a green hand

「悪魔がニコニコしながらやって来る」



リビングにクラシックの曲が流れていた。
テレビがついていない時、それはキッチンで夫が洗い物をしている時である。

そこは、韓国からいきなりヨーロッパである。。
それも滅多にないヨーロッパ。
普段は誰も見ていないテレビの音が流れている。

私はといえば、自室で美術関係の録画を観ていて、お父さん一緒にエッシャー展に行かないかなと思いながらリビングに向かった。

そしてキッチンのガラス戸から夫の動きを見ると何か洗い物ではないいつもと違う雰囲気がある。

リビングの方からキッチンに顔を出すと私の気配を感じた夫が「悪魔がニコニコしてやって来る」の言葉を私に向かって放った。

夫は冷やし中華の錦糸卵を作り中だったのだ。
その言葉におかしくなり「エッシャー展に一緒に行かない?」という言葉は笑いとともに吹き飛んでしまった。

そういえば朝食の時、お昼は冷やし中華にしようと呟いていたな………。
でもまだ10時ではないか。

「下ごしらえをしておくと非常に楽なんだよな」と夫が悪魔相手につぶやいた。

去年の今頃は、私が医大の先生相手に怒り爆発の日、血液内科のT先生の迫力もすごかった。

でもその先生のおかげでこうして今、夫は冷やし中華の下ごしらえまでできて、治療開始1年でほぼ元に戻ることができている。

浅利慶太が悪性リンパ腫で亡くなったという。(翔太から慶太に訂正、お詫びいたします。)
夫も85歳ぐらいまで生きられたらそれは寿命ではないかと思える。

とにかく無理をさせない事である。
好きな事をしてもらうのが一番いい。

庭は全く見向きもしなくなり、夫にとり庭は好きな事ではなかった。
私のためにやってくれていた事が判明した。
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