やまさんのエンジョイ生活 Ver.2

趣味の登山、映画鑑賞、読書を日記風に紹介してます。

年末の映画4本

2013-12-30 | 映画

12月27日(金)               『かぐや姫の物語』

   

  高畑勲監督が「ホーホケキョとなりの山田くん」(1999)以来、約14年ぶりに手がけた監督作。日本最古の物語といわれる「竹取物語」を題材に、「罪を犯したために、この地に下ろされた」とされてるかぐや姫の犯した罪、そして、罰とは何かを描き出す。主人公のかぐや姫役の声優は、映画「神様のカルテ」やNHK連続テレビ小説「てっぱん」などに出演した新進女優の朝倉あき。2012年6月に他界した俳優の地井武男が、作画完成前に声を収録するプレスコ方式で生前に収録を済ませており、かぐや姫を見つけ育てる翁役として声優出演を果たした。宮崎駿監督作品で常連の久石譲が、高畑監督作で初めて音楽を担当。

 かつて高畑勲が社員として所属していた時代の東映動画(現・東映アニメーション)において、内田吐夢監督による『竹取物語』のアニメーション映画の企画が持ち上がった。この企画は様々な事情により実現しなかったが、この際に高畑が創案したものの没になったプロットが本作の大元になっている(これとは別にかねてよりの夢であった『平家物語』を製作することも考えたようだが、本作で起用されたメインアニメーターである田辺修が「人が人を殺すシーンは描きたくない」と拒絶し、製作には至らなかった)。また、ジブリ代表の鈴木敏夫が、以前高畑が「『かぐや姫』という作品はいつか日本人がきちんと作るべき作品だ」と語っていたことを思い出し、『かぐや姫』を映画化するのはどうかと提案した事も後押しとなり、2005年に製作が決定した。

 丁寧な絵など、一つ一つのシーンが印象に残る映画でした。

12月27日(金)                「コンラック先生

  

  1974年にマーティン・リット監督、ジョン・ヴォイト主演、20世紀フォックスの製作で映画化された。原題はConrack

 アメリカ・サウス・キャロライナ州の海岸沿いにある小さな島に白人の教師コンロイが赴任する。島は雑貨屋の主人以外は黒人だけ。21人いる小学生は満足に文字も書けず教師の名前も「コンラック」としか発音できなかった。女性校長は黒人でありながら生徒を見下し、ムチで脅かしながら教育するよう指示するが、コンラックは彼らと同じ目線で対等に語り合い、自由で即興的な教育を進める。野外を歩きながら自然を学び、木に登って万有引力を語り、クラシック音楽を聞いてベートーベンの意図を伝える。次第に生徒たちは知識を深め、勉強をする楽しさを知っていく。コンラックは彼らが島に住みながら水泳が出来ないことを知って泳ぐことを教え、町を見たことのない彼らを船とバスで町に連れて行きハロウィーンの祭りを体験させた。が、保守的な教育委員長はコンラックの行動を生きすぎだと判断して彼を解雇する。コンラックを慕う島民たちは抗議行動に出ようとするが……。



 

12月28日(土)               『永遠のO』

   

 零戦搭乗員の悲劇を描いた百田尚樹のベストセラーを、『ALWAYS』シリーズなどの監督・山崎貴が映画化した戦争ドラマ。祖父の歴史を調べる孫の視点から、“海軍一の臆病者”と呼ばれたパイロットの真実の姿を、現代と過去を交錯させながらつづっていく。主人公の特攻隊員役に、『天地明察』『図書館戦争』などの岡田准一。現代に生きる孫に三浦春馬がふんするほか、井上真央や夏八木勲など若手からベテランまで多彩な俳優が共演する。生と死を描く奥深い物語はもちろん、サザンオールスターズによる心にしみる主題歌にも注目。

  宮部の孫にあたる青年(三浦春馬)が、今まで知らなかった本当の祖父と祖母の誠実と苦難の人生を明らかにしてゆく物語は、百田尚樹の原作が大ベストセラーだけあって、とても面白いし、感動的である。山崎貴監督はもともと特殊撮影の名手なので、宮部の名パイロットぶりを示す空中戦なども実に良くできている。俳優では岡田准一が心優しい宮部をよく演じているほか、もと宮部の部下や隊員だった老人たちに名脇役を揃えているのが壮観なほどである。(新潟日報 1/13)

 原作も良かったが、映像化された作品は戦闘シーンなどもはっきり分かった。原作を少しいじったみたいですが、なかなか良くできた作品でした。

 

12月29日(日)                「思秋期

 

 サンダンス映画祭ドラマ部門の監督賞受賞を筆頭に、各国映画祭で数々の賞に輝いたドラマ。自身と周囲を傷つけながら生きる中年男とつらい秘密を抱える女性が出会い、希望を見いだしていく姿を追い掛ける。監督は個性派俳優としても活躍し、本作で初の長編演出に挑んだ『ブリッツ』などのパディ・コンシダイン。

 失業中のジョセフ(ピーター・ミュラン)は、酒浸りの上に感情の抑制が利かない中年男。酒に酔っては周囲の人々とトラブルを起こすという、怒りと暴力ばかりの毎日に精神を疲弊させていた。そんなある日、ひょんなことから彼はチャリティー・ショップの女性店員ハンナ(オリヴィア・コールマン)と知り合う。朗らかで機知に富んだ彼女と接することで、今まで感じることのなかった平穏な気持ちを持てるようになるジョセフ。次第に交流を重ねて固い絆を育むようになる二人だったが、ハンナが抱えるある秘密をめぐる事件が起きてしまう。

 1974年生まれで、俳優として活躍してきたパディ・コンシダインが、アスペルガー症候群と診断されたのは36歳のときのことだった。ということは、それまでずっと原因もわからないままに、自分を取り巻く世界との溝やコミュニケーションの壁に苦しめられてきたことになる。  コンシダインのこの長編初監督作品には、そんな個人的な体験が反映されていると書けば、ジョセフという男のことを意味していると思われるだろう。確かに彼は、衝動を抑えられず、周囲に苛立ちをぶつけ、孤立している。しかしそれだけなら、労働者階級の世界を描くイギリス映画という枠組みに収まっていただろう。  この映画が掘り下げるのは、ジョセフと彼とは異なる世界で生きる中流の女性ハンナとの関係であり、信仰やアルコールに救いを求める彼女にも、間接的にコンシダインの体験が反映されているように思える。まずなによりも、自分の人生が悪い方向に向かっているとわかっていながら、どうすることもできない男女それぞれのもどかしさが、実に見事に描き出されている。  そんなふたりがどう変化するのかは、ジョセフのふたつの台詞を対比することで鮮明になる。彼は、ある犬について「動物は過度に虐待されれば反撃に出る」と語るが、ふたりも動物になるところまで追い詰められていた。しかし、お互いの痛みを肌で感じ、共有することによって、「信仰心がないのに自然と祈っている」と語るようになるのだ。(大場正明)(映画.com)

 第24回東京国際映画祭ではWORLD CINEMA部門で『ティラノサウルス』の題で上映された。


 

 

 



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