5月20日(土) 「空にみずうみ」(佐伯一麦著)
「あの日」から4年、積み重なった歳月を、みつめていた−。東北地方に住む作家の早瀬と染色家の柚子の、ある1年を綴る。『読売新聞』連載を書籍化。東日本大震災を描いた話題作『還れぬ家』から3年。仙台に住む作家の早瀬と妻の染色作家・柚子のその後を、現実と同時進行で綴る。
6月8日(木) 「スウィングしなけりゃ意味がない」(佐藤亜紀著)
1939年ナチス政権下のドイツ、ハンブルク。軍需会社経営者である父を持つ15歳の少年エディは享楽的な毎日を送っていた。戦争に行く気はないし、兵役を逃れる手段もある。ブルジョワと呼ばれるエディと仲間たちが夢中なのは、”スウィング(ジャズ)”だ。敵性音楽だが、なじみのカフェに行けば、お望みの音に浸ることができる。ここでは歌い踊り、全身が痺れるような音と、天才的な即興に驚嘆することがすべて。ゲシュタポの手入れからの脱走もお手のものだ。だが、そんな永遠に思える日々にも戦争が不穏な影を色濃く落としはじめた……。一人の少年の目を通し、戦争の狂気と滑稽さ、人間の本質を容赦なく抉り出す。権力と暴力に蹂躙されながらも、“未来”を掴みとろうと闘う人々の姿を、全編にちりばめられたジャズのナンバーとともに描きあげる、魂を震わせる物語。
6月13日(火) 「トワイライト・シャッフル」(乙川優三郎著)
宝石のような時間もあった。窮屈な現実にも追われた。まだ思い出に生きる齢でもないが、やり直せないところまで来てしまったのか。房総半島の街で自己を見失いかけ、時に夢を見、あがく、元海女、落魄したジャズピアニスト、旅行者、女性郵便配達人、異国の女……「これぞ短篇」「珠玉」としか言いようのない滋味あふれる13篇。
6月21日(水) 「生きるなんて」(丸山健二著)
23歳で芥川賞を受賞して以来、文壇との馴れ合いを断ち、誰にも頼らず徒党も組まず、ひとり安曇野で文学と格闘してきた著者が、還暦を越えて、「自立して生きる」とはどういうことを意味するのかを、人生のとば口に立っている若者に説く。学校、親、仕事、才能、時間、など生きていく上で身近にぶつかる11のテーマについて、巷にはびこる建前論を極端なまでに拒絶し本音で語る「丸山流辛口人生論ノート」。
7月1日(土) 「イノセントデイズ」(早見和真著)
放火によって奪われたのは、元恋人の妻とまだ1歳の双子の命。確定死刑囚、田中幸乃の人生は、「不運」と「悪意」が支配していた。「暴力」と「裏切り」も加勢する。だから、なのか?ひとりの男だけが、味方であり続ける。なぜ彼は、彼女を最後まで信じようとしたのか?「整形シンデレラ」とよばれた鬼女。彼女が犯した「罪」、その死刑囚が犯した最大の罪とは?衝撃指数極大値。先入観を紛砕する圧倒的長編。
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