短歌に脚を踏み入れる前に、俳句の文庫本を数冊読んでいた。作句を選ばなかった理由は、俳句のやや斜に構えた佇まいがフィットしなかったためだ。
ずぶずぶのセンチメンタリズムや後ろ髪引かれ感が好きな私にはやはり短歌だった。(苦笑)
思うに短歌と異なり、俳句は切り取りの瞬間芸である。柔道で言えば、一本勝ちが全て。アサヒ・スーパー・ドライのごとく切れ味勝負ではなかろうか。
もちろん両者は読み手に自己を投げ出す点においては共通だ。ただ俳句が短歌より情報量が少ないからといって読み手の解釈領域や自由度が拡がるとは限らない。読み手の力量がためされるのはむしろ俳句ではないか。
さて、そんな俳句にあって、引っかかりがあったのは、「新興俳句」、「無季俳句」と呼ばれている一群。
不二男・赤黄男、そして三鬼だった。イメージの跳躍がとても刺激的だった。
という訳ではからずも「西東三鬼全句集」(角川文庫)を買ってしまったのである。
緑陰に三人の老婆笑へりき 三鬼
「遺されし老婆の笑ひ止まずして木漏れ日阻む針葉樹林(新作)」
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