再会

Ａくんの近況を知人から聞いたのは１ヶ月ほど前のことだった。
知人が言うには、Ａくんは山の中に自分で小屋を建て、狩猟生活をしているとのことだった。
にわかには信じがたい話だったが、知人は彼が掲載されている雑誌をもって私の職場まで来てくれた。
そこには、猟銃を構える凛々しく成長したＡくんの姿があった。

知人は、「会いに行こう。」と誘ってくれた。もちろん二つ返事でＯＫだ。


Ａくんは、難聴という障害を持っている。
将来、彼はどんな仕事に就くのだろうと当時は心配していた。
その彼が今やハンターとなり、シカやイノシシを撃つとは夢にも思わなかった。
おまけに婚約者までおり、彼女と二人で山の中でカフェも経営しているというではないか。


１７年にぶりに再開したＡくんは、子どものころと同じ笑顔で出迎えてくれた。
「や～、お久しぶりです。髪の毛が真っ白じゃないですか～。」
私を見るやいなや、ケラケラと笑ってそう言った。

空き家を改装したというカフェで、可愛らしい婚約者が淹れてくれた美味しいコーヒーをいただく。


彼が一人暮らしをしているという小屋にも連れて行ってもらった。
少年の秘密基地のようなこじんまりとした小屋。
「これで十分なんですよ。こんな楽しいことはありません。」


「さすがに二人で暮らすには狭いので、新居を建てているところです。」
こことは別に新しい家を自分で建てているのだそうだ。
その家が完成したら結婚するとのこと。


自分の夢を語るＡくんの目は、うらやましいほどきらきらしていた。