅だろうか。いや、何かを忘れるためなのか。私の好奇心はどんどんと膨らんでいく。
私の好きな下り坂の一つにお誂えの女性が風景に溶け込んでいくのを雨に濡れながら暫く眺めていた。