将棋雑記

将棋に関する雑感を書き散らしています。

旧パラを検証する127

2018-08-25 19:18:00 | 旧パラ検証
旧パラを検証する127
第十号 百人一局集 18
第八十一番
愛媛県温泉郡川上村大字南方二〇七三
農業 五十三才 四柱推命学鑑定
ム段
宮本 兼利氏作

32角、24玉、25金、33玉、41角成、43玉、32飛成、54玉、52龍、53金、45金、同飛、53龍、同玉、45桂、54玉、52飛、44玉、53飛成、45玉、23馬、36玉、37金、25玉、55龍、35金、26銀、16玉、34馬、同金、15龍、同歩、28桂迄33手
☆幸福と繁栄の道はすべての人々が将棋に熱心する様な心をもって自分の職業に応用し趣味と満足を感じて楽しく働くことにあり。
★強引な手順で余詰順みたいです。10手目53金合をさせて、45金~53龍で詰ませてみろ、という手順です。以下は追い回すのですが、26手目35金合とさせてからが奇麗で、26銀~34馬と捨て、15龍で大駒が全て捌ける。収束から逆算したのでしょうか?宮本氏の他の作品とは作り方が少し違うようです。
 宮本氏は、1937年~1972年という長期に渡り(但し1937年に将棋日本に2作発表後1947年迄発表なし。)84作、7手~139手、将棋日本、風ぐるま、将棋文化、将棋評論、将棋世界、近代将棋、詰棋界、パラ新・旧、王将(旧)に作品を発表されました。
作品としては、龍追い作品の長編を多数創作されました、また大型の実戦型作品も創作されました。
-------------------------------------------------------------------------------------
第八十二番
名古屋市北区山田町一の六五
公務員(名古屋市中央郵便局保険課外務奨励係)三十一歳
二段
柴田 龍彦氏作

31銀、同玉、32歩、同玉、44桂、同歩、24桂、同歩、23角、43玉、55桂、54玉、32角成、イ64玉、66飛、73玉、62飛成、同玉、63銀、73玉、62角、82玉、71角成、83玉、65馬、94玉、84金、同玉、74馬、94玉、72馬、93玉、83馬引迄33手
イ55玉で不詰
殆ど無仕掛に近い図で、42飛や13から何か捨てる筋等が有力に見える中、31銀~32歩として23と43を抉じ開けて23角~35桂で手掛かりを付けるのは意表の手順で、以下も無難な纏めで、好作と思われましたが、何と14手目イで55玉で不詰でした。これは26年7月号で作者が自ら指摘したものです。
 柴田氏は、普通詰将棋としては、この作品と紳棋会報の昭和24年7月号に載った作品の2作のみです。それ以外に持駒が多数余る1000手越えの作品を将棋月報や旧パラに載せています。同じ図を何回も改作し、最初1171手歩17枚余る作品を1205手歩18枚桂2枚香1枚余る作品にしています。
 余談ですが、私が柴田龍彦氏の名前を始めて知ったのは、門脇芳雄氏著の続詰むや詰まざるや174番作者不明「神局図式第三十九番」の解説でした。その作品は「鳴門」という周辺巡りの作品で、解説の最後に「玉の周辺巡り」の系譜、【1柴田龍彦作「馬鋸」の入った周辺巡り。】とありました。ただ、この作品はどこを探しても見つかりませんでした。そして、詰棋めいと第17号、新・馬子唄集(9)④で紳棋会報昭和24.7の作品として紹介され、初めて図面が見れたのでした。ただ、その時は作意不明で、挙げられていた手順では周辺巡りをしていませんでした。今回良い機会ですので、その図と私の推定作意を載せておきます。

81歩成、同玉、71と、91玉、81と、同玉、72と、91玉、81と、同玉、54角成、91玉、55馬、81玉、45馬、91玉、46馬、81玉、36馬、91玉、37馬、81玉、36馬、91玉、46馬、81玉、45馬、91玉、55馬、81玉、54馬、91玉、64馬、81玉、72桂成、同玉、73桂成、71玉、82成桂、61玉、52歩成、同玉、53金、51玉、52歩、41玉、31歩成、同玉、43金、21玉、31馬、11玉、22桂成、同龍、同馬、同玉、A33銀、13玉、25桂、14玉、13飛、25玉、23飛成、16玉、17歩、同玉、19香、18銀成、同香、同玉、19歩、同玉、28銀、29玉、37銀、38玉、28龍、49玉、58銀、59玉、B68銀、同玉、57銀、79玉、C68龍、89玉、79金、99玉、98飛、同玉、86香、87玉、78龍、86玉、87歩、85玉、86金、84玉、75龍、93玉、94歩、82玉、93角、92玉、72龍、91玉、82角成迄107手

A32飛、13玉、14歩、24玉、33飛成、25玉、36龍、14玉、34龍、24歩、26桂、13玉、14銀、12玉、23龍、11玉、12香迄73手の早詰。前述、「詰棋めいと」ではこの順を挙げ、図面に誤りがあるのかも、と書かれていた。
B48銀、58玉、57銀、38歩、48金、67玉、68銀打、76玉、86飛、75玉、85金、同馬、同飛、64玉、75角、55玉、46金、54玉、53金迄99手の早詰
C69金、89玉、78龍、99玉、98飛、同玉、86香、88銀、89金、97玉、88龍、96玉、87銀、95玉、99龍迄99手の早詰
この順であれば、周辺巡りになっているので、作意ではないかと思われます。馬鋸入り周
辺巡りで時代を考えれば、記録されるべき作品です。従来不明だった作意と思われる手順が今回記述出来て、良かったと思います。
----------------------------------------------------------------------------------
第八十三番
大阪府豊能郡庄内町牛立一〇七
会社員 二十九才
七八級位
辻 純正氏作

12金、同香、33銀、イ13玉、12桂成、14玉、13金、同桂、同成桂、同玉、14香、同玉、26桂、13玉、31角成、22桂、A14金、12玉、22銀成、同龍、同馬、同玉、34桂、ロ31玉、B32飛、同玉、43歩成、21玉、33桂、11玉、12歩、同玉、13香迄33手
A同馬、同龍、14金、12玉、22銀成、同玉、34桂の手順前後あり
B33香、(32歩合は11飛、21桂合、32香成以下)41玉、53桂、52玉、32飛、51玉、42飛成迄早詰
B11飛や51飛・42桂成等複数の余詰あり。
 前半の12金~33銀は良い手順で、イ同桂なら31角成という変化に妙手を含んでいて良いのですが、後半がスッキリしません。Bで複数の余詰があります。ロ33玉と逃げても31飛と打って合駒が余り、キズでは済まないと思います。当時全く指摘が無いので、キズ扱いなのでしょうか?当時の基準でも流石にこれは余詰扱いのはずなのですが、、、。
 辻氏は1951年~1954年に旧パラのみに3作発表があります。手数は13手~33手で実戦型を発表しておられました。
------------------------------------------------------------------------------------
第八十四番
京都市上京区出水通油小路西入
無職 五段格
(作者命名 攻城戦)
松井 雪山氏作

52飛成、同金、73金、同桂、同歩成、同馬、同桂成、同玉、A65桂、74玉、75歩、84玉、73角、75玉、64角成、84玉、85銀、同角、73馬、75玉、53桂成、イ65桂、同龍、86玉、64馬、77玉、78香、67玉、79桂、57玉、49桂、47玉、36銀、同と、48香迄35手
A83歩成、同銀、65桂、74玉、75歩、84玉、73角、75玉、64角成、84玉、83銀成、95玉、84銀、94玉、86桂、同香、93銀成、95玉、73馬、85玉、84馬迄29手の早詰
 難解なだけで、妙味の無い図だと思います。唯一見所はイの65桂の捨合で、単に86玉なら64馬、77玉の時に57龍と引けます。65桂合以下は短手数で持駒を使い切って詰上がります。
 Aで83歩成以下の早詰がありました。
 松井氏は1951年~1957年に詰将棋パラダイスのみに3作の発表作があります。手数は13手~35手でした。松井氏は詰将棋作家としてよりも、古典詰将棋の研究家として有名でした。特に古典作品の補正が趣味で、駒数が物凄く増え、あろうことか手順も加えた大改作図になり、挙句の果てに不完全が殆どという杜撰なもので、数多くの人から避難を浴びましたが、気にした素振りは無く、修正補正図を発表し続けました。私が思うに、松井氏は評論だけをしていたなら、「将棋諸書評論」「将棋精観」といった名著の著者として、名を遺したと思います。古図式の補正は本当に酷く意味が無かったと思います。松井氏と同時代でも加藤文卓氏のように優れた補正図を残された方も居たのに、惜しいことでした。少しフォローしますと、手持ちの資料を提供して、日野秀男氏主宰の古図式鑑賞同好会版の古図式復刻本に貢献された点は後世に残る功績だと思います。
-------------------------------------------------------------------------------------
第八十五番
福岡県
奥薗 幸雄氏作

12銀、同金、33角、22飛、23桂、同金、12金、同玉、23銀成、同玉、24金、12玉、15飛、13歩、22角成、同玉、23飛、32玉、44桂、42玉、52桂成、同玉、55飛、62玉、65飛、72玉、75飛、82玉、85飛、72玉、83飛上成、61玉、63飛成、51玉、81龍、42玉、B72龍引、51玉、52龍寄迄39手

初手から21銀成、同玉、43角、32飛、13桂、同金、33桂、12玉、A21銀、11玉、12金、同飛、同銀成、同玉、11飛、23玉、15桂、33玉、13飛成、44玉、24龍、55玉、53飛、66玉、64龍、77玉、57飛成、88玉、87龍、79玉、78金迄31手の早詰
Bで33金、同桂、72龍引以下の迂回手順や82龍、92龍の非限定あり
 原著の持駒は「飛角金銀桂桂」ですがT-BASEでは何故か持駒が「飛角金金桂桂」となっていますが、それも下記の手順で早詰。
持駒が「飛角金金桂桂」でも初手より、14飛、12角、同飛成、同金、21銀成、同玉、43角、32桂、13桂、同金、33桂、12玉、34角成、23飛、21角、11玉、22金、同玉、14桂、11玉、22金、同飛、同桂成、同玉、12飛、同金、同角成迄27手の早詰。
何故こうなっているのか不明ですが、原図で余詰手順中A21銀と出来ないように持駒を銀から金にしたのでしょうか?
早詰さえなければ、簡素図式から序盤は粘っこい合駒が出てきた後、13手目15飛の以遠打から、2枚飛車追いでの纏めで良く出来ていたのですが、、、、。
奥薗氏は福岡県大牟田市の人。初段。昭和八年生まれ、昭和三十年21歳で没しました。1950年~1956年に約80作弱の発表があり、発表誌は近代将棋。旧・新パラ、詰棋界、風ぐるま、新・王将、将棋評論、将棋春秋。手数は7手~873手。作風は難解作のオールラウンドプレーヤーで、傑出した作品を多く発表されましたが、その殆どが不完全でした。奥薗氏と言えば何と言っても新扇詰で、新扇詰は長い間長手数1位の作品で、その功績は詰将棋がある限り不滅でしょう。また、新煙詰を黒川一郎氏と同時に発表されたのですが、不完全で黒川氏に煙詰2号局の成果を独占されてしまったことは、痛恨の出来事だったと思います。



「田宮氏時代のヤング・デ・詰将棋OB作品展」作品募集のお願い。

2018-08-12 16:20:00 | 詰将棋
 今、田宮氏時代のヤング・デ・詰将棋の復刻版作成が進行中です。そこで、復刻版が出来た際に詰将棋パラダイス誌誌上にて「田宮氏時代のヤング・デ・詰将棋OB作品展」を行いますので、作品募集をいたします。

投稿資格:下記、田宮氏時代のヤング・デ・詰将棋の作家リストに載っている方。(亡くなられた方も記載されています。)

募集作品内容:下記ヤン詰採用必勝法(競争社会を勝ち抜く秘法)に合致する作品。大長編作部分は加筆

投稿先:管理人メールアドレスまで onogenjp●yahoo.co.jp ●に@を入力
【「田宮氏時代のヤング・デ・詰将棋OB作品展」作品応募】という見出しで投稿してください。

投稿期間:~2018年8月末日迄(作品が集まらなけらば延長の可能性あり。)

その他:
①掲載は10月号以降ですが、田宮氏時代のヤング・デ・詰将棋の復刻版が何時出るかは確定していないので、可なりかかる場合もあります。
②田宮氏時代のヤング・デ・詰将棋なので、非入選扱いとなります。
③田宮氏についての思い入れや思い出等を書いて投稿していただけると採用率が上がるかもしれません。
④ペンネームは不可です

田宮氏時代のヤング・デ・詰将棋の作家リスト(敬称略)
<あ行>
朝日睦・東隆久・飯田繁和・石原誠・伊藤正己・稲田裕一・井上進・今岡みえ・岩上秀俊・岩本清二・大崎達也・大前勝明・岡本正貴・奥沢宏一・奥村孝夫・長内健
<か行>
勝亮三・加藤孝・加藤由郎・茅野英治・川脇康生・北原有州・北村幸子・木村透・久木野和雄・黒木雅明・小泉潔・小迫清美・小林佐千夫
<さ行>
佐伯治雄・阪井仁・坂野孔一・佐々木一幸・佐々木康司・佐藤司・世良井昭任・相馬康幸
<た行>
高崎忠祉・竹田孝二・多田悦雄・田中茂雄・田宮克哉・田宮千冬・為井浩次・千葉敏雄・千葉学・土公武宜・利波偉・富沢岳史
<な行>
中井孝司・中島和男・夏香織・西沢重男・西村千秋・西村直太
<は行>
筈見公一・橋本浩文・橋本美雄・林俊二・林信一・林英明・原田鉄士・福永光成・藤岡靖朝・藤沢幸隆・藤本和・星野光一
<ま行>
前垣良行・松本博志・宮北克己・村上昌宏・村野雄二・森田昌利・森本弘
<や行>
柳原裕司・山口哲・山名厚・山村政・山本繁樹・山本弘之・山本浩貴・吉岡一人・吉田裕司・吉永浩幸
<わ行>
渡辺正

登場作数リスト
1位 13作 田宮克哉
2位 9作 岩本清二
3位 7作 佐々木康司
4位 6作 岡本正貴・小迫清美・相馬康幸・
千葉敏雄・富沢岳史
5位 5作 久木野和雄・林英明・柳原裕司・山名厚
-------------------------------------------------------------------------------
ヤン詰採用必勝法(競争社会を勝ち抜く秘法)
(1)使用駒数は10枚以内をねらう。
(2)3手、5手でおさまるようくふうする
(3)7手になるときは、甘く可愛いらしさがにじみ出ているようにする。
(4)9手以上になるときは、お笑いぐさのような趣向をいれておく。
(5)駒配置は極力こじんまりとまとめる。
(6)あまり強烈な手はさしひかえる。

注:大長編作(もちろん実質5手詰めで、バカバカしい趣向がエンエンと続くもの)も可

↓実際に投稿すると下記の書類が田宮氏から送付されてきました。