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各種のお知らせと季節のたより

桜蔭会 京都支部
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京都の冬空はドラマチック

2025-01-10 15:25:15 | 季節の便り

(高野川を渡る飛び石「亀石」の雪化粧)

 

朝から降ったサラサラのパウダースノーで、1月10日午前中の高野川の遊歩道は真っ白でした。


晩秋から冬の京都市上空では、日本海側と太平洋側の気候がせめぎ合っています。
日本海側が優勢になると、北山時雨が降ったり、日本海側が大雪のときには今朝のようなまとまった雪になったりします。
多くの場合、太平洋側が盛り返してすぐに晴れたりして、一日の中で天気がコロコロ変化します。

 

高野橋のあたりから北の方を見ると、暗い雪雲が重なって、いつも右奥に大きく見える比叡山も上半分が隠れていました。

 

でも、高野橋の上からほぼ同じ時刻に南を見ると、全然違う青い空でした。


この後、南から晴れ間がぐいぐい押しあがってきて、気温が上がっていきました。
散歩の終わるころには、雪はみるみる融けていました。
束の間の銀世界でした。

 

〔投稿:SI〕

 


2025年乙巳新春―下鴨神社の蹴鞠はじめ・・・

2025-01-05 00:15:31 | 季節の便り


(下鴨神社舞殿 新年の装飾)

下鴨神社には、巳年にちなんだお洒落な絵馬や、かっこいい墨絵が奉納されています。

 

1月4日は、毎年恒例の蹴鞠はじめ。
子どもが小さい頃見に行った記憶では、御高齢者の多い蹴鞠保存会の人たちが、輪になってのんびり(失礼!)なさっているのを、近所の人たちがゆるりと取り囲んで見物していたものです。
三が日の初詣の喧騒が去った穏やかな境内で行われる、地味な行事という印象だったのですが、久しぶりに行ってみますと…

 

蹴鞠開始の30分前に境内に入ると、人、人、人…
有料特別席が舞殿にしつらえられ、蹴鞠の庭には十重二十重の人垣。
それとは別に、拝殿にお詣りするための長い列も、境内を蛇行しています。

とうてい見られないと諦めて帰ろうと思ったところに、赤い楼門から、水干姿の蹴鞠保存会の人たちが緊張した面持ちで入場して来られました。

女性の方もいらっしゃって、うれしいことです。
一行を見送って、蹴鞠の技は一目も見ぬまま神社を後にしました。

 

 

今年も、京都支部の折り紙名人MIさんの干支の作品を、ご紹介します。
くねくねとしなやかに自立する蛇さんです。
三角が鱗を表現しているようで、素敵です。

隣の桜玉も、MIさんの素晴らしい作品です。

 

〔投稿:SI〕


南座の顔見世を観に行く

2024-12-22 17:12:49 | 季節の便り

桃山時代に、鴨川の四条河原で出雲の阿国(おくに)が「かぶき踊り」を始めたと伝えられます。
そのゆかりの四条大橋のたもとにある南座では、江戸時代から続く顔見世興行が、今年も12月1日に初日を迎えました。

南座が一年で一番華やぐ月です。
東西の歌舞伎役者が合同で打つ大歌舞伎の舞台は、昼の部・夜の部それぞれ趣向を凝らしたプログラムです。

11月下旬に南座正面に出演俳優の名前を書いた「まねき」が掲げられると、いよいよ雰囲気が高まります。

 

とはいえ、京都に長らく住んでいても、私にとっては顔見世は敷居が高い感じがしていたのですが…
東京に住む大学時代の友人が、ごひいきの役者さんが今年の南座顔見世に出演するので見に来たいと連絡をくれたのを機会に、初の顔見世観劇が実現しました(12/18)。

夜の部開演50分ほど前に南座に到着しますと、まだ昼の部のお客さんがぞくぞくと退出中で、夜の部の入場者たちは劇場の外に長い列を作って待っていました。
始まる前から熱気が半端ない。

 

南座の内部です。
客席数は3階まで入れて1080席ほどで、舞台も花道も近い、近い。
桃山時代風の破風のデザイン、折り上げ格天井。
赤い欄干のついた特別席には、きれいどころの姿も見えます。

夜の部の公演は、4演目。
大ベテランから脂ののった役者さん、若手まで、大人数による熱演が、休憩時間をいれて5時間に及びました。
舞台美術も華やかで、これぞ顔見世というのを堪能しました。

ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、今年の11月17日に、桜蔭会本部主催の秋の古典芸能鑑賞会が歌舞伎座(特別公演、解説付き)で行われたそうです。
機会があったらそういう催しにも参加してみたいな、と思いました。

 

12/18の鴨川風景です。

12月中旬まで鴨川を彩っていた紅葉は、顔見世が22日(日)に千穐楽を迎えるころにはほぼ散り果て…。
京都はお正月準備一色になりました。

〔投稿:SI〕


京都御苑の紅葉・黄葉

2024-12-06 14:11:17 | 季節の便り

天高くそびえる樹の多い京都御苑は、ダイナミックに色づいています。
自転車で外出したついでに、御苑の北の方の東西通路を横切ってみました。

烏丸通の乾御門(いぬいごもん)から入ると、モミジの鮮やかな赤と、イチョウの輝く黄色の競演でした。


(一条邸跡のモミジ)


(一条邸跡の大きなイチョウと御所の北西角「皇后門」付近)

御所の北側の塀を見ながら、まっすぐ東に進みます。

近衛邸跡の近くでは…


(御所の北辺の真ん中にある朔平門〔さくへいもん〕の向かいあたり)

 


(朔平門と御所東北角の「猿ケ辻」〔さるがつじ〕の間の向かい側より)

 


(今出川〔いまでがわ〕グラウンド、通称「御所グラウンド」)

御苑の東北角、市民に親しまれているグラウンドは、万城目学『八月の御所グラウンド』(2023年、文藝春秋、第170回直木賞受賞作)の舞台です。
ここをすぎると、東の出入り口、石薬師御門(いしやくしごもん)はもうすぐです。

 

 〔投稿:SI〕

 

 


無鄰菴(むりんあん)の紅葉

2024-12-05 13:03:35 | 季節の便り


(ひっそりとした入口)



南禅寺の近くにある、明治・大正期の軍人・政治家山県有朋の別荘だった「無鄰菴〔無隣庵〕」。
ただ今、紅葉の真っ盛り。
事前予約制なので、ゆったり見ることができました。

明治になっても大根畑や荒れ地が広がっていた南禅寺界隈は、琵琶湖疏水が完成した後、平安神宮や有力な経済人たちの広壮な邸宅が立ち並ぶ場所へと一変していきました。

その開発の第一号となったのが、この別荘でした。
山県はそれまで、現在の京都ホテルの裏側の「二条がんこ苑」の場所に別荘「無隣庵」を持っていたのですが、静かな環境のこの地に理想の別荘と庭園を新しく造ろうと意気込みます。

約3,100m2(1000坪に満たない)という、大して広いとはいえない敷地の形は、細長い三角形。
その底辺の部分に、日本家屋の母屋とレンガ造りの洋館が並んで建っています。

 

山県は、植治(うえじ)こと7代目小川治兵衛という造園家に作庭を依頼し、特に次の3点の要望を出します。
① 東山を借景とし、そこを風景の中心として全体を構成すること。
② 西洋庭園のデザインを取り入れて、広々とした起伏のある芝生地を作ること。
③ 水の流れを大事にすること。

 

植治は山県のプランを見事に実現していきます。


(母屋の座敷からの眺望)

母屋から眺めると、紅葉したモミジの向こうに、芝生と池や小川、そしてその先に東山のゆるい峰が見えます。
山県はこの峰を、「主山」と呼びました。

 

 

水の起点は、庭の敷地の一番奥、細長三角形の敷地の頂点にしつらえた三段の滝。
少し黒く映っている石が滝口です。
ここから、琵琶湖疏水の水が絶えず流れ落ちてきます。

 

滝の水は浮島のある池に流れ込みます。周囲の紅葉が映っていました。

 

池の下半分は浅く平らに作られていて、実際より広々と見えます。
真ん中のポイントがカルガモさんのお気に入りらしく、毛づくろいで体が動くたびに水の輪が広がっていました。

 

池から流れ出た水は、芝生の丘にさえぎられて小川になり、画面の左下に集められます。

 

集まった水が、画面左上から勢いをつけて落ちてくる下に、石を直線的に並べた小さな段差が設けられ…
石の間を水がこぼれ落ちる時に、コボコボというやさしい音が絶え間なく生じるように作られています。

芝生の丘には、春に真っ先に赤い花を咲かせる木瓜(ボケ)が何株も植えられていて、大きな実をたくさんつけていました。
その間に、春の野の花(ジシバリかな?)の芽がたくさん伸びてきているのが見えます。

見る位置で景観がどんどん変化する庭園。
山県が表したかったのは、故郷の長州萩の里山の風景だったと言われています。
山県はこの新しい無鄰菴を愛し、晩年に近くまで毎年長く滞在していました。
山県の死後、何年か経って、ここは京都市に寄贈されます。

7代目小川治兵衛はこの後、平安神宮神苑をはじめ対龍山荘(豪商市田家が作り、現在はニトリの所有。ただ今公開中)・住友家の有芳園・野村家の碧雲荘など南禅寺界隈の疏水を引き込んだ庭園群や、長浜の慶雲館庭園、仁和寺庭園など、名だたる庭をたくさん作りました。
どの庭園もそれぞれに、見どころや印象が違っています。
植治は芸術家肌というより、施主それぞれの好みに合わせ、その要望に対して和洋の造園業の技・アイデアを柔軟な発想で繰り出して最大限応えてみせる、究極の職人だったように思います。

キャリアの早い時期に無鄰菴の作庭で山県と共同作業したことは、植治にとって大きな勉強になり、その後の飛躍のターニングポイントになったようです。

 


(見事に染まりつつある母屋前の大モミジ)

 

〔投稿:SI〕