《ここから見える景色》

赤裸々で幻想的なブログ

堕ちていく・・・

2007-09-29 01:38:32 | 短小説
堕ちていく

腐った海の中へ

深く 深くへと・・・


もがく腕は腐りかけ

羽はしおれてしまった


どうして断れなかったんだろう

どうして流れに身を任せてしまったんだろう


女神が見えていたのに

悪魔の差し伸べた手に触れてしまったばっかりに

こんなところまで堕ちてきた


こんなにも意思の弱い人間だったなんて

こんなにも安い男だったなんて


誰よりも天使になることを夢見たはずの僕が

堕天使になってしまった


歪んでしまった世界では

息をすればするほど

僕は汚れていくのを実感する




もう 幕を下ろそう

この関係には・・・


短かったけど

お互いのためにならない

何より僕は君を愛してはいないし

君を守ることなんて到底できない

君は弱虫となじるだろうか?

それでもいい

いいんだよ 恨んでも

僕はそれだけのことをした


君が僕に好きと言うたびに

僕は虚しくなるし

君が僕に好きかと尋ねるたびに

僕は嘘を重ねる

これ以上は うんざりなんだ


もう行くよ


僕は新しい女神を追いかける

消えない汚れのついた羽をはばたかせて


最後に

「僕のわがままに

 つき合わせてゴメンね

 今まで ありがと

 さよなら・・・」



♪本日のここから聞こえる音楽♪

腐った海で溺れかけてる僕を救ってくれた君/蜉蝣

9/26 お詫び

2007-09-26 19:29:44 | お知らせ
このブログの存在を忘れかけていたのですが

ちょっとした出会いで 思い出すことができました


長らく見て下さっていた方々には

本当に申し訳ないです


そして 思い出させてくれた君には

本当に感謝しています


また更新が滞らないように 努力しますので

よろしくお願いします

葬式③

2007-09-26 19:24:56 | 庶事
そして 香をあげる人もいなくなって

お経も終盤に近づいた頃

突然 お経が耳に入ってきた

意味が聞き取れる?

耳を疑ったが 目をつぶると

頭に浮かんで その世界は姿を現した


でも 今覚えているのは

その確かな感覚のみで

その世界を言葉で表現することはできない

寒気を感じるような暖かさに包まれた

静かだけど 寂しさを感じることもない

暗くないのに 手探りが必要な

そんな世界といったところだろうか


そんな世界が お経によって

確かに僕の中に存在していた


ただし そこには 僕しかいなかった

どこまで行っても僕だけで

ここから先どうしようと戸惑っていると

僕は気がつくと

唱えていた

「南無妙法蓮華経」と

何度も 何度も


終わると 遺族たちは

集まって軽い会食をした


目論見どおり 彼らと仲良くなり

連絡先の交換などもした


そして 僕は帰らなくちゃいけなくなった


祖母と 母と 僕で

最後に手を合わせて帰ることにした


遺影の前に立つと

小一時間前と同じ人だが

そのときよりは 確かに身近に感じられた

そんな初対面のお爺さんの微笑みを前に

僕たちは 目を閉じて合掌した


そのとき 祖母が呟いた言葉が

いつまでも耳に残っている


「お兄さん、守ってくださいね。」