
12月26日から配信開始となります、新作電子書籍本文サンプルです。
表紙ははるしおん様のとっても素敵な可愛らしいイラストで飾っていただいています。
このお話に関してはあれこれと思い入れが強かったりしますが、ごちゃごちゃ書く前にとりあえずサンプルを先に貼っておきます。よかったらチラ見していってやってくださいませ。
あらすじ
【ガールズラブ作品】苛めようと思ったけど優しくしてあげる――全てに優れていること、アリサの生家はそれが家族の最低条件。劣等感で仕事が上手くゆかず辞表を叩きつけた夜、アリサはバーで破天荒な女の子と出会う。というより一方的に懐かれた?舌っ足らずで甘えた声の花梨は奔放に体の関係を持っては飽きてさようなら。なんなのこの子。放っておけないアリサは花梨を招き親切にするが、むしろ花梨の癇に障ったようで……。体をまさぐって意地悪し、体を提供して寝食を確保する、そんな花梨からいいように快感を与えられるが、アリサは花梨を愛しはじめる。守りたくて悩むアリサ、守られ慣れず混乱する花梨。ちぐはぐな恋は悦楽を超える――?
以下、本文サンプルです。(第一章分)
※女性同士の性的な描写がありますので苦手な人はご注意ください。
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柔らかなぬくもりのある唇が、そっと首筋に押し付けられた。
あまりにも優しい感触に、なぜだか泣きたくなるような感情がこみ上げてくる。
許されるならすべてを捨てて逃げ出してしまいたい。
うまくいかない現実からも、大嫌いな自分自身からも。
そうすれば、何かが変わるかもしれない。
どこか別の場所で、新しい人間に生まれ変わって生きられたら。
意味のない現実逃避。
くだらない。
自嘲気味な笑いを浮かべながら、緋山アリサは机の上に立てかけられた楕円形の鏡にちらりと視線を向けた。
化粧を落としたせいか、目元に疲れが目立つ。
ストレスで荒れた肌や無造作に束ねた髪のほつれ具合も合わさって、二十六という実年齢よりもずっと老けて見える気がした。
顔のパーツが無駄に派手なせいで他人からは美人だと言われることもあるが、自分の顔が好きだと思えたことは一度もない。
その真横では、桃野花梨が絵画の中から抜け出してきた可愛らしい少女のようにあどけなく微笑んでいる。
降り積もったばかりの雪を思わせるような白い肌、長い睫毛にふちどられた大きな瞳、桃色の頬、赤く濡れたような艶のある唇。
少し癖のある薄茶色の髪は胸が隠れるほどの長さで、ふんわりとした自然な螺旋を描いている。
後ろからアリサの肩にまわされた腕は小枝のように細く、少しでも余計な力を加えると簡単に折れてしまいそうだった。
体に巻き付けてあるバスタオルからのぞく豊かな胸のふくらみがなければ、まだ幼い子供のようにも見える。
とてもアリサと三つしか変わらない年齢だとは思えない。
けがれを知らない純粋無垢な女の子。
そんな外見を持つ彼女の中身が少しも純粋ではないことを、アリサは嫌というほど知っていた。
「ねえ、まだぁ? もう真夜中だよぉ、早く寝ようよぉ」
甘えるような愛らしい声に耳をくすぐられる。
ああ、もう。
気が散って考えがまとまらない。
アリサは苛立ちをぶつけるように花梨を睨みつけ、絡みついてくる腕を振り払った。
「先に寝てって言ったでしょう。明日は仕事の面接があるから、早くこれを仕上げなくちゃいけないの」
机の上には書きかけの履歴書。
特技や自己PRの欄になるといつも何を書けばいいのかわからなくなり、途中で手が止まってしまう。
花梨はいかにも不満そうな様子でため息をつきながら、またアリサの背中にぴったりと自分の胸をくっつけて抱きついてくる。
「やだぁ、つまんなぁい。そんなの明日の朝書けばいいでしょ」
「そんなわけにいかないわよ。お願いだから邪魔しないで」
花梨を無視して続きを書こうとすると、今度は乱暴に履歴書をひったくられ、これ見よがしにびりびりと破られた。
「はい、おしまーい。これで一緒に寝られるよねぇ?」
花梨は誇らしげにそう言い、両手を頭の上にあげてパッと開いた。
ただの紙屑と化した履歴書が、ひらひらと床の上に舞い落ちていく。
何度も書き直したせいで予備はもうない。
あっけにとられるアリサの前で、花梨はきゃあきゃあと笑っている。
「か、花梨! いったい何を考えて」
「あはは、アリサちゃんが悪いんだよぉ。花梨と遊んでくれないからぁ」
「ワガママもいい加減にしなさいよ! ぐずぐずいうなら、いますぐここから出て行っ……」
続きを言わせまいとするように、花梨が素早く唇を重ねてきた。
いまだに慣れることのできない女同士のキス。
男にされるのとは違う、繊細で優しい粘膜の触れ合い。
衝撃と甘酸っぱいような快感、それにほんの少しの罪悪感がつきまとう。
一瞬で頭の中が空白になり、怒りも苛立ちも吹き飛ばされる。
どこか遠慮がちに差し入れられた舌先は、何かを探し求めるようにゆっくりとアリサの口の中を撫でていく。
だめだ、と思う。
こんなことをしている場合じゃない。
花梨のペースに巻き込まれてはいけない。
そう思いながらも、アリサの手はいつのまにか花梨の背中を優しく撫でてやっていた。
強い酒を無理やり飲まされたときのように、体の芯が熱く痺れてくる。
とくん、とくん、とふたりの鼓動が重なり合っていく。
自分に必要なものはこれだったのかもしれない、という錯覚が起きる。
違う。
これはただ、花梨がふざけただけ。
深い意味なんてどこにもない。
そう自分に言い聞かせながら、ふいにアリサは頬に触れる花梨の手のひらがひんやりと冷たいことが気になった。
「ねえ、寒いの?」
唇を離してアリサが問いかけると、花梨はうっとりと目を細めて頷いた。
媚びるような表情。
少しとがらせた唇の端から、透明の雫が垂れている。
「寒いよぉ。だからねぇ、あったかくなること、したいなぁ」
語尾を伸ばす甘ったれた話し方が苦手だと思う。
そもそも、暑い暑いと騒いでエアコンの設定温度を下げたのは彼女の方だ。
自分勝手なことばかりするところも嫌いだと思う。
どう考えても仲良くなれそうにはない。
それでもアリサはなぜか花梨を拒むことができず、こうして彼女を受け入れてしまう。
くるりと椅子の向きが変えられた。
花梨が角度を変えて口づけを繰り返しながら、アリサの太ももをまたぐようにして膝の上に乗りあがってくる。
重いとは感じない。
まるで子猫を抱いているような感覚。
女の子を相手にする趣味などないはずなのに、こうして向き合っていると胸が締め付けられて息苦しいほどドキドキしてしまう。
そんな自分の状態をごまかすように、アリサはできる限り冷静な声を出して花梨から目をそらした。
「寒いなら、いつまでもそんな格好してないでパジャマ着れば? 寝室にいくらでもあるから、好きなの選んでいいわよ」
「パジャマの話なんかしてないもん! 花梨はねぇ、アリサちゃんとエッチしたいのぉ」
「しない。何回も言ったでしょう、わたしはそんな」
「嘘つき! いつも花梨が舐めてあげるとぉ、いっぱい声出して気持ちよくなっちゃうくせにぃ」
「あれは違うの。花梨が無理やり……それに、よく覚えてないから」
「んもう、つまんないっ! だいたいねぇ、アリサちゃんにはこんなの似合ってないんだからぁ」
花梨はアリサが着ているブルーのTシャツとパイル地のショートパンツを交互に眺め、納得いかないというように頬をふくらませた。
ちっともセクシーじゃない、手触りも悪いし色も柄も変、と文句ばかり並べ立てている。
アリサがその気にならないのが悔しくて、どうやら服に八つ当たりをしているらしい。
腹を立てる気も失せて、アリサは思わず笑った。
「はいはい。今夜はもう寝なさい、明日の面接が終わったら、一緒に遊んであげるから」
「ほんとぉ? アリサちゃん優しいから好き! でも、そういうお母さんみたいな言い方は嫌ぁい」
「お母さん? そんなに年上じゃないわよ」
「わかってるもん。じゃあ、おやすみぃ」
何を思ったのか花梨はアリサの膝に乗ったまま、ぺとんと体の力を抜いてもたれかかってきた。
アリサの首元に鼻を寄せ、肩のあたりに頬ずりをしてくる。
首や腕にさらさらと触れる髪が、妙にこそばゆく感じられた。
「いい香り、大人の女の人の匂いがするぅ。香水?」
「つけてないよ、シャンプーか何かの匂いじゃない?」
「美味しそう、食べたくなっちゃうかも」
「わけわかんないこと言わないで、早くベッドに……きゃっ!」
両手で花梨の体を押しのけようとしたとき、首筋に鋭い痛みが走った。
その直後、同じ場所をぬるぬるとしたものが這い回っていく。
一瞬で動けなくなった。
花梨がうなじに歯を立てながら唇をつけ、その跡を舌でぺちゃぺちゃと舐めている。
背筋がびくりと震え、産毛がぞわぞわと逆立っていく。
「や、やめて……花梨、だめ」
「ちょっとだけぇ、いいでしょぉ? アリサちゃん」
ここが弱いんだっけ。
それとも、こっちかなぁ。
そう言いながら顔の位置を下へとずらし、鎖骨のくぼみをそろりそろりと舌先でなぞっていく。
じわじわと肌が溶かされていくようだった。
言葉にできないような熱い痺れが、皮膚の表面から体の深いところへと流れ込んでくる。
ときおり噛みついてきたり、痣ができそうなほど強く吸われたりするのがたまらない。
油断すると、喉の奥から恥ずかしい声が漏れてしまう。
こんなのことをされて、気持ちいいはずなどないのに。
男性に同じことをされても、これまで一度も喘ぎ声など出したことはなかった。
彼らのプライドを気遣って、感じているふりをするのが精いっぱいだった。
だけど、いまは。
自分の中の価値観が揺さぶられる。
何か大切なものが壊されてしまいそうで怖くなる。
「やっ、やめて。いい加減にしてよ」
「どうして怒ったふりなんかするのぉ? ほんとは気持ちいいって思ってるんでしょ、花梨がたしかめてあげる」
Tシャツの上から、きゅっ、と胸の先をつままれた。
目に見えない細い針を突き刺されるような鋭い衝撃に、腰がびくんと跳ね上がる。
痛みはまったくない。
くりくりと摩擦するように指先が動くたび、ほの甘い快感が塗り込まれてくる。
まるで、ひどい辱めを受けているような気分だった。
息が苦しい、恥ずかしい。
だけど、もっといっぱい触られたい。
どうしてこんな気持ちになるんだろう。
自分の心までもが思い通りにならなくなっていく。
敏感な突起の奥まで弄られているような感覚に、じわりと涙が滲んでくる。
「あ、ん、んっ……」
「ああん、可愛い声。やっぱり感じてるんだぁ、アリサちゃんの乳首こんなに硬くなっちゃってるよぉ?」
勝ち誇ったように花梨が笑う。
からかっているような口調が神経に障る。
いますぐ部屋から放り出してやりたいと思うのに、アリサの手は花梨の小さな背中にすがるようにしてしがみついていた。
「変なこと言わないで、感じてなんか……だめっ……!」
「あはっ、おっぱい触られるのが好きなんだぁ? じゃあ、もっといいことしてあげなくちゃ」
もっとアリサちゃんが悦ぶこと。
いっぱい気持ちよくなれること。
花梨が体の位置を下げていく。
するりとアリサの太ももから滑り下りて床に膝をつき、服の上から胸に手を添えて顔を埋めてくる。
ふっくらとした乳房の感触を愉しむようにやわやわと揉みながら、ちろりちろりと乳頭の頂点を舐めていく。
「い、いやあ……あ、あっ……!」
責め立てられるような愛撫の連続に、背中が大きく反りかえった。
薄い布越しに、熱く濡れた舌の感触がはっきりと伝わってくる。
ぬるぬるして、熱くて、めちゃくちゃ気持ちいい。
嫌だって言ったのに、こんなことされたくないのに。
だけど花梨が寂しがるから、花梨は可哀そうな子だから。
自分への言い訳も底を尽きかけている。
欲しかったのはこれだと体が訴えかけてくる。
絶妙な舌遣いでアリサの胸を弄びながら、花梨が内緒話をするように囁きかけてくる。
「アリサちゃん、恥ずかしいね。女の子に乳首舐められて、こんなになっちゃうなんて」
「や、めて……い、言わないで……」
「いいじゃない、いつも真面目なアリサちゃんはぁ、いまだけ悪い子になるの。ねえ、花梨と一緒に悪い子になろうよぉ」
そうしたら、もっといいことしてあげる。
いつもみたいに、最後までいかせてあげる。
本当は覚えてるんでしょ?
怒らないから、素直になって。
アリサちゃん、大好き……。
花梨の言葉が、無数の輪になって脳内でくるくると踊っている。
残されたわずかな理性が、誘惑に抗っている。
だめよ、悪い子になんてなれない。
みんな、いい子じゃなきゃ好きになってくれない。
親も、友達も、会社の人も。
でも、花梨はみんなと違う。
すごく変わっていて、いつでもめちゃくちゃなことばかりしている悪い子。
そうよ。
わたしもなりたい。
花梨のように、自由で奔放な生き方がしてみたい。
悪い子になりたい。
揺さぶられる心が、強い目眩を引き起こしていく。
見慣れた世界が崩れ去り、花梨のことだけしか見えなくなる。
「花梨……わたし……」
「泣いちゃだめぇ、花梨も悲しくなっちゃう。アリサちゃんはねぇ、そのままじっとしているだけでいいからぁ」
Tシャツが胸の上までたくしあげられていく。
アリサは抵抗せず、ただじっと花梨を見つめていた。
涙で霞んだ視界の中、人形のように整った顔を持つ少女が乳房に唇を寄せてくる。
彼女に言われるまで、自分が泣いていることもわからなかった。
現実と非現実の境目が、ひどく曖昧になっていく。
ねっとりとしたものがと乳首に巻き付いてきて、軟体動物のようにうねうねと蠢いている。
赤い舌先は、禍々しい毒を持った生き物のようにも見えた。
服の上から舐められるよりも、ずっと直接的な刺激に肌が包み込まれていく。
じりじりとした熱に、乳頭の先端が焼かれて舐め溶かされていくようだった。
こんなことされたら、普通でいられなくなってしまう。
だめ、もうだめ!
「あぁ……ん……」
堪えきれずにかすかな声をあげると、花梨はさらに意地の悪い声で囁きかけてきた。
「アリサちゃんのおっぱい、とっても綺麗。真っ白でふわふわ柔らかくて、こんなに大きいのに乳首はちっちゃくて可愛い」
「き、聞きたくない、やだ」
「こんなに感じちゃってるくせに、まだ恥ずかしいのぉ? ふふ、だったらもっと恥ずかしくさせてあげる」
恥ずかしい方が感じるんだよねぇ。
知ってるよぉ、アリサちゃんのことはなんでも。
得意げな花梨の声に反発したくなる。
嘘よ、そんなことない。
だって、わたしは。
そこで思考が中断される。
花梨がアリサの太ももを大きく開かせて、ショートパンツの裾から両脚の間に指を差し入れてこようとしていた。
「な、なに? いやっ」
「怖くないよぉ、じっとして。アリサちゃんのもっといいところ、花梨が探してあげるんだからぁ」
細い指先が服と下着の布を横へずらし、その内側にするりと潜り込んできた。
陰部の裂け目を押し割られながら。縦に擦り上げられていく。
こんなの、もう無理。
恥ずかしくて我慢できない。
それでも、やめてほしいとは思わない。
くちゅ、と粘膜の狭間が開かれた感触があった。
ひんやりと冷たいものが、膣の入り口をこじあけてアリサの中へと沈み込んでくる。
じっとりと潤んだ肉襞は何の抵抗も示さずに、花梨の指先をしっかりと咥え込んでいく。
じくん、じくん、と腹の奥が熱く疼いている。
アリサは腰を震わせながら、大切なところを同性の手で犯されていく屈辱と快感に耐えていた。
「ひっ……あっ……!」
「アリサちゃんのここ、いっぱい濡れちゃってるぅ。感じすぎてお漏らししちゃったのかなぁ。ねえ、どうなのぉ?」
「わ、わたし……あ、あ……」
「お返事もできないなんて、だめねぇ。でもアリサちゃんの中は素直ないい子、もっと欲しいって花梨の指に吸い付いてくるんだもん」
何か言い返したいと思うのに、体の中で花梨が動くたびに言葉がバラバラに砕かれていく。
膣内に差し入れられた指はくすぐるように膣壁を撫でまわし、いったん引き抜かれてはまた突き入れられて同じ動作を繰り返す。
痺れるような愉悦の波が、次から次へと押し寄せてくる。
はあ、はあ、と息が弾む。
意識しないうちに腰が揺れてしまう。
心と切り離されたように、体だけが貪欲に性の快楽を貪ろうとしているようだった。
指を挿入されたまま、再び乳首を口の中に含まれてねろりねろりとしゃぶり立てられた。
「きゃ、あ、あぁっ……」
泣き声とも悲鳴ともつかない音が、自身の口から放たれていく。
彼女に触れられているところから、とろりとろりと骨まで蕩けるような快感がもたらされていく。
この感覚には覚えがある。
あの夜、花梨と出会った日。
初めて知った絶頂感。
昇り詰めていく悦びがアリサを狂わせていく。
「んっ、そこ……いいの、いいっ……!」
もうどこをどうやって触られているのかも、よくわからなくなってくる。
あらゆる刺激がひとつになって混ざり合い、肉体をオーガズムの淵へと追いやっていく。
花梨の指に秘部をなすりつけるように、アリサは自分から腰を振った。
だって、こんなに気持ちいい。
欲しいの、もっと。
いまはそれだけしか考えられない。
「もうイッちゃうのぉ? 悪い子ねぇ、アリサちゃんは本当に悪い子」
でも、花梨は悪い子が大好き。
アリサちゃん、すごくエッチな顔してる。
恥ずかしい格好、見られちゃってるよぉ?
嬉しそうに笑う花梨の声が聞こえる。
いや、見られたくない。
体中が熱くて苦しくて、どうにかなってしまいそう。
助けて、花梨。
救いを求めるように伸ばした手が、思い切り強く引っ張られた。
力を失った体が、崩れるように床の上に倒れていく。
横たわったアリサの隣に寄り添いながら、花梨が火照った体を押し付けてきた。
心なしか、呼吸が荒くなっている。
「エッチなアリサちゃん見てたらねぇ、花梨もして欲しくなっちゃったぁ。ほら、ここ……ね?」
握られた手が、花梨の太ももの狭間に導かれていく。
指先に、しっとりと濡れた女性の器官が触れた。
陰毛の感触はなく、つるりとした柔らかな肉の中央に潤んだ粘膜が口を開いている。
お願い、と媚びるような花梨の目。
ほんの少し指先で撫でてやっただけで、小さな肢体が面白いほどびくびくと反応した。
どこまでも勝手な子。
わたしにあんなことをしておいて。
許せない。
泣かせてやりたい。
心に潜んでいた歪んだ欲望が引きずり出されていく。
「いいわ……花梨、おいで」
空いているほうの腕で花梨を抱きしめ、愛撫もしないまま中指と薬指を温かな裂け目に突き入れた。
とたんに、花梨が背中を震わせながら悲鳴をあげた。
いや、いや、と首を振り、ぽろぽろと涙をこぼしている。
「だめぇっ……もっと優し、あぁっ……!」
「触って欲しかったんでしょ? いやらしい子、あんたなんか大嫌い」
柔らかな媚肉がアリサの侵入を悦ぶように、ねっとりと指先にまとわりついてくる。
根元まで突き入れた指を捻じるようにして、ぐりっ、ぐりっ、と膣奥を抉った。
花梨の泣き声が大きくなる。
その声に昂奮している自分がいる。
腕の中で暴れる体を無理やり押さえ込み、はだけたバスタオルの下からのぞく乳房に口をつけた。
他の部分は心配になるほど痩せているのに、胸だけが大きく発達しているのも気に入らない。
ぐちゅ、ぐちゅ、と指で秘肉を搔き回しながら、白い乳肌にいくつもの吸い跡をつけた。
痛い、やめて、と喚きながらも、花梨は陰部から呆れるほど大量の蜜液を溢れさせている。
「わたしのこと触りながら、自分のここをビショビショに濡らしてたの? どうしようもない子ね、花梨」
「だ、だって、アリサちゃんが……あ、あうっ」
まだ触れてもいない乳首が、大きく膨らんで突き出ている。
そこを咥えてきつく吸いながら、何度も歯を立てて噛んでやった。
どれだけ噛んでも硬さを失わず、こりこりとしている様子が憎らしいとさえ思えてくる。
花梨の声を無視して、狭い膣穴に三本目の指を捻じ込んだ。
肉襞を引っ掻きながら、親指で割れ目の結び目にあたる場所も弄ってやった。
乳首よりもずっと小さく弱々しい突起が、何度か擦り上げただけで小石のように硬く尖っていく。
「だめ、そこはほんとにだめえっ! 花梨ね、そこが一番弱いの……ひっ、いやあっ!」
陰核の先を爪で削り取るように掻き毟り、指の腹でぐりぐりと押し潰した。
花梨の肉体が大きくしなり、淫裂の奥がビクビクと痙攣しているのがわかる。
おそらく絶頂に達したのに、まだ快感が止まらないのだろう。
もっと虐めてやりたい。
ワガママな体を壊してやりたい。
嗜虐的な悦びが湧き上がり、アリサ自身の秘部も熱い液体で満たされていく。
ああ、今夜もまた眠れない。
仕方がないから、もう少しだけ遊んであげる。
まだ泣きじゃくっている花梨の唇にキスをしながら、アリサは蜜液に光る指先で彼女の太ももをそろりと撫でた。
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サンプルはここまでです。
ご興味持っていただけましたら、続きは各電子書籍配信サイトにて12月26日よりご覧いただけますのでどうぞよろしくお願いいたします。
冒頭に書いた通り、このお話には思い入れが強く。
まず、登場人物。
作中に出てくるアリサと花梨、実は夢中文庫様で前回出させていただいたお話の中にも脇役で登場しています。
彼女たちの物語をいずれまたどこか、別の場所で書けたらいいなというお話を担当の方にさせていただいていたときに、別の場所じゃなくてもウチでガールズラブ枠で書いていいよ、なんならガールズラブ用のレーベル作るよ、という非常にありがたいご提案をいただきまして。
それじゃあってことで、もう彼女たちについて書きたかったことをあれもこれもと詰め込んで書かせていただいたものだから、書いても書いても終わらなくなってしまって、他のに比べて長い!!!
でも書いてる間ずっと楽しくて、なんだかほんとに幸せな時間を過ごさせていただきました。
他のお話ももちろんそれぞれに私にとって大切なものであることに変わりはないけれど、
中でもこのお話は自分にとって特別なものだったりします。
あ。
最近女の子同士のお話ばっかり書いてるけど、べつにそっち専門に鞍替えしたわけじゃないよ。
年明け(いつになるかまだ未定だけど)には、男女のお話の電子書籍も出る予定です。
そっちは別の意味で思い入れが強かったりしますが、まあその話はまた後日。
これが今年最後の電子書籍配信になるんだなーと思うとまた感慨深く。
今年は後半頑張ったけど、前半小説から離れてたのが我ながらちょびっと悔いが残る。
来年は年間通して書き続けていけたらいいなと思いつつ。
ではでは、このへんで。
今日はクリスマスイブだー。
我が家はベタだけどケンタッキーのパーティーバーレルを予約したよ。
皆様も素敵なクリスマスをお過ごしください!
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