「暴れん坊将軍」には珍しく、大どんでん返しの悲しいお話だった。ゲスト女優は蜷川有紀。街の女ヤクザ・おぶんだ。数年前に人を刺した若い娘の身代わりとして三宅島に島流しとなったが、江戸に戻って来た。しかし、なぜか命を狙われる。昔取った杵柄でドスを振り回して何人もの男と渡り合う。
通りがかった吉宗の助太刀もあり、その場をしのぎ、吉宗とはその後、何度かで会い、心を開いていく。
そのころ、江戸では深川を中心に無宿者や浪人が無差別に大店に押し込み強盗を働いたり、街で暴れたりと治安が乱れていた。吉宗はウラに何かあるとみて、おなじみの2人の御庭番(密偵、忍者)に調べさせると、口入屋の千石屋と表では木綿問屋を名乗る丁字屋がおり、暴れ者を集めて犯罪を繰り返させていた。さらにその糸を引くのは吉宗と対立関係にある尾張藩の江戸家老だった。江戸を無法地帯として吉宗を追い落とし、尾張大納言宗春を将軍に担ごうという悪巧みを持っていた。
おぶんは、以前からなのか説明はなかったが、丁子屋に世話になっていた。そしてそこの娘・お民(片山由香)を妹のようにかわいがっていた。
そして、お民に「堅気になるように」と真剣に説くのだった。丁子屋は、自分たちの悪事を知り過ぎているおぶんが邪魔なので、何度も殺そうとする。吉宗と付き合いのできたおぶんは次第に、堅気になる決意を固めていく。
そして、小料理屋を開き、新しい人生を始めた。
しかし、おぶんを何かと支えてきた蕎麦屋のおやっさんを、おぶんへの嫌がらせ的に殺されたおぶんは怒り、ひとりで丁子屋へ乗り込もうと夜道を歩く。待ってましたとばかりに殺し屋どもが襲ってくる。ひとりで立ち回るおぶんだが、急に表情が変わる。後ろから刺されたのだ。刺したのは、なんと妹のようにかわいがっていたお民だった。「丁子屋の娘が堅気になるわけないだろ」そう言って笑った。丁子屋の悪事を仕切っていたのは、実はお民だったのだ。
駆け付けた吉宗の腕の中で「あなたに会えてよかった」と絞り出すようにつぶやくと目を閉じた。
吉宗は尾張藩の江戸家老と関係を深めようとしているお民や悪の面々がいる屋敷に乗り込み、成敗開始。お民は逃げようとしたが、すでに死んでいた男につまづき、そいつが上向きに持っていた短刀に自ら刺さり、絶命。尾張の江戸家老は「宗春様には関係ない。自分が勝手にやったことだ」と吉宗に言い残して切腹する。ホントかどうか。
蜷川有紀、当時30手前だろう。実に美しく、脚本的にもやたらアップ画像が多かった。今は画家や大学の客員教授として活躍、数年前に小説家で現参院議員の猪瀬直樹氏と熟年結婚している。また、ゲストで出て欲しいな。