荻伏共同育成場日誌

北海道浦河町にある競走馬育成牧場・荻伏共同育成場の場長が日々の風景をお届けする徒然日誌。

先週の注目馬『スズカダブル』

2022-07-02 05:23:36 | 競馬
 昨年、新馬戦を差し置いて未勝利戦の勝ち馬であるスタニングローズを注目馬に上げたところ『フラワーC』を勝ち『優駿牝馬S』でも2着に入るなど活躍してくれました。それに味を占めたわけではありませんが、未勝利戦の勝ち馬からピックアップしたいと思います。
 26日土曜日の東京1レースの未勝利戦(芝1600m)には評判馬相手に前走の新馬戦で健闘したスズカダブルが断然の1番人気に推されました。
 レースでは前走のようには逃げず、ハチミツプリンがつくる前半1000m59.0という新馬戦としては淀みのない流れを3番手の外側で追走。直線に向くと馬なりで並びかけやや内にささるような仕草を見せたものの、気合をつけると一気に抜け出し最後は余力を残しながらも2着のスティルディマーレに3馬身差をつける快勝。勝ち時計は1.34.8。瞬発力勝負では分が悪そうですが、速い流れになりそうな地力勝負では注意が必要な一頭です。

 父バゴは『凱旋門賞』などG1・5勝。種牡馬としてもグランプリ3連覇のクロノジェネシスをはじめ、『菊花賞』馬ビッグウィークを輩出するなど、近年の輸入種牡馬の中では数少ない成功馬の一頭。
 母ダブルファンタジーは中央で2勝、地方で1勝ながらも船橋競馬の『マリーンC(G3)』で3着に入ったことがあります。近親に大物はいませんし、母の父ジャイアントレッカーも競走馬としても種牡馬としても特筆すべきものはありませんが、これで良血馬を倒していくとしたらドラマティックですね。
 生産は浦河町の辻牧場さんです。

レース未見の方はJRAのHPで見られるのでチェックしておいてくださいね。

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先々週の注目新馬『ウンブライル』

2022-07-02 05:23:36 | 競馬
 一昔前は活躍馬の全弟・全妹は評判倒れになることが多かったのですが、近年は活躍する馬も目立ってきました。
 18日土曜日の東京5レースの新馬戦では全兄にステルヴィオをもつウンブライルが1番人気に推されていました。
レースでは発馬こそ良くなかったものの一気に加速し先頭に並びかけ雁行状態に。4コーナーでは早くも先頭に立つと後続を全く寄せ付けず完勝。勝ち時計は1.22.1。前後半3ハロンのタイム差が2秒もあるというスローペースで前残りの展開でしたが、それを差し引いても抜け出す瞬発力は見事でした。
 父ロードカナロアは『香港スプリント』2連覇を含むG1・6勝で年度代表馬に輝いた名馬にして、アーモンドアイ、ダノンスマッシュ、サートゥルナーリア、そして今年に入ってダノンスコーピオンなどG1馬を輩出し続け名種牡馬の地位を確立しています。
 母ラルケットは4勝をあげており『クイーンC(G3)』3着もあります。上述の通り全兄には『マイルCS』を勝ったステルヴィオ、4代母のスイートコンコルドと言えばシンボリルドルフの全姉というオールドファンには懐かしい血統です。
 生産は安平町のノーザンファームさんです。

レース未見の方はJRAのHPで見られるのでチェックしておいてくださいね。

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3週前の注目新馬『マラキナイア』

2022-07-02 05:20:27 | 競馬

 随分すぎているので、書くか迷ったのですが、自分の備忘録も兼ねているので書くことにしました。
 昨年、新馬開幕2週目で取り上げさせていただいたセリフォスは大活躍を見せてくれましたが、今年も同じ舞台で楽しみな逸材がデビューしました。11日土曜日中京5レースで圧倒的な1番人気に推されたマラキナイアです。
 レースでは好発からレゾルシオンが作る半マイル47.8という緩い流れを離れた3番手で追走。2番人気セレスティアリティが捲ってくるのに合わせる形で進出。直線では粘るレゾルシオンを軽くかわして2馬身差をつけ快勝。勝ち時計は1.34.7。

 父ジャスタウェイは『ドバイデューティフリー』などG1・3勝。4歳秋から5歳春にかけての4連勝時は恐ろしいほど強く、日本馬初の国際クラシフィケーション1位の馬でもあります。種牡馬としてもダノンザキッド、マスターフェンサーと芝ダート兼用の種牡馬として活躍しています。
 母カウアイレーンは『ターコイズS』など5勝、『クイーンS』3着という戦績もあります。半兄のステイフーリッシュは『京都新聞杯』のほかにドバイとサウジで重賞を制覇。伯父には『安田記念』『スプリンターズS』に勝ったブラックホーク、伯母には『NHKマイルC』に勝ったピンクカメオがいる血統。
カウアイレーン産駒は未勝利を含めデビュー戦を7頭中5頭勝っているので、今後ステイフーリッシュのようになれるかどうか見守っていきたいですね。
 生産は千歳市の社台ファームです。

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今週の注目新馬『ノッキングポイント』

2022-06-05 21:57:28 | 競馬
 今年もこの季節がやってきました。
また新しい世代が来年のクラシックを目指して始動しました。サトノダイヤモンド、ミッキーロケット、サトノクラウンと開幕週に新種牡馬の産駒が3頭も勝ち上がる異例の事態ですが、開幕週で一番目を引いたのはその3頭の産駒ではなく2年前大きな期待をされながら当初はその期待を裏切ったモーリス産駒です。

 土曜日東京5レースの新馬戦(芝1600m)。1番人気に推されたのはノッキングポイント。筋肉質で目を引く馬体、血統背景、ルメール騎手ということもあって、競馬紙上の印よりも人気になっていました。僅差の2番人気はグローリーヴェイズの半弟にあたるエゾダイモン。3番人気は新種牡馬リアルスティール産駒のオールパルフェと続いていました。
 レースでは1枠から飛び出したオールパルフェが1000m通過が1.01.6というゆったりとした流れ。エゾダイモンは内の3番手、ノッキングポイントは外の5番手を追走。直線ではノッキングポイントが1頭だけ違う手ごたえで抜け出し、ノーステッキで2着オールパルフェに3馬身差をつけて圧勝。勝ち時計は1.35.3。
 父モーリスは日本と香港でG1・6勝。産駒も初年度から『スプリンターS』を勝ったピクシーナイトなどを輩出しましたが期待が高すぎたこともあり、いまいち評価されていません。母チェッキーノは『フローラS(G2)』など3勝し『優駿牝馬S』でも2着に入った名牝。故障がなければという声も大きかった馬です。祖母ハッピーパスは『京都牝馬S(G3)』など5勝。叔父に『東京スポーツ杯2歳S』のコディーノ、祖母の姉に『マイルCS』のシンコウラブリィなど活躍馬多数。生産は安平のノーザンファームさん。

 どちらかというと距離は短いところが向いてそうな血統構成ですが、レースセンスの高さとスケールの大きさで距離も克服してくれるかもしれません。

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今週の注目馬『トップキャスト』

2021-07-25 17:47:48 | 競馬
まとめて今週の分も更新です。

逃げ馬の圧勝は、スローペースのものが多いのですが、淀みのない流れで後続に脚を使わせての逃げ切りは、力の違いを見せつけた感じがして、素直に評価できます。

日曜日の函館5レースの新馬戦(芝1800m)。人気の中心はエピファネイア産駒のアリシアンやロードカナロア産駒のシンティレーションで、このレースの主役となるトップキャストは5番人気ながら8.6倍とそれなりの評価を受けていました。

レースでは、好スタートからトップキャストが先頭に立つのですが、1番人気のアリシアンが突くとかかり気味になり、1000m通過が1.00.2という新馬戦としては速い流れに。残り600mの地点ではトップキャスト以外は追いまくるカオスな展開となり、直線ではシンティレーション以外は全くついていけず、そのシンティレーションですら3馬身半の差をつけられ、トップキャスト圧巻の逃げ切り勝ちでした。勝ちタイム1.48.5はウィクトーリアのレコードにコンマ2秒の好タイム。しかも決して時計が出やすい馬場ではないだけに価値があります。

父はダイワメジャー。活躍馬のほとんどが大型馬であり、小さい部類に入る本馬が小さい馬での活躍馬となるのか見ものです。母トップライナーは不出走ですが、産駒に米G1『メイトリアークS』を勝ったスタービリング Star Billing 、祖母トゥザハント To the Hunt からは、『マザーグースS』など米G13勝のステラージェイン Stellar Jayne 、サンタマルガリータ招待Hなど米G1・2勝のスターラー Starrer がいる、牝馬に活躍馬が多い活力ある血統です。

同型馬がいる場合どうなるのか、瞬発力勝負になった場合どうなるのか、という不安要素はまだまだありますが、それを差し引いても面白い存在と言えます。

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