実はこの映画を見た後、友人とケーキバイキングに行く約束をしていました。「クローネンバーグ見てからスイーツなん食べれるのかおい」と突っ込んだそこのあなた、私を見くびっちゃいけませんよ、ふふふ…
舞台はロンドン。助産師のアンナ(ナオミ・ワッツ)が勤める病院に、妊娠中のロシア人少女が運び込まれた。少女は女の子を産み落とした後に死亡。アンナは少女が遺した日記を頼りに、彼女の身元を割り出そうとする。ロシア語で書かれた日記が読めなかったアンナにとって、手がかりになるのは日記に挟まれていたとあるロシアンレストランの名刺のみ。しかしそこはなんとロシアン・マフィア「法の泥棒」のアジトだった。
偶然店の前でアンナと知り合ったマフィアの運転手ニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)は、この件に関して深入りしないようにアンナに忠告する。しかし、冷酷なボスのセミオン(アーミン・ミューラー=スタール)はニコライにアンナと少女が産んだ赤ん坊の始末を命じ…。
映画「イースタン・プロミス」公式サイト
※ここから先はネタバレしまくりだよ!気をつけてね!!
過激な暴力描写については「ヒストリー・オブ・バイオレンス」で学習済みでしたが、今回ものっけからやってくれました。映画が始まる前に「蛇にピアス」の予告を見て「痛そ~!!」と身震いしたのですが、床屋のあの場面を見た後はもうピアッシングなんてどうってことないじゃん、と思うようになりました。まあ多分もう1回「蛇にピアス」の予告編見たら、やっぱり痛がって直視できないんでしょうけど。
映画のキャッチコピーや公式サイトのあらすじ紹介を読むと、ヴィゴ・モーテンセンとナオミ・ワッツの「禁じられた恋」がメインみたいにとれますが、実際に私がこの映画を見て印象に残ったのは、ナオミ・ワッツよりもマフィアの跡取りのキリルを演じたヴァンサン・カッセルのほうでした。ていうかヴィゴたんとカッセル、絡みすぎだよ。まさかこの映画に腐女子が喜ぶ要素があるとは思ってもみなかったですわ。でも散々悪いことやってるマフィアなのに、脆くて危うい面のあるキリルには私もがんがん惹きつけられました。まさかヴァンサン・カッセルがこんな演技するとはねぇ(ため息)。いままで“モニカ・ベルッチの旦那”としてしか認識してなかったことを激しく謝りたいくらい、この映画のカッセルには圧倒されました。まあ、ヴァンサン・カッセルがロシア人に見えるかどうかは置いとくとして(出てくるロシア関係者がことごとくロシア人じゃないというのがこの映画のすごいところ)。
ナオミ・ワッツ演じるアンナは一応ヒロインに位置づけされてますが、マフィアと関わりを持った割には特に危ない目にも遭わないし(それどころか病院で弱ってるニコライをどつき倒してるし)、出番も少なめなので横に置いときます。というかアンナってキリルどころか伯父のステパン(イエジー・スコリモフスキー)よりも影が薄かった気が…そもそもアンナが事件に巻き込まれたのって、ステパンが最初に指摘したとおり、“勝手に死体の持ち物(=日記)を持って帰ったから”なんだし。この時点でアンナ、伯父に完敗です。ちなみに公式サイトによると、ステパン役のイエジー・スコリモフスキーはポーランドの伝説的な監督だそうです。どうりで存在感あるはずだわー。
さて、公開前から話題になっていた“ヴィゴたんのサウナでの全裸ファイトシーン”ですが、せっかくの全裸なのに(←おい)、むき出しの素肌がナイフで切り裂かれる描写があまりに凄くて、まともに見てられませんでした。DVDが出たらレンタルしてチェックしたいと思います(←おいおい!)。しかし「ヒストリー・オブ~」もそうだったけど、相変わらずヴィゴたんは無敵だねー。あいかわらずアルウェンの呪い(守護ともいう)が効いてるのかな?
映画のラスト、アンナとニコライとキリム(と赤ん坊)のシーンも、アンナとニコライの「結ばれない2人の悲しい別れ」よりも、マフィアのボスである父親に認められない惨めなキリルと、彼を包み込むニコライの強さと優しさのほうが強烈に印象に残りました。ナオミ・ワッツの演技もよかったけど、今回は男優陣の存在感が強すぎて、いまいちぱっとしなかった気がします。
映画が始まる前は、年配のお客さん大丈夫かな~?と心配したけど、途中退場する人はいませんでした。マフィアのボスとその息子、有能で寡黙な部下という構図は日本の任侠映画みたいだな、に通じるものがあるから、案外受け入れられやすいのかな~??
タイトルの「イースタン・プロミス」とは、英国における東欧組織の人身売買契約のこと。なのに日本の宣伝コピーは「果たしたい約束がある。たとえ、あなたが何者であっても―」って…「ヒストリー・オブ・バイオレンス」の時もそうだったけど、なんか方向間違ってない??ラブロマンスと勘違いして見に来るのを期待してるのかな~。
…しかし、これと「グーグーだって猫である」を交互に上映するホールソレイユってすごいなぁ。ハシゴできないよ絶対。
こんにちは~
>劇場内の8割以上が腐女…もとい、ジョシ部の皆さんだったのにビックリしました。
そりゃすごいですねー。
上映中のジョシの皆さんの反応が気になります。
映画を見終わってから、腐女…もとい、ジョシ部の皆さんがどんな会話を繰り広げたのか…おそらく、私の感想に近いものなんでしょうけど。
>この映画で一番おいしい役
そうですねー。なんかイメージ変わりましたわ。
腐女…もとい、ジョシ部の皆さんからの支持も得られたんじゃないでしょうか(本人が喜ぶかどうかは別として)。
私はこの映画を神戸での初日に見に来きましたが、劇場内の8割以上が腐女…もとい、ジョシ部の皆さんだったのにビックリしました。
暗黒街の映画という以前にクローネンバーグの映画で腐女…もとい、ジョシ部の皆さんで満員なるなんて映画内の描写より衝撃を受けましたよ。
あ、ヴァンサン・カッセルは、この映画で一番おいしい役だったんじゃないでしょうか?