土手一面 粗野に伸びた夏草の合い間に
点々と 謙虚に俯き咲く高砂百合
自らの白さを
暑さで霞んだ青空の下に 晒している
容赦ない 葛の蔓葉は
ジワジワと這って
他に何もないかのように覆い隠す
白と薄紅の花が整然と並ぶ木槿
遠くには 休耕地に植えられたらしい向日葵畑
飼料になるトウモロコシ畑
稔りつつある稲穂達
時折 臨む谷間には
ジオラマより繊細な樹木の緑や家並み
澄んだ渓流
素朴で 緩やかな時間を切り取った
風景画のような車窓に迎えられ
束の間の休息が始まる
さらりとした風を受け
心許せる人達に会いに行く