京都御苑の東側、寺町通に面した廬山寺(ろざんじ)です。
この場所に、紫式部の父藤原為時の家がありました。
紫式部はその家で育ち、やがて夫や娘との日々を送り、源氏物語を執筆したと伝えられています。
門を入ると、百人一首に採用された紫式部と娘の大弐三位(だいにのさんみ)の歌を刻んだ碑がありました。
日比野光鳳氏の気品のある揮毫です。
めぐりあひて見しやそれともわかぬ間に雲がくれにし夜半の月影(紫式部)
有馬山ゐなの笹原風吹けばいでそよ人を忘れやはする(大弐三位)
(入口に飾られた紫式部像)
本堂は、江戸時代に光格天皇が仙洞御所(せんとうごしょ。天皇が譲位した後に住んだ御殿)を移築したものです。
本堂の南側に、白砂を敷き詰めた中に苔で州浜を作った「源氏の庭」があります。
6月から9月までキキョウが咲き続けるそうですが、今まさに見頃です。
雨水をたっぷり受けて育つ苔の緑の島に、キキョウの花が咲き乱れています。
雨の日、曇りの日の方が生き生きと見える花です。
今日訪れていたのは、ほぼ女性ばかり。皆さん静かにゆったりと眺めておられました。
廬山寺は、ユーモラスな赤鬼、青鬼らが登場する節分会(鬼おどり)でも知られています。
その日は人々が賑やかに集まり、今日とは全然違った雰囲気のお寺になります。
〔投稿:SI〕