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雨の国の王者

探偵小説好事家本人のためのノート

その13獣人(2004/12/17)

2004-12-17 15:37:27 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 藤原書店から<ゾラ・セレクション>⑥として

 『獣人』愛と殺人の鉄道物語

 という書籍が出版されたらしい。ふと目にした、新聞の片隅の広告で知ったのだが、この謳い文句が、興味をそそるんだよ。
 
 鉄道ミステリーの先駆!

 ときたもんだ。
 『獣人』なんて、ぜんぜん聞いたことないぞ。もしかして探偵小説マニア内では、とても有名で、わたしだけ知らないのかしらん。
 なんだか判らないが、わくわくするぞ。どんなお話なんだろう。読んでみたいが、値段が、なんと、3990円もするんだって。
 高価すぎて、手がでないじゃない。
 既読の方、さわりだけでもよいから、どのような教えていただけませんか。
 廉価版なんかで入手できないかなあ。

 わたしにとって、いろいろと謎の本だ。

 なあんて、言ってたら、藤原書店の機関紙「機」に詳しい書評がでているじゃん。
(でも、そこまで中身をばらしてもよいのか少し心配、というくらいの検証だよ。)
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横須賀の方へ

2004-11-08 22:13:38 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 さて、矢作俊彦である。

 わたしが、ミステリマガジン(早川書房)を購読しはじめたとき、もう彼はデビューしていて、すでに同誌に、幾篇も発表していた。
 同誌には、おなじ時期、片岡義男も断続的に寄稿していて、わたしは片岡義男の小説を、より好んで読んでいた。片岡の小説は、乾ききった透明な世界をつくりだしていて、ああこれがハードボイルドなのだ、とひとり納得していた記憶がある。
 このすりこみが、いまもわたしのハードボイルド探偵小説観の一部をかたちづくっているようだ。翻訳ハードボイルド探偵小説でも、頂点とされることの多いレイモンド・チャンドラーの小説群は、わたしには感傷過多すぎる。それよりも透明性の強いロス・マクドナルドの小説の方が、よい。いまでも、そうだ。
 レイモンド・チャンドラーに惹かれていたらしい矢作俊彦の、その小説に、その匂いを当時のわたしが知らず知らずのうちに、感じ取っていたのかどうか。
 
 新刊書店の平台に積み重ねられていた、矢作俊彦『ロング・グッドバイ』(角川書店)を見て、ふと昔を思い出した。
 『ロング・グッドバイ』は、どこへ向かっているのか。 
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ディック・フランシスのこと

2004-11-07 21:24:36 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 別冊宝島63『ミステリーの友』(JICC出版局)を読み返して・・・。
 
 <第2回 フランシスS(GI) 長篇>
 ◎『度胸』アート・マシューズ騎手 ハヤカワ・ミステリ文庫厩舎 (菊池光調教師)
 ○『利腕』シッド・ハレー騎手 ハヤカワ・ミステリ文庫厩舎 (菊池光調教師)
 ▲『飛越』ヘンリイ・グレイ騎手 ハヤカワ・ミステリ文庫厩舎 (菊池光調教師)
 △『興奮』ローク騎手 ハヤカワ・ミステリ文庫厩舎 (菊池光調教師)

 ○『利腕』には、驚いた。まさか、シッド・ハレーが戻ってくるとは。
 プロットも秀逸で、これを◎としたい気持ちもあったが、なんといっても◎『度胸』!
 ◎『度胸』は、わたしを≪競馬スリラー・シリーズ≫へ惹きこんだ張本人で、面白すぎて、読みながらバーボンウイスキーを一本空けてしまった。これが本命。
 ▲『飛越』は、主人公のハンディ・キャップの設定をみたまえ。後の展開を含めて見事というほかないぞ。
 △『興奮』は、誰もが推す作者の代表作。

 個人的には、初期の作品群が、濃密で好きだけど。

 ※追記 △は『査問』に換えようと思う。(2004.11.14)
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笹沢左保のこと

2004-11-04 21:12:39 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 笹沢左保の探偵小説は、わたしもがんばって読んだつもりだったけれども、それにもまして、たくさんの作品が上梓されていてるから、全作品に対する既読の割合は、ずいぶんと少ないにちがいない。作品評もこれまた、たくさんあるようだが、高い評価ばかりで、わたしがいちばん気になっている点について触れているのは、知っているかぎり大井廣介『紙上殺人現場』(教養文庫)だけ。以下のくだりだ。

 ・・・清張の次に笹沢を読んで面喰うのは、清張の社会観はいとも明瞭だろう。それにひきかえ笹沢の社会観人生観論理観さっぱり見当がつかないのだ。笹沢に模索している気配もなく、他の作家が一応煩悶したり問題提起するところを、とばしてしまっているのが、・・・ (上記394ページ)

 わずか数行の指摘だが、まさにこれだ。わたしが笹沢の作品にもうひとつのめりこめないのが、大井が指摘する笹沢の社会観人生観論理観なのだ。わたしとは異なるように(わたしには思える)笹沢のそれが、いまでも、気になってしょうがない。
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続幻の探偵小説

2004-11-03 20:37:59 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 山下武『異象の夜に』を、幻の探偵小説扱いするのは、ちと無理があるようなので、反省をこめてちょっとした逸品を紹介する次第。

 はやみねかおるという作家を、もちろん、ご存知であろう。
 主に児童向けの探偵小説を著している有名な作家であるが、熱心なファンでも、氏の『神隠島』という作品を、読んだというひとは少ないのではないかと思う。というのは『神隠島』は出版されていないのだ。
 この未発表の小説の内容がすごいぞ。
 トリックオンパレードのがちがちのなぞとき探偵小説なのだ。あの名探偵も登場する。そしてあの・・・。ああ、ここから先はもう書けない。
 作者との約束により、中身をくわしく紹介できないのが非常に残念である。
 そして、読み終えたあとは、原稿を破棄することが本作を読むことのできる条件でもあったため、原稿は、いま手元にはない。読み返しのきかない作品(これも、むかしの記憶のみで記述している)なのだ。
 まさに、幻の探偵小説だろう。
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愛人と正妻(夫)

2004-11-03 16:04:06 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 わたしの場合、探偵小説が正妻(夫)ならば、さしずめSFは愛人か。
 つまらぬ探偵小説の読書がつづくと、ついSFに手が伸びてしまう。
 それもセンスオヴワンダーに満ち溢れたものがよい。
 とはいいつつも、じつは山野浩一やJ・G・バラードが大好きだったりするのだから、人間判らない。
 
 書架の奥からひっぱりだしてきたJ・G・バラード『狂風世界』(創元推理文庫)も、ニューウェイヴと冠はつけられているが、センスオヴワンダーの塊だ。あれだけわくわくするお話なのに、あの結末のつけ方は、なにやら安手の児童向きアニメーションのようで残念だね。

 でも、J・G・バラードのSFって、SFからの脱皮というより、SFそのものだと思うのだけれどもなあ。
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SFの「どんでんがえし」について

2004-11-03 15:35:52 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 意外な結末といったほうが正しいか。
 SFを読みなれたひとにとっては、意外な結末ときくと、はじめから眉に唾して読み進め、途中で、ははあ、これはこういうしかけだなと興味をそぐことしばしばかもしれない。
 だから、ここであえて、そういった作品群名を列挙するというような、無粋なことはしないけれども、あえてひとつだけ。

 半村良『亜空間要塞の逆襲』(角川文庫)

 あの結末に、わたしはいっこうに驚かなかった。
 それでも、これこそ真の「どんでんがえし」なのだ。
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探偵小説の「どんでんがえし」について

2004-11-03 15:26:41 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 意外な結末といったほうが正しいか。
 探偵小説を読みなれたひとにとっては、意外な結末ときくと、はじめから眉に唾して読み進め、途中で、ははあ、これはこういうしかけだなと興味をそぐことしばしばかもしれない。
 だから、ここであえて、そういった作品群名を列挙するというような、無粋なことはしないけれども、あえてひとつだけ。

 ビル・S・バリンジャー『赤毛の男の妻』(創元推理文庫)

 あの結末に、わたしはいっこうに驚かなかった。
 それでも、これこそ真の意外な結末なのだ。
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幻の探偵小説

2004-11-03 13:05:39 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 たとえば、『日本幻想作家名鑑』(幻想文学出版局)の山下武の項をみてほしい。

 ・・・失踪した大伯父の行方をたずねて巨大で複雑怪奇な西洋館<赤耀館>へやって来た傴僂の男を中心に展開する観念小説風の長編ミステリー『異象の夜に』(七○・審美社)は、閉鎖空間にうごめく人々の言動を通じて悪魔主義や狂気、そしてニヒリズムといった陰鬱なテーマを追求した、きわめつけの異色作である。・・・

 それこそきわめつけの賛辞だと思えるのだが、どういうわけか、探偵小説好きの間では、冷遇というより、無視されているようで、インターネットの世界でも話題にはのぼらないようだ。
 それは、以下の新保博久(『日本ミステリー辞典』(新潮社)山下武項目)のコメントをみれば、いくぶんかは氷解されるか。

 ・・・1970年に刊行された長編『異象の夜に』には探偵小説的要素もあるが、議論の多い観念的な作品である。・・・

 さて、あなたは、どちら?
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意外な動機

2004-11-03 10:17:20 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 『大相撲殺人事件』岡田光治(三一書房)。
 カバーイラストは、どうみても、あの小錦。
 その小錦を彷彿とさせる人気力士「巨錦」死亡のなぞをとく探偵小説だけれども、結末で明かされる衝撃の動機はすごいぞ!見逃すなかれ。
 まあ、最終的には予定調和なんだけどね。
 ひところ流行ったバカミスのうちの一冊。
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