100の叱責よりも、あの一言

昨日はアントニオの悪戯がひどかった。パソコン机の上にある、
ありとあらゆるものを下に落とす。叱る。また落とす。また叱る。
さらに落とす。あまりに言うことを聞かないので、落とした物を
拾って耳を少し強めに噛んで教育的指導を科す。それでもダメ。

あんまりのことに半分キレて怒る気力もなくなってきたさ。もう
いい。落ちてるものは明日拾って片付けよう。危ないものはな
いからいいや。

と、思いながら机の上を荒らし続けるアントニオの真正面に静
かにしゃがむ。そして一言。

「ばーーーーーーーーーーかっ！」

そう言ったとたん、ヤツはピタリと悪戯を止めて部屋を出て行っ
た。私はそのまま不貞寝した。

その数分後。旦那の部屋から壁越しに訪ねられる。
旦「あの～？叱った？」
私「うん、叱った。」

さらにその数分後、旦那が「ほら、おいで。一緒に行ってあげる
から、ちゃんとごめんなさいしなさいよ。」といいながら部屋にや
ってきた。後ろからはおずおずと気まずそうにアントニオが旦那
の影からついて来る。

不貞寝したままの体勢の私の体の上を静々と申し訳なさそうな
顔をして枕元まで来る。顔を近づけてふんふん。ヤツの謝罪の
時の行動だ。

「もういいよ。」そう言うと、安心したように布団の中に入ってきて
丸くなってゴロゴロ言っている。

旦那によるとこうだった。私の部屋を出てすぐに旦那の部屋に来
たらしい。怒られたり叱られたりしたときに入ってイジケるダンボー
ルの中にいきなり入ったので、何だろうと思って「こっちおいで」と
呼んだ。数分は旦那の胡坐の上で落ち着いていたものの、「違う！
オレはそんなことをしにきたんじゃない！」と思い出したように飛び
跳ねて「んにゃｋｊｆｖのいおんヴぇ」と言いながら机の下に入った。

かと思うと、私の部屋と旦那の部屋を隔てている壁に向かってダッ
シュして壁にすりすりしながら、旦那の方をお願いするような目で
見たそうな。

旦那はそれで悟ったようだ。バツが悪いから謝りたいけど一人で
行けないから一緒に付いてきてほしいのだなと。…大正解（笑）

そんな一件があったからか、今日はなんとなくヤツは大人しい。

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