
8月11日 記
台風10号が西日本に上陸のおそれがあるということなので、大阪へのお盆の帰省は、予定を早めて明日出発することになりました。岩手の旅から帰ってまだ疲れが抜けず、おまけに昨日は炎天下、庭の作業(夫作のヘロヘロコンポストの撤去)にいそしんだので、すっかり夏バテの感じです。バテバテだけど今日は、大阪のオカーサンに持っていく野菜や、仏壇にお供えする「びしゃこ」という植物、それにお花を買ってきました。
関西で言う「びしゃこ」と、このあたりで売っている「さかき」や「しきび」などと、どう違ってどれがそれにあたるのか、さっぱりわからず苦労しましたが、二軒目の産直で「びしゃこ」を探し出すことができました。
何か作って持って行った方がいいかなと、先日、塩尻でみつけた「あやみどり」という豆をひたしまめにしてみました。岩手でお正月に食べる「ひたしまめ」。懐かしくてずーっと食べたかったのですが、それに適する豆が三重では見当たらず、青大豆とかみつけてはいろいろ試してみていたのです。
この塩尻の「あやみどり」は、ぴったりでした。こんなことがすごく嬉しい。長野の産直で出会えるなんて。五時間ほど水に漬けてふやかした(岩手では「うるかす」と言う。一言で言えて便利)豆を15分ほど灰汁をとりながら煮て、別に作っておいたしょうゆ味のつゆに浸すだけでできます。夏バテで食欲がなくても、たんぱく質がとれるしいいと思うな。
★8月14日 台風を避けて大阪から帰ってきました。このまま載せてしまおう。
一関市 東山町は宮澤賢治ゆかりの町
さて岩手への旅2日目です。
8月4日 一関市東山町をうろうろ
朝ごはんは旅館名物の「はっとう汁」がメインでした。わたしたちも、おばあちゃんのはっとう汁を食べて育って、なんとなくソウルフードのようになっているので文句なくおいしかった。「はっとう」とは「すいとん」のことで、質素な料理の代表のように思われるけれど、出汁がなんとも言えず味わい深く、小麦粉をこねて、上手に薄く延ばすにはなかなか技術がいるのです。
前日の夕ご飯から気づいていたことですが、なによりなにげなくテーブルに用意されている水がおいしいのです。きっとこの水の良さが、料理をおいしくしているのだと思われます。わたしたちが生まれたときから飲んでいるこの水、こんなにおいしかったんだ。石灰岩の地質のせいかな…よくわかりませんが、思い出すと今でも喉がゴクリと鳴る、本当においしい水でした。(後で調べたら東山町の水道水は湧き水を水源としているそう。すごいな。知らなかったな。おいしいわけだ。)
猊鼻渓 船着き場 砂鉄川
それでは誰も住んでいない家へ向かいましょう。前日、わたしたちの実家の前を通ったとき、ひときわ鮮やかに咲くピンクの百日紅の花が目に入りました。「あーっ。まるで住んでいる家みたいだね。」と思わず言ったのですが、こうして実際敷地に足を踏み入れてみても、空家とは思えない様子です。それもこれもご近所の方が手を入れてくれているから。畑も庭も好きに野菜を作ってくださいと言っておまかせしたところ、草ひきから木の剪定から、きれいにしてくださっているのです。
母が生前、玄関前に植えた百日紅の木の花が見事に満開です。自分がいなくなってから、こんなにきれいに咲くことを見越して植えたんだろうか。あまり他では見たことのないきれいなピンクで、華やかな装いが好きだった母にピッタリです。

家の窓を開け、風を通している間におみやげ配りをしなくっちゃ。ご近所と大本家と本家へまわります。畑を作ってうちの庭の手入れもしてくれているお宅には、ビールも差し上げました。
大本家のおばあちゃんは92才。「なんとなんとー」(訳:まあまあー)と玄関先に出てきてくださって、この時点で妹はツボに入ってしまったらしく、笑ってしまってあいさつになりません。このおばあちゃんの岩手弁は、わたしたち姉妹のほっこりポイントで、繰り返しまねしては故郷を思い出しているのです。「いっつも、ごねんさまいだだいてー」(訳:いつもお心遣いいただいて)も、いい言葉だな。
大本家のおばあちゃんと本家のおばあちゃん うまく描けた
次に伺った本家のおばあちゃんはもう少しお姉さんで、96才。「あねさん」と呼ばれた若いころは、藤色の着物が似合う美人さんでした。今でもきれいなおばあちゃんで、わたしたちにひとつずつ、うちわをすすめてくれる気づかいも忘れないしっかりした96才でした。
母の従妹にあたるおばさんが、「ちょうどいいところに来た。」と言って、小豆の入ったおふかしとお煮しめと、しそ巻き(甘みそを紫蘇で巻いて多めの油で焼く)をごちそうしてくれました。これが本当に、子どものときから慣れ親しんでいる味で、しみじみおいしかったのです。実家もないのに、故郷に帰る度、こうして他では味わうことのできない料理を食べさせてもらって、本当にありがたいな。
家の戸締りをして、一通りのやるべきことを済ませたわたしたち姉妹。そうそう、この町を去る前に寄りたい所があるのです。そこは、2年前にも訪れていて、わたしたちがとてもキモチがアップする場所になったので、今回も行ってみることにしました。(つづく)
中学のときの親友 春代ちゃんのお庭(たぶん) お互いに花好きなおばちゃんに育ってなんだかうれしい
台風10号が西日本に上陸のおそれがあるということなので、大阪へのお盆の帰省は、予定を早めて明日出発することになりました。岩手の旅から帰ってまだ疲れが抜けず、おまけに昨日は炎天下、庭の作業(夫作のヘロヘロコンポストの撤去)にいそしんだので、すっかり夏バテの感じです。バテバテだけど今日は、大阪のオカーサンに持っていく野菜や、仏壇にお供えする「びしゃこ」という植物、それにお花を買ってきました。
関西で言う「びしゃこ」と、このあたりで売っている「さかき」や「しきび」などと、どう違ってどれがそれにあたるのか、さっぱりわからず苦労しましたが、二軒目の産直で「びしゃこ」を探し出すことができました。
何か作って持って行った方がいいかなと、先日、塩尻でみつけた「あやみどり」という豆をひたしまめにしてみました。岩手でお正月に食べる「ひたしまめ」。懐かしくてずーっと食べたかったのですが、それに適する豆が三重では見当たらず、青大豆とかみつけてはいろいろ試してみていたのです。
この塩尻の「あやみどり」は、ぴったりでした。こんなことがすごく嬉しい。長野の産直で出会えるなんて。五時間ほど水に漬けてふやかした(岩手では「うるかす」と言う。一言で言えて便利)豆を15分ほど灰汁をとりながら煮て、別に作っておいたしょうゆ味のつゆに浸すだけでできます。夏バテで食欲がなくても、たんぱく質がとれるしいいと思うな。
★8月14日 台風を避けて大阪から帰ってきました。このまま載せてしまおう。

さて岩手への旅2日目です。
8月4日 一関市東山町をうろうろ
朝ごはんは旅館名物の「はっとう汁」がメインでした。わたしたちも、おばあちゃんのはっとう汁を食べて育って、なんとなくソウルフードのようになっているので文句なくおいしかった。「はっとう」とは「すいとん」のことで、質素な料理の代表のように思われるけれど、出汁がなんとも言えず味わい深く、小麦粉をこねて、上手に薄く延ばすにはなかなか技術がいるのです。
前日の夕ご飯から気づいていたことですが、なによりなにげなくテーブルに用意されている水がおいしいのです。きっとこの水の良さが、料理をおいしくしているのだと思われます。わたしたちが生まれたときから飲んでいるこの水、こんなにおいしかったんだ。石灰岩の地質のせいかな…よくわかりませんが、思い出すと今でも喉がゴクリと鳴る、本当においしい水でした。(後で調べたら東山町の水道水は湧き水を水源としているそう。すごいな。知らなかったな。おいしいわけだ。)

それでは誰も住んでいない家へ向かいましょう。前日、わたしたちの実家の前を通ったとき、ひときわ鮮やかに咲くピンクの百日紅の花が目に入りました。「あーっ。まるで住んでいる家みたいだね。」と思わず言ったのですが、こうして実際敷地に足を踏み入れてみても、空家とは思えない様子です。それもこれもご近所の方が手を入れてくれているから。畑も庭も好きに野菜を作ってくださいと言っておまかせしたところ、草ひきから木の剪定から、きれいにしてくださっているのです。
母が生前、玄関前に植えた百日紅の木の花が見事に満開です。自分がいなくなってから、こんなにきれいに咲くことを見越して植えたんだろうか。あまり他では見たことのないきれいなピンクで、華やかな装いが好きだった母にピッタリです。

家の窓を開け、風を通している間におみやげ配りをしなくっちゃ。ご近所と大本家と本家へまわります。畑を作ってうちの庭の手入れもしてくれているお宅には、ビールも差し上げました。
大本家のおばあちゃんは92才。「なんとなんとー」(訳:まあまあー)と玄関先に出てきてくださって、この時点で妹はツボに入ってしまったらしく、笑ってしまってあいさつになりません。このおばあちゃんの岩手弁は、わたしたち姉妹のほっこりポイントで、繰り返しまねしては故郷を思い出しているのです。「いっつも、ごねんさまいだだいてー」(訳:いつもお心遣いいただいて)も、いい言葉だな。

次に伺った本家のおばあちゃんはもう少しお姉さんで、96才。「あねさん」と呼ばれた若いころは、藤色の着物が似合う美人さんでした。今でもきれいなおばあちゃんで、わたしたちにひとつずつ、うちわをすすめてくれる気づかいも忘れないしっかりした96才でした。
母の従妹にあたるおばさんが、「ちょうどいいところに来た。」と言って、小豆の入ったおふかしとお煮しめと、しそ巻き(甘みそを紫蘇で巻いて多めの油で焼く)をごちそうしてくれました。これが本当に、子どものときから慣れ親しんでいる味で、しみじみおいしかったのです。実家もないのに、故郷に帰る度、こうして他では味わうことのできない料理を食べさせてもらって、本当にありがたいな。
家の戸締りをして、一通りのやるべきことを済ませたわたしたち姉妹。そうそう、この町を去る前に寄りたい所があるのです。そこは、2年前にも訪れていて、わたしたちがとてもキモチがアップする場所になったので、今回も行ってみることにしました。(つづく)
