剣岳周辺の岩場の中で、有名どころといえば八峰6峰フェース群とチンネだろう。
チンネはルートも長く、高度感もあり、登攀のために順番待ちになってしまう人気コースだ。
今回はいろいろな事情で休みが取れず、チンネだけ登攀して帰ることになった。相棒の会長はそのまま会の合宿に合流、私の我儘に付き合わせてしまう形になり申し訳なかった。
3日 22時新大阪発の立山・室堂へ直行する夜行バスで出発。平日でバスも空いていてゆっくり寝られる。
4日 7時室堂着7:30出発。雷鳥沢、剱御前小屋(9:45)を通って、剱沢(10:20)の警備隊に登山届を提出。剱沢、(11:45出合)長次郎谷雪渓を上って、今日の泊り場・熊の岩へと喘ぎながら登る。熊の岩(14:00)は初めて。雪解け水がテントサイトのすぐそばを豊富に流れ、なんといっても見晴らしが素晴らしい。我々が今日の一番乗りで、さっそくテントを張る。この夜は3パーティのテントが立った。
5日 2:30起床。 満天の星空が今日の天気を保証してくれる。4:00出発。先行した2人パーティーのライトがはるか向こうにチラチラと光る。長次郎谷右股の雪渓はクレパスがいくつもできているが切れてはいない。
池ノ谷乗越4:50。先行していたパーティーがルートを間違えて我々の後になった。池ノ谷ガリーを、チンネの頭からの下降路を探しながら、そして、落石に気を付けながら下る。
三の窓5:30ではテントが1張り。このパーティーが本日の一番乗り。三の窓で装備を付けて取り付きに向かうが、ここで失敗! クライミングシューズを置き忘れあわてて取りに戻る。後ろから多くのパーティが続いていたので、順番を確保するために大急ぎで戻り、学生の2パーティーに続き3番目を確保。
1P スタート(6:00頃)はまずTHS会長から。 先行の学生パーティを抜かせてもらう。
2P・OR トップ 3P・THSさんトップ 4P・OR トップ 5P・THSさんトップ 6P OR トップ とほぼトポの通りにピッチを切る。 6P目で先行学生パーティーを抜き、トップになる。次の7Pは易しいのでコンテで通過 。
8P・THSさん 9P・OR 10P・ピナクルの連続をTHSさんトップで通過、T5に到着8:30。 11P、核心部のトップをORにゆずっていただき、勇躍取り付く。右リッジからフェースをたどり、ハングはためらいもなくA0で越す(^_^;)。そのままリッジを登りクラックの中の小さな足場で切る。 12P・THSさん ほぼ45メートル登る。
13P OR 傾斜が落ち、岩稜の登攀だが、支点の取り方を失敗しザイルが上がらない。綱引き状態で20メートルほど上がったが諦めてピナクルでビレー。 最終ピッチ THSさんトップ ほぼザイル一杯でコール。両側がすっぱりと切れたナイフリッジに跨って景色を楽しむ。終了点10:30では写真を撮ってもらった。続いて「さがみ山友会」の2人が到着。中央チムニーからはガイドパーティー3人が到着してピーク上は賑やかになる。
下山ルートは八つ峰の方に少し下りたコルから、池ノ谷ガリーの方へ下る。懸垂の支点があり使えば良かったのだがクライムダウン。途中で足がスタンスに届かず落ちてしまった! THSさんに止めてもらった。危なかった。
ガリーに下りたところから乗越11:20までは本当にすぐ近くだった!! 小休止してシュルンドを下り始める。一回、雪渓上に上がったが、ショートバイルを使っていたので、下りの急傾斜は恐ろしく、足がすくんだ。やっぱりピッケルの安心感は大きい。時期がもう少し遅ければ、シュルンド内をそのまま下れる。
熊ノ岩12:05で大休憩。テントを撤収し下山(13:00) 。 剱沢との出合(14:00) 剱沢テン場(16:00)
ここで剱沢ベースキャンプに合流。夕飯をごちそうになって6時過ぎに就寝。夜半激しい雨。
6日 今日は下山するだけ。源治郎尾根に向かうISDさんとTJさんを4:00過ぎに見送り明るくなってきた4:30に出発。ザイルとクイックドローを置いて来たのでかなり楽だ。7時に室堂着。本日、7時着のバスで入山予定のKMIさんとSNさんを探しあて、簡単な報告をしたあと8時発のバスで下山。和歌山16時着。