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日記地獄

~世界の終わりが砕け散る編~

今週の1本 その13 ~邦題って難しい~

2011-11-17 09:36:10 | TV・映画
「その土曜日、7時58分」

時間軸の交差というか巻き戻しというか、それで魅せる映画。 前にも書いたがタランティーノの十八番。 「運命じゃない人」みたく作り込んだ脚本・構成がなければ、タラみたいにスタイリッシュに見せるしかない。 
この映画の場合、時間軸を戻って実はこうだった、と少しづつ内容が見えてくる。 ちょっとくどい感はあるんだけど硬派な作りになっております。

しかし、この映画。 監督は「12人の怒れる男」のシドニー・ルメット。 制作した時、御年84歳。 やるなぁ。 
「犬神家」新しいの見てないんで何とも言えませんが、日本で言えば90歳越えての市川昆ですよ。  もしくは鈴木清順。 爺さんがんばっております。 ま、「ゴーストライター」ならぬ「ゴースト監督」かもしれませんが。

イーサン・ホークを久々に見たが良い役者になりましたねぇ。 どうしようもねぇダメな弟を好演です。 こんな演技できる人だったっけ? 顔も良く演技もできるのになんで人気でないのでしょうか。 

兄役はフィリップ・シーモアホフマン。 この人は間違いないですね。 なんだろ?この安心感は。 今回も表は堅実なできた兄貴だと思いきや、シャブ中だわ、知らぬ間に嫁さん…あまり書くとネタばれになるんで書けませんが。 冒頭からいきなり白デブのF○CKシーンですよ。 つかみはOKですね。 
この人が裸さらけてやってる映画はたいがいおもしろい。 以前に見た「ハピネス」も良かった。 めっちゃ毒だらけで変態さん大集合なので彼女が見たら怒るか途中から席立つような映画ですが。 (「ハピネス」の同じ監督なら「ストーリーテーリング」ってのが最高) 
しかし演技上手すぎです。 特にラストでの困り顔とか。 俺的困った顔選手権第2位をキープです。 前に書いたが、1位はW・H・メイシーが独走中、ってかこの人は殿堂入りだな。 3位はブシェミ。


ダメなほう、ダメなほうに転がってく映画好きなのかも。 ひねくれてると言うなかれ。 「嫌われ松子」なんてそんな映画の典型です。 (大好きでDVDまで買いましたもん) だけどなんであんな内容で人気でたのでしょう? それだけ需要があるってことですよ。 みんな欲してるんですよ。

結論「すんげーおもしろいわけでもないが、つまらないわけでもない、至って硬派な映画です」

今週の1本 その12 ~親になってから見るとまた違うのかも~

2011-11-14 10:50:04 | TV・映画
やばい更新をサボってたら今年も残りわずか。 なので焦って今年見た映画の感想だけでも書いていく。 結局今年は29本しか見てない。 目標50本は無理そうだ。 

「ミスト」

よく聞く宣伝文句で「衝撃のラスト10分」とかいうのがある。 だいたい、そんなこと言う映画はつまらないと相場が決まっている。 つまらんからこそ、宣伝で煽って見させるようにするのだ。 この映画も、そんなようなキャッチコピーがついていた。 果たしてこれはどうだったのか?

簡単に内容を書くと、すんげー台風が田舎町を襲う。 買出しの為にスーパーマーケットに集まる人々。  
台風はおさまるが、辺り一面を異様に濃い霧が覆う。 しかも霧の中には得体のしれないものがうごめく。 身動きのとれない住民達。 
やがて恐怖から始まる疑心暗鬼、集団心理。 宗教を掲げ斡旋する人、暴力・権力に物を言わす人、自暴自棄になる人、正義(考えようによってはエゴ)な倫理観を貫く人。 近隣住民でありながら、どこか見ず知らずの人達が恐怖に蝕まれていく。 徐々にむきだしになっていく人間性。 

そして衝撃のラスト…。


「シャイニング」、「ミザリー」以来のS・キングの当たりでした。 
(「シャイニング」は評価が真っ二つに別れる作品ですが、俺は好き。 ってかキューブリックで唯一好きな作品)

監督のF・ダラボンはそれまでにもキング原作の作品を作ってたが、どれも好きではなかった。 「ショーシャンク」なんてクソもいいとこで。 何に感動するのかちっとも分からない。 どこがどう良いのか説明して欲しいくらいだ。

話は変わるが、この「ショーシャンク」辺りから感動作、傑作ってのがおかしくなる。 「泣ける映画」=「傑作」ってやつだ。 特に邦画では人が死ぬっていう分かりやすい安易な設定で「恋空」やら「セカチュー」やらがボンボン作られる、最近だと「星守る犬」とかだな。 「あれ泣けたねぇ」、「あれは別に泣けんかった」と『泣ける』ことがさも重要なことかのような流れだ。 いかんともしがたい。

閑話休題。 
「ショーシャンク」、「グリーンマイル」、で次が「ミスト」。 やるじゃねぇかダラボン! 前2作で信頼を勝ち取って、実はこっち側のを作りたかったんじゃねぇの? そう思えるくらい、本当に衝撃の後味の悪いラストでした。 分かる人には分かる「ベリーバッドウェディング」以来の後味の悪さです。 

もちろんさっきの「泣ける」じゃないがラストがスゴいからって良い映画ではない。 
「シックスセンス」は別に好きじゃないし(ってかシャマラン全部苦手だ)、みんなが結構褒める「ユージュアルサスペクツ」もあまり好きではない。 
特にもうラストの『どんでん返し』がやりすぎ映画「アイデンティティー」なんてトンデモ映画の極みですよ。 まあ、ある意味「アイデンティティー」は逆に見た方が良いですけどね。 「んなアホな」とお口ポカ~ンとなること受け合いです。
『どんでん返し』をお決まりごとと遊んでいる「ワイルド・シングス」は好き。

定かではないが、洋画をほとんど見ないelさんも「ミスト」見たと言ってた記憶がある。 その時に白黒版もあるって話をしたような? たしかに白黒で見た方が味があるかも。 60年代っぽい雰囲気で楽しめそう。

「上半・期ンポー」では佳作にしたこの映画。 「チェイサー」さえなければ確実にベストにしてました。 そのくらいのラスト。 考えさせられる。 見て損はないんじゃないかな。

結論「衝撃のラスト初体験は『猿惑』。 幼い時に見たあれを超えるのは難しい」

久々のNHK

2011-11-07 20:54:19 | TV・映画
先日YUKAYUKAから

>朝の教育番組(シャキーン)に『ホルモン』っていう人たちが出てたって。28日にもでるそうだけど…。

というメールをいただいた。 こんな些細なことでもメールで教えてくれる。 ありがたい話です。

ちょうど、その日はむっつりさんと遊んでまして「こんなメールが来たよ」、「ふ~ん」と。

って、エえっ!?

民放ならともかく天下の国営放送に!! いいんですか? 
♪いいんですか?いいんですか~? (ラッドウィンプス) 
大丈夫なのか? 

そんな心配はさておき、俺テレビ見れない。 いや待て、待て。 携帯があるじゃないか。 ワンセグだよ、おっ母さん。 俺、賢い。

ちょうど28日はお休み。 朝から携帯片手にホルモンを見る。 

「ジャストタイム」というコーナーでライブ映像が流れた。 ダイスケはんが客を煽り、「包丁・ハサミ・カッター・ナイフ・ドス・キリ」のイントロが流れて終わった。 そりゃそうだ、歌詞は流せれんやろ。 充分である。 NHKに出たことに意味がある。

そしてしばらく見てると、「間違いだらけさがし」というコーナーに今度は「ももクロ」が参上。 おぉ、こんなとこでもつながります。


これは何かの布石です。 そう今年の紅白、出るね。 「ホルモン」と「ももクロ」出場決定と俺はみた。 まあ、「ホルモン」は99%無理だろうが。 実際出たら相当笑える。 慌てテレビを買うよ。


その昔、「小説」というのは下世話なものだった。 「大説」と呼ばれる中国の古書や論語がメインで、それより劣る格下のものとして「小説」と呼ばれた。 そして今や確固たる地位を得る。

また黒人の下品な音楽「ジャズ」これも最初はバカにされ。 ロックが登場すると高級な音楽になり。 
その格下扱いのロックもパンクが現れ、プログレが現れると、ビートルズやストーンズは素晴らしいなんてオシャレな扱いになる。 
そしてまた革新的なロックであるプログレシッブロックも1つのジャンルとなり、パンクも荒木の本に書かれたのを引用すると『パンクロックという、一見ストリートふうで荒削りな装いを持ちながら、実は伝統や基本に忠実なロックミュージック』となっていくのである。

閑話休題。
結局、何が言いたいかというと。 何が言いたいんだ?俺?
ライダーなんか見てると「いい歳こいて」とさんざん言われ、「おもしろいよ」と言っても偏見な目で見られ見向きもしなかったのが今や普通となり…バンド音楽然り、マンガ然りだ。 
結局世間なんてものはそんなもの。

ま、いいや。 

その後、彼女から
>ももクロ「労働賛歌」でオーケンと異色のコラボ

というメールをもらった。 新曲の作詞がオーケンでした。 ここでもつながります。
残念ながら新曲はダメダメでした。 9月の「上半・期ンポー」に書いた通り、バカな曲が良いのです。 

今週の1本 その11 ~娯楽映画ってこういうのだと思うよ~

2011-09-25 22:50:09 | TV・映画
「愛のむきだし」

上半期の佳作にしましたが、おもしろい作品でした。 

どこまで本当なのか分かりませんが
(監督の愛知県時代の友人の実話がいちおうベース。 妹が新興宗教に入信し救い出すのは本当らしい。 盗撮もちゃんとその筋で売れてたらしく実話らしい!?)、
むちゃくちゃな設定でむちゃくちゃなストーリーで、むちゃくちゃパワフル。 

キャストも実に良かった。 主演のAAAの男の子の演技が良い。 「電王」の歌でしか知らなかったし、クソアイドルだとしか思ってなかったが、これだけの演技ができるとは。 決して上手いとは言わないが、女装からアクション、盗撮までと下手したらお笑いになっちゃう難しい役をよくぞこなしたと思う。 

満島ひかりの演技も素晴らしい。 こちらは元フォルダー5。 生き残ってるのはこの子だけなのか? この子も難しい役を上手にこなしてた。 バスの中で聖書の一節を叫ぶシーンは圧巻です。 ウルトラマンの無表情演技しか知らなかったので、(ライダー「カブト」か「電王」も出てたよね)見直すどころか拍手物の演技力でした。 もっと評価されるべきです。 
立ち位置的にポスト山口紗弥加か? (演技できるようになったんだけど、いまいちパッとしない脇役の要) なんて思ってたら、先日たまたま電話でむっつりさんの方から「満島ひかり」の名前が。 むっつりさんが珍しくイチ押しだそうだ。 俺は全然好みじゃないんだよね。
その昔ライダー見てsaskeさんが「元フォルダー5」と言ってたのに、何も覚えてないらしい。 「ポカリ」のCM出てるそうだ。 「ポカリ」も変わったなぁ。 俺の中じゃ一色サエで終わってるんだけど。 ま、むっつりさんはこの映画見なさい。

もう1人の準主役の女の子。 かなりのブサイクで最初は演技たいしたことなかったが、後半に行くにつれだんだん良くなる。 撮った順番は分かりませんが1本の映画の中で明らかに成長してます。 『誰だこれ?』と調べたら、奥田英二と安藤和津の娘でした。 なるほどね。

渡部篤郎はあいかわらず渡部篤郎。 満島ひかりの義理の母役の人は名前も知りませんが、演技良かったです。 
他にもチョイ役の元「K2」こと、堀部ケイスケ。 いつ見ても上手い。 この人ももっと演技力評価されても良い。
逆にDVお父さん役、板尾創路の演技は好きになれない。 なんであんなに引っ張りだこなんだろ?

あとはマンガ家の古屋兎丸。 初めて顔見ました。 俳優業もやるとは。 何者なんだ?
吹越満、倉本ミツル、岩松了(熊本課長)、あっ宮台真司もいたな(こいつのせいで見るの嫌にならないでね)
と、細かいとこにちょこちょこ癖のある俳優が出てます。

主題歌はゆらゆら帝国でした。

と、ここまで書くとアングラの臭いがプンプンかもしれません、しかも前にも書いたが4時間と長い映画。 タイトルが出るまでに1時間くらいかかってますからね。 一言で感想を伝えるのは非常に難しい。 何がおもしろく何に感動したか自分でも分かりませんが、荒唐無稽でパワフルで。 内容は全然違えど鑑賞後は「机の中身」という映画を見た時の気分に似ていた。
(あの映画も良かった。 「うそーん」と思わず叫びたくなる長廻しのワンシーンに集結するべく、構成や編集ができていて、もっと評価を受けても良いんだけどな)

とにかく、おもしろい。 途中の辻褄とかそんなもんはどうでもいい。 ただただパワーで押し切る。 この年「おくりびと」がいろいろ受賞して騒がれてましたが、実はベルリン映画祭でW受賞したのはこの「愛のむきだし」。 ちゃんと観る人が観れば間違いない映画なのですよ。 なんでウケないのか不思議です。

安易にテレビドラマを映画にするだけのクソ映画を作る側も作る側だが、喜んで見てる奴らがなんて多いことか。 まだまだこんなおもしろい邦画はあるのです。 

この園子温監督で古谷実の「ヒミズ」が作られたらしく話題になってますが、あのクソ暗い原作をどこまで再現できているのでしょう。 「冷たい熱帯魚」は劇場に観に行きたかったが、終わってしまいました。 吹越くんの演技が上手いのは承知してるが、でんでんの評価が高いので観たかったんだよね。 これも暗そうな映画です。 あとはチュンリーこと水野美紀のベッドシーンが話題の映画も、同じ監督。 暗い映画ばかりなのに、なにやら急に注目されてますな。 「自殺サークル」や「時効」や「エクステ」や「紀子の食卓」などそれまでは好きじゃなかったけど、いろいろ見直してみようかな。

とにかく感想は難しいのですが、まあ観てください。  
ずっと映画をサボってて、観たくても観てなかった評価の高い映画ばかり見てるので『当たり』が多くなる俺は卑怯です。 本当はこんな観かたしちゃダメです。 悪い映画、つまらん映画も見てこそです。 (この前にたしか同じ年製作の「接吻」という映画を観に行った。 これも評価が高かったのだが、いまいちで。 それで「愛のむきだし」は避けてしまったのだ。 順番が逆だったら映画をサボることなくもっと楽しんだのかもしれない)   

結論「好き嫌いはめっちゃ分かれる映画です。 どうしようもなく下世話で、しょうもない映画です。 いろんな意味でむきだしです」

今週の1本 その9、10 ~寺田克也もデザイン参加してなかったっけ?~

2011-09-19 21:40:37 | TV・映画
「ヘルボーイ」
「ヘルボーイ ゴールデンアーミー」

2の評価が高く、世界観も何も知らないんで1からまとめて見てみた。 ダメだぁ。 ノレない。 アメコミものは「ロケッティア」時代からダメなのかも。 だからこそ「ダークナイト」の俺の中での立ち位置が際立つ。

監督はギレルモ・デルトロ。 「パンズ・ラビリンス」といい、あいかわらずデザインや撮る絵は素晴らしい。 感覚的にはティム・バートン。 ってかヤン・シュヴァンクマイエルに近いのか。(「ネクサテーク」は良かったなぁ) 日本で言うと雨宮かなぁ。 

世界観やデザインは良いのに、なんだろ? キャラやストーリーがダメなんだなぁ。 「X-MEN」見た時にも『こりゃ2はないな』と思ったが結局2やらなんやら作られ、この「ヘルボーイ」も同じ感想。 よく2作れましたな。 そんな興行成績良くなかっただろうに。

キャストは紅一点のセルマ・ブレアが良かった。 なんかこの人、妙にエロいんだよね。 キャメロン・ディアスと一緒に出てた映画の
(題名忘れた。 「メリーに首ったけ」じゃなく「クリスティーナの」とかなんとか言うやつ)
トイレで目に○○○が突き刺さるシーンであったり、
「ストーリーテリング」の役柄だったりと、(この映画良いですよ。 同じ監督の「ハピネス」も良い)
ま、そういう役も多いから、もうイメージでエロいってのもあるが。 アンジーやシャーリーズ・セロンみたいな分かりやすい露出が多いエロさではなく、なんか妙にエロいのだ。 別にタレ目好きでもないが、なんかね。 俺って変かなぁ。

2に出てきたナチの産物、煙のみのエクトプラズム野郎のキャラは良かった。 まあ、それくらいの感想です。

結論「猫好きで女の尻に引かれてる主人公。 他人事には思えません」

今週の1本 その8 ~すんごい映画です~

2011-09-06 23:06:50 | TV・映画
「HOUSE」
このタイトルで大林を思い出した人はすごいです。 『なんで今更?』とお思いの方もいるでしょうが、『あえて今更』大林宣彦を見直してみようかと思いまして。 と、いうのも「時かけ」のアニメをビデオに録ったのは良いが、元の実写の細かいところ覚えてないんで見れない状態だったり。 とり・みきの短編集を買ったら「転校生」のリスペクト作品があったり、宇多丸の「シネマハスラー」を読んでたら大林の話題が結構出てきたりと。 最近なんか大林宣彦の文字にやたら出くわすので、「こりゃなんか呼んでるな」と思い、「だったらデビューから見てみるか」となったわけです。 もちろん「漂流教室」は2度と見る気がしないんで、すっ飛ばしますが。

前置きが長くなりましたが、大丈夫です。 本文は短いです。

見なくてよし。 

いや、ある意味見た方がいいのかも。 

これだけ。

嘘。 ちゃんと書くと。
鰐渕晴子が登場するシーンでは毎回荘厳な音楽が流れて風で髪がなびく、なんじゃそりゃな演出。 南田洋子の怪演。 無意味な尾崎紀世彦のハイテンション。 ゴダイゴ登場の書きわり移動シーン。 小林亜星のノリノリの演技。 神保美喜の下着姿の空手アクション。 そして大林と言えばのヌード、池上希実子入浴シーン。 などなど、どれをとってもポカーンの演出。

もちろんホラー映画ですから(あっ!これコメディじゃないです、ホラーですよ)、生首が空を飛んだり、ピアノが人を食べたりと安っぽい絵も盛り沢山。 いくら技術が今より劣るとは言え、「マタンゴ」や「ガス人間」などそれより古い映画のがよっぽど頑張ってる。 

これが大林演出だ!と言われればそれまでだが、間違いなくカルト映画です。 
(ちなみに日本公開から30年を経て去年アメリカでの公開が行われたらしい。 異例中の異例である)

まあ心には何も残りませんが、頭には残る映画です。 いろんなシーンが頭に残るというのは、それだけインパクトがあるということ。 一度味わうとやめられない珍味な映画です。 だからこそ取り憑かれた人が沢山いて、大林フリークになっていくのでしょう。

このDVDで1番おもしろいのは特典です。 これはもう間違いなく。 
大林自身が延々と、いつものあの丁寧なのに気持ち悪い口調で話すのですが、これがおもしろい。 
大部屋システムや会社員としての監督など旧日本映画界の中から、映画会社に属さない無所属のおっさんがいかにこの映画を作りあげたのかの苦労話を話してます。 めちゃめちゃ勉強になります。 PFFの先取りであり、CMディレクターから映画監督への道のパイオニアでもある。 
おっさんの過去の栄光話ほどつまらない話はないのですが、俺は昔からそういう話を聞くのが大好きで。 (キャンプのオヤジことM野先生の話や、おいちゃんの戦争話を楽しく聞ける人ならいけます) まるで興味のない話も、巧みな話術で惹きつけるカリスマ性を持ってる人には憧れます。 

結論「池上希実子この当時いくつだったんだろう? あんな女子高生はいないぞ」

今週の1本 その7 ~ヤンガリーもいつか見てみるかの巻~

2011-08-22 22:46:07 | TV・映画
「グエムル」
やっと見ました。 前に書いた「殺人の追憶」と同じ監督で、同じ俳優が主人公。 この俳優さん演技上手い。 ただ役として知的障害っぽい設定だったけど、この設定いる? 

内容はどことなく「パトレイバー」の『WⅩⅢ』(ウエステッドサーティン)を匂わしてて。 
最大の見せ場は…
怪獣の登場シーン。 
ってなことで見せ場は前半の前半で終わっちゃうんだけど、これは怪獣映画として間違ってないと思う。 この登場シーンのカッコよさに酔いしれながら後は余韻を楽しむだけ。 そんな映画です。 そのくらい登場シーンのインパクトはありました。 

後半に行くに従ってツッコミ要素が増え、対怪獣ではなく対人になっていきます。 リアル路線で描くとこうなるのはしょうがないのでしょうか? 
「怪獣もの」というか「B級モンスターもの」ではやっぱり『おバカ』要素というか『脳天気』要素が必要ではなかろうか。 この「グエムル」はそっち路線で描くつもりがなかったのか、妙な味はあるんだけどね。 (かと言って「平成ガメラシリーズ」ほどシリアスでもない)

そう思うと無駄に熱いハリウッドのB級モンスター映画は好きですね。 「トレマーズ」や「ザ・グリード」は大好きです。 ビール片手に見るにはもってこいです。 「スターシップトゥルーパーズ」も大好きですが、あれは怪獣映画でもなく戦争映画でもなく、『漢映画』、『男泣き映画』なのであしからず。

ぺ・ドゥナの演技も初めて見ましたが、普通に上手かった。 邦画に引っ張りだこなのは事務所の戦略なのでしょうか? なのに、日本では知らない人が多い。 可愛くないからか?
だけどヨン様(古い!?)やらイ・ビョンホンばかりが韓流なのは、なぜなのでしょう?

「殺人の追憶」の時に「殺人の追憶」を先に見て良かったって書いたのは、「オールドボーイ」→「殺人の追憶」と見て韓国映画への偏見が無くなったからです。 「グエムル」から見てたら、やっぱ偏見は残ってたかも。 日本映画がアメリカやらヨーロッパの良いところを上手くパクって、昇華しオリジナリティを持ったように、どうしても韓国映画もパクりというか真似のイメージが拭えなかったので。 ちゃんと素直に見れば強い個性的な映画も多いです。 もちろんその分パクり映画も多々あるんだけどね。 まあ、「グエムル」はそれくらいの評価です。

で結論「臭いまで伝わってきそうな造形はいいね」

そういう時代でしょ (オール電化)

2011-07-29 10:04:17 | TV・映画
この前、久々にテレビを見た。 saskeさんから「『人志松本の○○の話』に久美子が出てるよ」とのメールが来たからだ。 いまだに情報をくれる、ありがたい話です。 慌てチャンネル合わせて、なんとか数分見れた。 しかし番組では久美子の話は途中でカットされてた。 抗議の電話が殺到です。(嘘) 

その数日後、shibuさんから「今からやる『しゃべくり007』に麻生久美子が出る」とメールをもらった。 ありがたい話です。 慌てチャンネルを合わせようとしたが、

映らねぇー!!

そうテレビが地デジカじゃない、アナログマだった! こういう時にはテレビがいるなぁと実感。 

もしかしたらホルモンが紅白出るかもしれんし、雨トークで(まだやってる?)ジョジョ好き芸人2をやるかもしれんし、平田弘史の「血ダルマ剣法」がドラマ化するかもしれんし。 「シグルイ」がアニメ化するかもしれんし…ってそれはやったか。 
そう、何が起きるか分からん世の中です。 
「テルマエ・ロマエ」が映画になり、ジョジョがグッチと組んでマンガになったり
(これマジです。 来月発売の「SPUR」とかいう女性ファッション誌!?よく分からん雑誌で「岸部露伴グッチへ行く」が別冊付録で付くらしい。 とうとう中年女性にまで進出です。 どうしようGUCCI×ジョジョ柄の高級カバンとか発売されたら)
「妖怪人間ベム」が実写化されるらしいし、「ベルセルク」がスロットになったりするらしいと。(「ARMS」もなるらしいよ、むっつりさん) 

もう、マグノリぃア! 空から大量にカエルが降ってこようと驚かない時代です。 (「マグノリア」見てない人ごめんなさい) 

そんなことを思ってたら、彼女から「今日の『はねとび』に久美ちゃん出てたよ」と。 あなたは事後報告かい! 
一昔前、「麻生久美子??誰?」と言われ続けたのが懐かしい。 映画の番宣とはいえテレビにこんだけ出る時代やってこようとは、感慨です。 

そんな理由でテレビを買おうか迷い始めたのですが、どうしたもんでしょ。

今週の1本 その6 ~ゴッサムシティには住みたくないの巻~

2011-07-25 09:25:51 | TV・映画
「ダークナイト」
前から「良い、良い」との評判は聞いてました。 先に「良い」っていうのを聞いちゃうと、過大な期待をしてしまい「たいしたことないじゃん」ってなっちゃうんだけど。 これは高評価が納得の映画でした。 

(同じ「バットマン」でティム・バートンの第1作は、逆に「つまんねぇ」っていう前評判の悪さを聞いてから見たので「案外そんなことないじゃん」と思ったものでした)

この高評価はひとえに『ジョーカー』のキャラが握っていると思われる。 
ほとんどの人が口を揃えて言うだけあって、このキャラ素晴らしく良い! ドジャーンと鉛筆を消す魔法なんてシビれちゃいます。 マフィアからの取り分の金なんか必要ねぇと燃やしちゃうし、仲間だと思ったマフィア達も手を焼く狂犬野郎。 独自の哲学で、ただただ世の中を混沌に導きたいだけ。 まるで現代の阿修羅。 魅力満載のキャラです。

このキャラを演じるのがヒース・レジャー。 おっさんはこんな若者今まで見たことなく、全然知らなかったんだけど。 あの鬼気迫る演技はすごい! 
前回のジョーカーをシャイニング野郎『ジャック・ニコルソン』大先輩が演じ、ほぼ作り上げちゃったもんだから相当やりにくかったと思う。 
ネタバレですが、有名なんで知ってる人も多いからいいか、この映画CGを使ってないシーンも多く、トレーラーを本当にひっくり返したり(無茶しますな)、病院爆破したり(もっと無茶してます)と、一発撮りをしてるわけです。 ものすげぇことをやっちゃってる反面、役者へのプレッシャーはもう並大抵ではないでしょう。 そんな中での、あの身を削ったような素晴らしい演技。 
そりゃヒースとやら役に引っ張られ薬に手を出すわけです、そんで若くして死ぬわけです。 合掌。

まあ、そのぐらいジョーカーが目立つ映画で、主役を完全に喰ってます。 タイトルの「ダークナイト」ってのだけは、光浴びるみんなの前に立つヒーローではなく、闇の世界で生きるって意味で「バットマン」らしくかっこいいです。

「ツーフェイス」は要らないとも思いましたが、「ジョーカー」をたてる脇役として必要だったのでしょう。 

大人のエンターテイメントとしてリアル指向になりすぎて、コミックチックな感じが少ないのは寂しいですが。 このサジ加減が難しい。 大人は楽しめ、子供は楽しくないというアメコミ映画として正しい形です。 俺はアメコミ映画で初めて心底おもしろいと思えた。

で結論「よく『この良さが分からん奴とは友達になれんわ』とか使うときありますよね。 その一例として『ジョーカーかっこいいと思えん奴とは友達になれんわ』と使ってる奴が全国500人はいるとみた」


今週の1本 その5 ~パルム・ドール、う~ん?!の巻~

2011-07-04 07:27:48 | TV・映画
「エレファント」
ガス・ヴァン・サントの映画。 この人の映画はなんでかオシャレな人が見るイメージがありますが、あいかわらずその印象。 『オシャレな映画』ではなく『オシャレな人が見る映画』なのだ。 ポスターやジャケのスチールがオシャレだったり、単観上映中心ってのがそう思えるのかも?

内容は、あの学校内銃乱射事件(コロンバイン)を基にした話。 で、どこまで本当かは知らないが、全員素人同然の役者で全編ほとんどアドリブだそうだ。 なんだかコジャレた感じでしょ? 言い方変えれば、自意識過剰な映画学校の生徒が作る卒業作品のようでしょ? 

音楽もほとんど無く、話にも説明は無く、『後は自由に考えて』と淡々と描く。 好きな人には好きなんだろうけど、俺は最近『これでもか』の過剰なまでの演出の韓国映画に慣れてるんで物足りなくてしょうがない。 別に小難しいわけじゃないんだけど、こういう感性がなくなったんだろうな。 若い人が見たらまた違うんだろう。

もちろん銃乱射事件だから学園内はパニックで人がたくさん死ぬ。 そこに物語やメッセージ性は何もない。 ほんと、ただただ淡々としてる。 これがリアルなんだろうし、メッセージがないのがメッセージなのかもしれん。 

でも映画としてどうなん? ハリウッドみたいに作り込む、韓国みたいに過剰な演出をする。 どれも映画なんですが…。
ハンバーグやらとんかつやら濃いものばかり食べたあとは薄い味のものを食べたくなる。 『だけど、この汁薄すぎない?』 料理なんもできない俺が作った「おすまし」のようである。 『あっさりと言うより味が無いんだよ』 言い過ぎかもしれんがパンチが欲しかった。

主役の男の子はパツキンのサラサラヘアー。 いかにも腐女子が喜びそうな子。 「ドラッグストアカウボーイ」といい、監督はゲイなだけあってわかりやすい美男子です。 もし「バナナフィッシュ」を実写化するなら、アッシュの役はこの子で。

で結論「でもマイケル・ムーアよりはこっちだな」