
そして思うこと。
昔の男はよく泣くなあ・・いつごろから泣かなくなっていつごろからまた男が泣くようになったのだろう。
渋川春海もこの本の中でよく泣く。
しかしながら驚くほど根気強く、しかも優しい男だ。
というか、著者の人柄がとても良く出ているのかなと思ってみたりする。
私は著者を知らないが、きっと渋川春海のような人間性も持った人なんだろうなと。
一番すきなのは、ある種の潔癖さと完璧さを感じさせるところだ。
ある種の潔癖というのは、その人間の品というか徳というか良心と言ったらいいのか渋川春海を初め、その界隈に位置する志しを同じくするものたちの大事の前の小事に囚われない潔さがとても魅力的だ。
保科正之は狂いのない日本固有の暦を作るよう渋川に持ちかけた。
徳川幕府、陰の総裁といわれた会津藩主保科正之の大きさにあらためて福島県民としての誇りを感じる。
暴力をもってせず文化をもって世の中を変革するという改暦の儀は武士像の変革でもある。
22年かかり、出来上がった大和歴に今、帝の勅令が下るか否かという場面からこの本は序章として始まる。
この本の帯に、20年にわたる奮闘・挫折・喜び・そして恋とある。
恋と言っても実に清清しい恋であり、遂には結婚に発展する恋である。
渋川春海の触れ合う人々が次々とこの世から消えてしまう哀しさと辛さの中、初恋で2度目の妻、えんにお願いする言葉は「自分より先に死んでくれるな」。
亡くなる数日前、二人にゆかりの金王八幡の神社へ行き、春海が献げた、関孝和への誤問の算額絵馬をもらって帰ったという。
二人は同じ日にこの世から消えるという相思相愛の仲であったと結んである。
二人の死、それは不幸ではなくまったく祝うべきことであったと。
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