■刀匠
―― 武士道を支えた職人・芸術家 ――
刀を武士の魂とする観念的習俗が生まれたのは、刀が武士の占有する身分標識となり大小の式制が定められてからだった、とは先に述べたが、その淵源は古代の神剣思想、あるいは霊剣思想に求められる。
古代神話に見られる天と地とを結ぶ剣として神聖視された草薙剣 (天皇位の象徴とされて名古屋市の熱田神宮に祀られている)、邪悪を排除する師霊剣(ふつのみたまのつるぎ . . . 本文を読む
■刀と迷信
―― 泰平の世の日本刀の精神性 ――
ふだん私たちが用いている言葉には、日本刀に関わるものが少なからずある。たとえば、「もとの鞘におさまる」といえば、別れた夫婦が旧縁を復する時などに用いる言葉だし、「鞘当て」は、二人の男が一人の女を目当てに争う時などに使われる言葉である(恋の鞘当て)。
気心の合わぬことを「反りが合わない」、激しく競い争うことを「鎬(しのぎ)を削る」、激戦を「鍔迫 . . . 本文を読む
■刀の拝見
―― 他人の刀を見る時の作法 ――
刀を「魂」とする武士の社会では、他人の佩刀を見せてもらう時の作法も、重んじられた。
今日、人さまの所蔵する刀を拝見する時の細々とした作法にそれは受け継がれているが、昔は次に書くようなことも、本来は心得ておかねばならなかった。
『梅窓日紗』という、江戸後期の随筆(浅野梅堂)に、筆者が父より聞いた話としてこんなことが書かれている。(中略)先方の刀 . . . 本文を読む
■脱刀の作法
―― 刀を置く位置について ――
刃長二尺以上の刀(打刀)と、二尺未満一尺以上の脇差(脇指)とを帯用する「大小」の習俗が生まれたのは、先に述べたように天正年間(1573~92)のことと考えられていて、日本刀は間もなく慶長年間(1596~1615))に至って、[古刀]期から、「新刀」期に移る。
秀吉の刀狩りの前後は、日本刀史に特筆大書すべき事柄が重なった。
大小は江戸時代には武士 . . . 本文を読む
武士が行き違う時、互いの刀の鞘が触れ合う「鞘当て」は、非礼なこととして忌み嫌われた。その為武士は出かけるときに勤めて、道路の左側を歩いた程である。今回は刀が「武士の魂」と言われるようになった歴史的背景をご紹介する。
■身分標識としての刀
図説 「大江戸さむらい百景」渡辺 誠 著 株式会社 学習研究社
( P234~P235)より転載
―― 豊臣秀吉と徳川家康の影響 ――
「刀は武士の . . . 本文を読む