荻伏共同育成場日誌

北海道浦河町にある競走馬育成牧場・荻伏共同育成場の場長が日々の風景をお届けする徒然日誌。

先週の注目馬『ブラックボイス』

2021-07-25 17:46:08 | 競馬
遂に週跨ぎの更新です(汗)

少頭数のレースにおける圧勝は評価が難しいところがあります。強すぎると思われているがゆえに、対戦を避けられている場合もありますし、ただ単に条件的に集まらなかった場合もあります。大差勝ちしたダンスウィズジョイはどちらの可能性もありますが、もう一戦見てからで。

相手が強すぎたり、完成度の高かったりする相手に完敗し未勝利に回る素質馬は、未勝利戦であるがゆえにどうしてもスポットライトが当てられやすい新馬戦に比べて見落としがちになってしまう傾向にあります。土曜日函館1レースの未勝利戦(芝1800m)に勝ったブラックボイスはここでも取り上げたアルナシームに新馬戦で完敗したものの、素質の高さを示したので取り上げたいと思います。。

レースでは、ウインアウォードとテイエムシルバーが並んで先行するよどみのない流れを中団より後ろで追走。ややもたついている感もありましたが、3コーナー過ぎからエンジンがかかると大外をぶん回しながら先団にとりつき、直線ではまとめてかわして快勝。勝ちタイムは1.50.5。

父はブラックタイド。素質を評価されながらも、勝った重賞は『スプリングS』のみ。ディープインパクトの全兄という位置づけでしたが、種牡馬としてはキタサンブラックをはじめマイネルフロストやテイエムイナズマなどの重賞勝ち馬を輩出し成功しています。母ソングライティングは未勝利ですが、祖母エンバーズソング Embur’s Song はカナダの古馬牝馬チャンピオンで、祖母の孫に『プリークネスS』など米G1・3勝のイグザジャレイター Exaggerator がいる血統です。

まだレースぶりは幼さが目立ちますが、距離が延びてもよさそうなタイプで、今後の成長次第では面白い一頭になるかもしれません。

レース未見の方はJRAのHPで見られるのでチェックしておいてくださいね。

同業者やこの仕事に興味がある方はコメントくださいね。

『函館2歳S(GⅢ)』ナムラリコリス

2021-07-17 18:24:12 | 競馬
2歳最初の重賞『函館2歳S』(函館・芝1200m)。一昨年の勝ち馬ビアンフェが先日の『函館スプリントS』に勝ったのは記憶に新しいところ。古くはアグネスワールドやマイネルマックスが勝ったレースでもあります。

 前走の札幌新馬戦で圧巻のレコード勝ちを飾ったポメランツェが1番人気。2番人気は、こちらも札幌新馬戦でレコード勝ちを飾ったカイカノキセキ。3番人気は初戦こそポメランツェに完敗したものの、続く未勝利戦ではハイペースの2番手からあっさり抜け出したナムラリコリスが推されました。

 レースでは、ポメランツェがあっさり行けるのかと思いきやリトスが速く、ハナに立つまでに結構脚を使っていました。その2頭を見る形で、カイカノキセキ、ナムラリコリスが続く展開。直線を向くとポメランツェは余裕がなく、外から抜け出したナムラリコリスと内から迫るカイカノキセキが激しく競り合いましたが、ナムラリコリスが1馬身1/4抜け出し快勝しました。勝ちタイムは1.09.9。

 父は『NHKマイルC』であっと言わせたジョーカプチーノ。種牡馬としては『NZT』でこちらもあっと言わせたジョーストリクトリ。母ナムラキッスは1勝。3代母の半兄に『京阪杯』で2着だったナムラホームズ、近親にも『デイリー杯3歳S』を勝ったダイナサンキューがいる程度で、このような血統から強い馬が出るのですから、競馬は分かりません。

 生産は浦河町の桑田正巳さん。以前、生産馬を預からせていただいたこともあります(モアプリティー)。おめでとうございます!

レース未見の方はJRAのHPで見られるのでチェックしておいてくださいね。

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先週の注目馬『ピースオブエイト』

2021-07-17 05:10:10 | 競馬
またまた土曜日の更新ですが、継続こそが大切だと思われるので。

今週も3場開催で、3場ともに芝1800~2000mの新馬戦が組まれていました。若さ丸出しの馬もいれば、大人びたレースをする馬もいます。評価が難しいのが、スローペースで圧勝した逃げ馬で、時計が桁違いに良ければ評価したいのですが、そうでなければ次走を見てからでもよいのではないかと考えております。まあエクラノーブルのことですが。

大人びたレースをする馬を完成度が高いとみるのかセンスが良いとみるのか、これまた難しいところではありますが、日曜日小倉5レースの新馬戦(芝1800m)に勝ったピースオブエイトはセンスが良い馬として評価したいと思います。

レースでは、小倉の速い馬場としてはスローな1000m1.02.9という流れを、先団を見る4番手できっちり折り合い、最後の直線に向いて先団をあっさり交わすと、後ろから追いすがる1番人気グランディア、2番人気ヴェローナシチーを完封し快勝。勝ちタイムは1.49.7は、今の高速馬場を考えると平凡ですが、パトロールビデオを見ると真っ直ぐ伸びていて、そのセンスの高さが窺えます。

父は『ジャパンC』を勝ち、種牡馬としてもモーリスやゴールドアクターを輩出し大成功を収めているスクリーンヒーロー。母トレジャーステイトはダートの短距離で中央3勝、公営で2勝をあげています。母の全兄にイギリスで6月に行われる2歳重賞『ノーフォークS』などを勝ったアプルーヴ Approve 、3代母の仔に『マルセル・ブサック賞』などを勝ち全欧2歳牝馬チャンピオンのカルチャーヴァルチャー Culture Vulture がいる仕上がりが早い血統。

レース未見の方はJRAのHPで見られるのでチェックしておいてくださいね。

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先週の注目馬『アルナシーム』

2021-07-10 18:13:25 | 競馬
もう開催が始まって、先週の話で申し訳ないのですが、せっかく書いたので掲載させていただきます。

この時期の3場開催で、3場ともに芝1800mの新馬戦が組まれるという、一昔前では考えられない番組構成ですが、これも時代の流れなのでしょうか。
どの組のレベルが高いのか見極めるのが楽しみの一つともなるのですが、日曜日函館5レースの新馬戦(芝1800m)に勝ったアルナシームを推したいと思います。
レースでは、中団からやや後ろのあたりを追走。行きたがっていましたが、武豊騎手が何とか我慢させ、3コーナーあたりから進出開始。外からじっくり捲くっていき、4コーナーで先団にとりつくと、ブラックボイスら前を行く馬をあっさり交わして2馬身の差をつけて快勝。勝ちタイムは1.50.1。

父はマイルから中距離にかけて圧倒的力を誇ったモーリス。新馬戦ではもたつく馬が多い印象ですが、この馬は良い末脚を持っています。母ジュベルアリは不出走ですが、祖母ドバイマジェスティは『BCフィリー&メア スプリント』の勝ち馬で、祖母の産駒つまり叔父には『皐月賞』『大阪杯』とG1・2勝のアルアイン、そして今年の日本ダービー馬シャフリヤールがいる活力ある血統。

レース未見の方はJRAのHPで見られるのでチェックしておいてくださいね。

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『先週の注目馬』スタニングローズ

2021-07-03 05:39:11 | 競馬
 またもギリギリでの投稿となってしまいました(汗)

 逸材探しは、どうしても新馬戦に目が行きがちですが、名馬の中でも新馬戦を落とした馬は少なくありません。26日土曜日阪神1レースの2歳未勝利(芝1600m)で1番人気に推されたスタニングローズは、新馬戦で終始外を回らされる形となり、追い込んだものの2着でした。
 レースでは、外枠だったことから、また外を回らされるかと思いきや、川田騎手は意識的に馬群の中で我慢させ、4コーナーで馬群の間をついて抜け出すと、あとは余力十分で目いっぱい追われることなく後続との差を保ちながらの完勝。勝ちタイムは1.35.2。時計自体特筆すべきものはありませんが、レースセンスの良さが目立つレースぶりでした。

 父は名馬にして名種牡馬のキングカメハメハ。母ローザブランカは3勝。いわゆるバラ一族で、祖母ローズバドは『フィリーズレビュー』『マーメイドS』を勝ったことよりもG1・2着3回の方が印象に残る馬でした。曽祖母は『デイリー杯3歳S(旧表記)』を勝ったロゼカラー、叔父に『ジャパンC』『朝日杯FS』を勝ったローズキングダム、近親には重賞3勝のローザンクロイツ、重賞5勝のロサード、『中山金杯』を勝ったヴィータローザがいる活躍馬多数の血統。

レース未見の方はJRAのHPで見られるのでチェックしておいてくださいね。

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