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折登ひろしのGRAFFITI

日本人と英語と国際社会と、ちょっぴり料理について考える

「英語もどき」の英語とは?

2008年10月09日 | Weblog

がんもどき」という豆腐の「厚揚げ」に似た食品をご存じでしょう。これからの季節に食べたくなる「おでん」に欠かせない具の一つで、私の好物でもあります。しかし、「がんもどき」という名称は、長年「厚揚げ」や「油揚げ」同様、何も疑問を感じないで受け入れていました。

  しかし最近、ふとしたことから、辞書をひもといてみました。「厚揚げ」や「さつま揚げ」に似た食品が、なぜ「がんもどき」という意味不明の名称になっているのか不思議に思ったからです。「がん」も「もどき」も食品の内容や形から連想できる物が何もないからです。そこで分かったものとは…。

  辞書によると…雁の肉に似た味がすることから、「がんもどき」と言うそうです。また関西では「飛龍頭)」と言うとか。「もどき」は「擬き」と書き、「似せた物」の意。

  しかし私からすれば、どう首をひねっても雁の肉に似た味がしません。子供のころ一時疎開した九州で雁の肉をよく食べ、おいしかったのを覚えていますが、「がんもどき」とは似ても似つかぬ味でした。

  前置きが長くなりましたが、「英語もどき」とは、「英語に似てはいるが、英語ではない」、「ましてや日本語ではない」ということを私が言いたかったのです。今、日本中にまん延する「英語もどき」は、「がんもどき」の「雁の肉」同様、英語とは似ても似つかぬものです。

  「英語もどき」の代表的なものは、「カタカナ英語」です。既にたびたび述べてきたことですが、いくらコンピューター英語を、日本語に「訳せない」「訳さない」からカタカナに置き換えるご時世であっても、開始、始め」「開店、開場」「獲得、取得」「地域、区域」「支援、支持」「上昇、向上」「特別などなどを、スタート」「オープン」「ゲット」「エリア」「サポート」「アップ」「スペシャルなどのように「カタカナ英語」に言い換える必要がどこにあるのでしょうか?

  「アルバイト」は、ドイツ語で 「Arbeit=仕事、労働」の意味ですが、どういう訳か、英語の「part-time=非常勤」に取って代わっています。昔は、日本の学生は、英語やドイツ語やフランス語を学び、戦後のように英語一辺倒ではありませんでしたから、英語の「part-time」の入る余地がなかったのかもしれません。

  だが、私が帰国したときに、「休暇」を、フランス語の「vacance」が使われているのには首をかしげました。まあ、これらはご愛嬌としても、「カタカナ英語」のはんらんは看過できない状況にある…と私には思えるのです。

  英語ができない日本人が、なぜ、「カタカナ英語」に飛びつくのでしょうか?英語ができない腹いせに、「英語もどき」で我慢する?つまり、雁の肉は手に入りにくいから、「がんもどき」で代用するのと同じ感覚なのでしょうか?

  少し話題は変わりますが、某有名大学の先生が、「カタカナ英語」ならぬ英語の「カタカナ発音」でも「工夫することで通じるようになる」という持論を半年くらい前に、某新聞に書いていました。この題材での著書もあります。脳科学などを専門とされておられるようで、「日本人が日本語を使っているときと、アメリカ人が英語を使っているときで、脳の働き方に違いがある」、といったことなど興味深い事も書かれていましたが、「カタカナ発音でも工夫することで通じるようになる」というのはかなり無理がある論です。

  例えば、「パール=pearl」「ミルク=milk」は、それぞれ「真珠」「牛乳」の意味ですが、「カタカナ発音」で、日本での生活経験のない、英語国の native speaker に、「パール」「ミルク」と言ってみてください。通じたら奇跡です。

  かつて、ニューヨークの China Town で、私の空手の生徒、四、五人と練習の後、よく行きつけの料理店で食事をしました。中国人の waiter は、常連の私たちに中国語なまりで、行く度に「ヴォシタスゥプ、ヴォシタスゥプ」のように発音して、ある料理を勧めるのです。何度聞き返しても意味が分からないので注文しなかったのですが、あまりにも勧めるので一度注文してみようということで、持ってきてもらったら、何と vegitable soup でした。カタカナで書けば、「ベジタブル・スープ」です。

  「カタカナ英語」に戻って、つい最近、都内の山手線に乗って出入り口の上に設置された、「車内テレビ?」に映し出される画像を漫然と眺めていたら、明日の天気予報が映されたので、これは便利と見たら、「エリアの天気」とありました。どういう意味かと思ったら、何のことはない、「各地の天気」でした!ちなみに、天気予報での「エリア」は、英語では area ではなく region。「エリアの」は regional です。

  また、地上波テレビの天気予報で、気象予報士が、「6月のスタートは…」と言っていました。 「カタカナ英語」もここまで来ると、もう手の付けようがないとしか言いようがありません。

  次回も「英語もどき」にかかわる話です。 


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