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奥 山 豊 和 (おくやま とよかず)公式ブログ

それは、DMOではない。

今回の一般質問は、「主体性ある『よこて版DMO』の実現に向けて」ということで、昨年6月に引き続き、Destination Marketing/Management Organization、つまり官民が地域全体で連携して観光振興に取り組む「観光地域づくり」組織のあり方について取り上げた。

6月は、DMOの旗印は何か、そして今回は、DMOの肝は何かということで、これから始まる新たな観光地域づくりの根幹に関わる部分についてお聞きしたのにも関わらず、6月の答弁は「10年20年とブランドを作り上げていく旗印を決めるためには、多様な業態の皆様との合意形成が最も重要」とした上で、「各地域で開催する座談会や説明会においてご意見をいただきながら」、これから合意形成を図っていくという答弁であった。

6月時点では設立発起人会が立ち上がる前であったため、今後の方向性を示す答弁であったと理解している。

しかし、近隣市町村との連携ではなく、横手市単独の「地域DMO」の構築を進めると表明してから1年。

未だにそのビジョンが示されないというのは一体どういうことなのだろうか?

羽後町DMOのコンセプトは「里山留学」、大館市を中心とする秋田犬ツーリズムのコンセプトは「秋田犬王国へのいざない」、というように、この旗印、コンセプトが定まらない限り、何をするためのDMOか、どこをターゲットにして、何のためにマーケティングをし、マネジメントをするのかというビジョンも定まらないのだと思う。

「市内各観光協会との合意形成」を最優先してきた判断というのは、大事なことである。観光協会がうまくまわらずして、その先のDMOなどあり得ないからである。

やはり、そもそものスタートの段階、国の地方創生加速化交付金に飛びついて、組織化ありきで動き出してしまったことが間違いであったと、私は今でも思っている。

なぜ、昨年の3月議会でこの補正予算が提案された時、私は、「横手単独ではなく、近隣市町村を巻き込んだかたちの『地域連携DMO』を目指すべきだ」と提案したのかというと、それは・・・

いわゆる「地方消滅レポート」が想定する舞台である2040年、秋田県の人口は現在の100万人から30万人減の70万人社会が想定されている。そういう時代に、次の市町村合併があるかは分からない、道州制の議論が再び盛り上がっているかどうかもわからない。しかし、隣の自治体と、公共施設を一緒に持とうという議論にはなり得るのだと思う。

現在横手市が進めている「財産経営推進計画」、いわゆるFM計画の広域的な考え方というのは、必ず必要になってくるものと思う。だからこそ、今この時期に、「観光地域づくり」というキーワードから、今の自治体の枠を超えた連携をしておくことが、将来のまちづくりにきっと活きてくるのだと私は信じている。

多種多様な方々を巻き込んだ形のDMOにしていかなければならないのにも関わらず、12年前の市町村合併を彷彿とする、当時巻き起こった議論が思い出されるような進め方がなされているのが、なかなか合意形成が図られない要因であるように思う。

一般社団法人横手市観光推進機構なるDMOが今月中に発足される運びとなるようだ。国へのDMO登録認可申請を協議中であるというが、肝心要の「人材」が、全く固まっていないというのには、正直驚いた。

当局的には「これまでと方針は変わっていない」と言うが、そもそも昨年6月の段階では、「現在の横手市観光連盟と、横手コンベンション協会をDMOに改組して法人化する。分析も行えて実働的に動かせる組織に再編をしたい」と言っていたのにも関わらず、観光連盟とコンベンション協会は残した上で、新しくDMO法人を立ち上げるというのは、私には微妙にニュアンスの違いを感じる。

新しい「横手市観光推進機構」の専従職員は?との問いかけには、「観光連盟とコンベンション協会の職員が兼務する」という答弁。DMOの肝である専門人材、マーケティングとマネジメントを専門的に行う人材に至っては、「まだ決まっていない」というから、それは驚いたどころではなく、話にならない。

何をやるためなのかというコンセプトも決まっていない。Mを担う人材も決まっていない。

これでは、DMOと呼べないのである。

マネジメントの重要性について1例をあげるとするならば、昨年12月議会にJRの大型キャンペーンに合わせて、最寄駅から増田のまちなみへの2次交通を強化させるために、ジャンボタクシーやシャトルバスを走らせるための費用として559万円の補正予算が提出された。

担当レベルでは、「想定していたよりも利用者が少ない」との分析のようであるが、ただ何となく続けてきた観光行政の象徴的な話である。

DMOをやるとするならば、「地域の稼ぐ力を高めるためだ」というのならば、観光はビジネスであるという強い気持ちが必要である。営業の視点、経営の視点をもって、常に売り上げ目標を設定した上で利益を確保することをビジネス感覚でやらなければならない。それがDMOの本質である。

安易に「バスを走らせればいい」という発想は、ローカル線を乗り継いで目的地にたどり着くことが旅の楽しみであるという現在のトレンドを無視したものであり、そもそも、駅から増田のまちなみの間に、横手市として紹介したい、訪ね歩いてもらいたいものが何もないといっているに等しい行為でもある。意味不明である。

DMOが中心となり、地域一体となった戦略が必要だということを、この事例が物語っている。

冒頭、コンセプトが決まっていないことを指摘させて頂いた。

観光協会レベルでの合意形成も大事であるが、広く地域みんなで決めたコンセプト、何のためのDMOなのかという目指すべきゴールをみんなで「共有」できなければ、何のためにマーケティングをし、何のためにマネジメントをするのかという、そもそもの「判断基準」がブレてしまうのである。

多種多様な方々との「共有」がなされていない状況・・・

現在横手市では、各地域の公民館を核とする地区交流センター化を進め、市民に自主運営、「協働」を促している。

何のために?ということを、市民は「共有」しているのだろうか?

そうだよなと「共感」して頂けているのだろうか?

そのプロセスなくして、市民は動いてくれないのだと思う。いつまでたっても「共働」が「協働」に繋がっていけないのだと思う。

DMOについても、入り口の「共有」がまだなされていないのが実態である。このことをとってみても、これはDMOではないのだ。

議会に対しても同じである。

当局の姿勢は、「共有」ではなく情報を伝えただけに過ぎない。それは単なる一方通行で、最近に至っては不都合な事実を隠ぺいし、情報提供すら行われていない有り様である。

いい情報もそうでない情報も、「共有」をしなければ、車の両輪と例えられる市当局と議会の信頼関係は育まれないし、横手市が前に進んでいくことなどできない。

「動きが止まっている」とご指導頂くのは、議会の責任だけではないのである。

地域の多様な人たちが同じ目標に向かって主体的に行動することが、地域に根差したDMOを展開していく上での大前提のはずである。

今やろうとしていることというのは、予算ありきに始まり、どんな体制で組織化をするのかという手続き論に過ぎない。

どんな仕組みで組織をまわしていくのかという視点が欠けているだけでなく、明確な旗印の下で具体的に何をするのかという中身の議論がされていない、「共有」もされていないというのが、今の状況なのである。

このことを踏まえた上で、横手市の「情報発信」や、インバウンド、ホストタウンなどについても言及したいところであるが、またの機会に・・・


追伸・明日から3日間は、各常任委員会に分かれての詳細な質疑が行われる。一般質問への対応、当局には誠意を示して頂かない限り、互いに信頼し合っての議論などできない。

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