熊じぃの戯言

感じるままに、どのジャンルの話にも頭を突っ込んで書いています。

U-19最新情報【第6報】 詳細レポート

2006-10-30 18:56:44 | 五輪
日本の先制点を決めた河原。このゴールで日本は落ち着くことができた【 GO WEST PHOTO 】


北朝鮮に2-0で勝ったが、心配なのは梅崎と森重の2人。どんな具合なんだろうか?まずは元川さんのレポートから・・・。

少し長文だけど・・・。

-----
吉田ジャパン、7大会連続の世界切符獲得へ好発進(1/2)
AFCユース選手権 日本VS.北朝鮮
2006年10月30日
(文= 元川悦子 )  


「このチームは状態のいい時は安定した戦いができるが、悪くなると底がない。苦しい時にどれだけやれるか……。それが何よりも問われる」とインド入り直前に話していた吉田靖監督。AFCユース選手権大会(インド)開幕直前のU-19日本代表はかなり厳しい状況に追い込まれていた。

 29日の初戦・北朝鮮戦前日には、チームの核をなす右サイドのDF内田篤人(鹿島)、194センチの長身FWハーフナー・マイク(横浜FM)、そして守備のユーティリティープレーヤー・森重真人(大分)の3人が体調不良で練習を欠席。彼ら3人は当日になって何とか復帰したが、今度はチームで唯一のA代表経験者である梅崎司(大分)のコンディションが悪化。吉田監督も先発から外さざるを得なかった。
 それでも、選手たちは前線から積極的にプレスを掛け、ボールを奪ったら素早く攻めるという切り替えの速い攻撃を90分間にわたって実践。コンディション調整の不十分な北朝鮮を粉砕した。「トーナメントを戦い抜く上で最も重要」と吉田監督が位置づけていた初戦を2-0で快勝し、日本は7大会連続世界大会切符獲得へ好スタートを切った。



■1次予選でも対戦した北朝鮮と再び激突

 10月29日からインドのコルカタとバンガロールで始まったAFCアジアユース選手権。2007年7月にカナダで開かれるU-20ワールドカップ(前ワールドユース)には、アジアから4チームが出場する。日本は、1995年のカタール大会から連続出場を続けてきた伝統を守るため、今回も準決勝以上まで勝ち進まなければならない。
 北朝鮮、タジキスタン、イランとともに最激戦区のC組に入っている日本。まずはグループ2位以内を確保することからすべてが始まる。
 チームは22日から1次リーグを戦うバンガロール入りし、準備を進めてきた。けれども試合会場のスリーカンテラーバスタジアムでは事前に1回しか練習できずじまい。最悪のピッチ状態にどこまで適応できるか。それも1つの大きなポイントとなった。

 日本の初戦である北朝鮮戦の当日、現地は晴天に恵まれた。試合開始の16時の気温は26度とやや高め。「気温が上がってくれたことはうちに有利」と、吉田監督は前向きにとらえた。
 先発イレブンはGKが林彰洋(流通経済大)、DFに内田、槙野智章(広島)、福元洋平(大分)、堤俊輔(浦和)、ボランチに青山隼(名古屋)、柏木陽介(広島)、攻撃的MFは山本真希(清水)、田中亜土夢(新潟)、FWは森島康仁(C大阪)、河原和寿(新潟)。2トップは、昨年の秋に熊本で行われた1次予選の北朝鮮戦と同じ組み合わせだ。「相手のフィジカルの強さを考えると、動き出しのいい選手が必要。そこで河原を先発させた」と指揮官は、起用の理由を話した。

 一方の北朝鮮も4-4-2。しかし、彼らは2日前にバンガロール入りしたばかり。そのせいか、1次予選でエースだったFWパク・チョルミンが控えとなるなど、コンディション面で不安を抱えたままの戦いとなった。



■強敵北朝鮮に2-0と勝利

「まずはピッチ状態を考えること。パスができる時はパスを選択し、判断が遅れるようなら無理をせず、高さのあるトップに長いボールを合わせる」という約束事で試合に入った日本。だが、立ち上がりは硬さが目立った。
 リスクを冒さずにロングパスを多用するものの、河原と森島のところでボールが収まらず、攻撃の起点が見いだせない。序盤のチャンスらしいチャンスは13分に山本が放ったミドルシュートと、20分に青山が打った遠めからのシュートくらい。北朝鮮の「個の力」に押されるシーンも多かった。

 前半28分には北朝鮮に決定機が訪れる。右CKからMFリ・チョルミョンがフリーでヘディングシュートを放ったのだ。これは1点ものの場面だったが、日本の守護神・林が立ちはだかる。「あれを止めるのと止めないのでは全然違う」と本人も話す重要なプレーで、日本は流れを引き寄せた。
 そして34分、日本に待望の先制点が入る。リ・チョルミョンのミスパスを拾った森島が左サイドを走り込んできた河原にパス。河原は迷うことなく豪快に左足シュートを決めたのだ。ここまでトラップミスが多くチャンスに絡めていなかった河原は、会心のゴールに、「入った瞬間、鳥肌が立った」というくらい興奮したという。これでチーム全体の緊張もほぐれ、日本は1-0で前半を折り返した。

 だが、吉田監督が「北朝鮮はもっと強い。熊本で戦った時は内容的に負けていたくらい」と話すだけあって、北朝鮮は後半開始とともに底力を見せ始める。前がかりになる北朝鮮の勢いに押され、日本守備陣は1対1で抜かれて、浮き足立つ。それでも、林や福元の体を張った守りで何とかしのぐと、後半15分以降は再び日本が主導権を握った。攻撃には連動性が感じられ、守備も前線からの献身的なプレスとバランスの良さが光った。
 にもかかわらず、どうしても追加点が奪えない。これに対し、吉田監督はハーフナーや柳沢隼(柏)らを投入して状況の打開を図る。
 そして後半38分、日本に待望のダメ押し点が入った。起点となったのは先制点を決めている河原。彼の浮き球のパスがゴール前に走り込んだ柏木に渡り、柏木はGKとの1対1を確実に左足で決めたのだ。日本はこのまま試合をコントロールし、強敵北朝鮮を2-0と下した。


■プロでもまれ、たくましくなった選手たち

 終わってみれば2-0。エース・梅崎を温存した上での初戦白星は吉田ジャパンにとって大きな自信になるだろう。指揮官が選んだ河原と森島の2トップは得点につながる仕事をきっちりと果たし、柏木や田中、山本らは前からのプレスを終始、怠らなかった。彼らの守備意識の高さは後ろの選手たちの負担を大いに軽くした。
 攻守の要・青山の役割も無視できない。「自分はいかにバランスをとるかが使命。守備に関してはインド入りしてからもあまり声が出ていなかったんで、選手だけのミーティングを行って確認した」と彼は言う。1次予選のころは吉田監督の指示を黙々とこなす印象が強かった選手たちだが、1年が経過して大半がプロになったことで「戦うのは自分たち」という前向きな姿勢が出てきたようだ。これも収穫といえる。

 そしてディフェンス陣の奮闘も評価すべきだ。試合の明暗を分けた林のセービングはもちろん、最終ラインを固めた福元と槙野の連係は申し分なかった。福元がいるだけで守備陣の安定感は増す。「大事な初戦だったんで入り方を間違えないようにした。最後まで集中力を保ち続けるように声を出した」と話すキャプテンは、しっかりとチームをまとめた。

 初戦勝利は河原ら攻撃陣の活躍による部分も大きいが、組織的守備がこのチームを支えていることを忘れてはいけない。吉田監督も「守りに危ない場面はなかった。落ち着いて対応した」と彼らの労を労った。



■勝利にも気を緩めない指揮官


「このチームはやるべき時はやる」
 そんな印象をあらためて強くした北朝鮮戦だったが、指揮官は満足していない。「後半の頭10分間くらいは相手にペースを握られた。まだまだ甘いところがある。それに今回は北朝鮮の調整不足に助けられただけ。まだ1試合目に勝っただけでほっとしていてはダメ。次のタジキスタン戦(31日)に勝てば、3戦目のイラン戦(11月2日)が楽になる。そういう意味でも2戦目が大事」と、吉田監督はすぐさま気を引き締めた。

 確かにタジキスタンは侮れない。初戦でイランに1-3で逆転負けを喫したが、個人の強さと激しさ、スピードは日本を上回る。特にFWのラビモフ(10番)とサイドフ(11番)、左サイドのイスモイロフ(7番)は要注意プレーヤーだ。国際経験不足と組織力のなさは彼らの弱点ではあるものの、何かの拍子に調子に乗らせたら、日本は痛い目に遭いそうだ。

 1次リーグは中1日のタイトなスケジュール。梅崎を筆頭に体調不良者もまだいる。まずはしっかりとリカバリーして、次なる戦いに向かうこと。その地道な歩みの先に、7大会連続世界大会出場という目標達成がある。

<了>


森重は下痢症状、梅崎は発熱(38.5℃)とのこと。早く良くなって次のタジキスタンでの活躍を期待したい。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿