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・不条理の神様
世の中というものは本当に不公平で、矛盾に満ちていると思うのは、私だけではないだろう。
パチンコ屋で両隣の台に座るお爺さんとお婆さんが、ドル箱を積み上げているのに、二人に挟まれた私だけが、湯水のようにお金が台に溶けていくというのは、どんな因果律であるのかと。
これは呪いか、前世のカルマか。
私はどんな業を背負っているのだろう。
「みたらし団子が食べたいです!!」
同じ会社で働くI君からもたらされた、会社の近所の和菓子屋が何十周年とかで、その開業日に団子が一本50円になると言う情報を聞くなり、新人のOさんが私にそう訴えたのである。
「……」
言っておくが、私は決してケチではない。
守銭奴ではあるかも知れないが、自主申告として決してケチではないと言っておく。
時が時ならば、北海道生まれで有りながら、宵越しの金は持たなねぇ!!と言う、江戸っ子気質の男である。
二十歳近く年下の新人であるOさんに、みたらし団子の四、五本を食べさせてあげるくらいの気持ちはいつでも持っていると言って良い。
しかし、そんな江戸っ子気質が災いし、現在の所持金は四百円である。
お金がなければ買ってあげられないのである。
給料日まで缶コーヒーを一日一本しか飲むことが出来ない男に、たとえ娘と呼べるかも知れない年齢の後輩に、みたらし団子一つさえも買ってあげる事が出来ないのは不徳の致すところであると言えるだろう。
残念無念である。
閑話休題。
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「良いことなのか…それとも、悪いことなのかは、分からない。でも、多くの人間がそうであるように、俺もまた自分の生まれた国で育った。そして、ごく普通の中流家庭に、生まれつくことができた。だから、貴族の不幸も、貧乏人の苦労も知らない。別に、知りたいとも、思わない。子供の頃は、水軍のパイロットになりたかった。ジェットに乗るには、水軍に入るしかないからだ。速く、高く、空を飛ぶことは、何よりも素晴らしく美しい。でも、学校を卒業する2ヶ月前、そんなものにはなれないって事を成績表が教えてくれた。だから宇宙軍に入ったんだ」
王立宇宙軍 オネアミスの翼 より
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私の好きな「王立宇宙軍」のオープニングで語られるモノローグである。
早い話が「人生って、思った通りには行かないよね」みたいな意味合いだと思うのだけど、確率的にも、統計的にも運から見放された私の背後霊は貧乏神であるような気がしてならない。
捨てる神があれば、拾う神さえいない。
生きている事が奇跡というよなものであるのかも知れない。
そう言えば、私が生まれたときは酷く未熟児で、医療の進んだ今ではそうでもないのかも知れないが、2300グラムでこの世に生まれ落ちたときに、呼吸をしていなかったそうである。
産婦人科の先生が、私のお尻だったかどこかを叩いてやっとか細い声で泣き出したそうなのだけど、その時に全ての運というものを使い果たした気がしないわけでもない。
一撃必殺である。
享楽のパチンコ台なら、プライスボタンが勢いよく飛び出る感じであろうか?
キター!!!!
と思ってボタンを叩いたら、あっさり外れる事の恐ろしさ。
そんな台は二度とあたらない気がするのは体験談であると言っておく。
確率的には50パーセント(メーカ発表)である。
それを人生の様々なターニングポイントで、悉く外し続ける男であった。
広瀬香美が「冬の女王」と呼ばれ、後に「ツイッターの女王」と呼ばれるようになった如く、華麗に転進したいものではあると思うのであるが、それはそれでまた困難が伴うのであった。
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