Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

映画「アナと雪の女王2」

2019-11-24 17:42:39 | 映画


前作が世界中で大ヒットしたディズニー映画「アナと雪の女王」の続編を、わけあって公開2日目に見てきました。
もともとは「ブライトバーン」という、スーパーヒーローの能力を持ってしまった少年がその力を使って人をバンバン殺していく映画を見る予定だったのですが、残念なことに公開2週目にして夜のみの上映になり、見ることができなくなってしまいました。ああ悲しい。

そういうわけで、「ブライトバーン」の主人公とは真逆の、自分の不思議な力を正しいことのために使う人が主人公の映画を見ることにしました。公開直後なので、字幕でも昼の上映があったので、字幕で。吹替版は、また次の機会に。

あらすじについては説明するまでもないですが、今回は雪と氷を操る不思議な力を持った姉・エルサと、不思議な力はないけど行動力はある妹・アナの姉妹が、アレンデール王国の危機を救うために旅に出る、というストーリーでした。これは主観なので、実際見たら「違うやんけ!」とお怒りになる方もいらっしゃるかもしれませんが、主観なのでご了承ください。エルサとアナ、雪だるまのオラフ、アナの恋人のクリストフの4人、それとトナカイのスヴェンは、霧に閉ざされた魔法の森に向かうのですが、そこで彼らが見たものは…。

映画の宣伝で「エルサの力の秘密が明かされる!」とか言うのを見た記憶があるのですが、映画の冒頭、姉妹の幼少期のシーンでその秘密とやらの正体が大体わかってしまい、「このまま秘密がどうたらこうたらをメインに話が進んだら退屈だろうなぁ」と心配したのですが、まあそこはそんなにしつこく引っ張らなかったのでよかったです。というかむしろ冒頭のシーンが何を言わんとしてるのかを観客が理解しているのを前提で話が進んでいるような気もしました。それはそれで手法として乱暴だと思いますけど。

続編なので、メインのキャラが前作から引き続き出るのは当たり前として、新しいキャラクターはどんなのが出てくるのだろうと期待して見に行ったのですが、一応新キャラはいるもののメインの4人に迫るほど重要なパートを占めるキャラはいなくて、がっかりするというより逆に潔いなぁと思いました。だからといってその分4人の関係性が掘り下げられたかと言われると、うーんってなるんですけどね。特にクリストフの扱いが。これは脚本がダメとかいうのではなく、最近のエンタメ作品の中で、クリストフのような“主人公の恋人”の立ち位置が変わってきているからこうなったんだろうなというのが私の感想です。女性が目的を達成するには、隣に男性がいないといけないわけではないと、この映画を見る子供たちに伝えたかったのかなー、とか。だからといってちょっと悪ノリが過ぎるんじゃないのという気もするんですが(ネタバレになるからこれ以上書けない)。映画では、アナとクリストフの恋愛関係はほぼおまけで、エルサとアナの姉妹のあり方のほうに重点が置かれてるのはわかってるんですけどねー。じゃあ姉妹だけ描けばいいのかというとそんなわけないので、難しいところですね。

映画の序盤で「年月は過ぎても変わらない」ことを強調する歌が歌われていたので、「ああこれから何かが劇的に変わるんだな」という予感はしていたのですが、最終的に「変わるものもあれば、変わらないものもある」て終わったので、さすがディズニー、上手く出来てるなと感心しました。大事なのは「何を変えるか、何を変えずにいるか」の選択なのだというメッセージなんだろうなと。いかにもアメリカ的ですが。できれば「変わってしまうものを受け入れる」も入れて欲しかったですが、贅沢ですかね。

映画を見ていて噴き出したのが、オラフによる前作の超ダイジェストな説明シーン。エルサが城を出て氷の城に閉じこもった理由が、“アナが初対面の男と結婚するとか言い出したから”というの、そういやそうだったと思い返して笑ってしまいました。それと、映画の後半で、あれだけ大ヒットした主題歌がエルサの黒歴史みたいな扱いを受けていたのもおかしかったです。吹替で見たらもっと笑えたかも。一瞬だけ出たハンスへの塩対応が、オラフの説明を補強してたのも、思い返すたびに笑いがこみあげます。

映像はとにかく圧倒的に美しくて、これを作るのにどれだけの時間と予算と技術とマンパワー(エンドロールの長いこと!)が必要だったんだろうと想像して、ふと朝ドラの「なつぞら」を思い出しました。映画に出てくる大自然の風景を見るだけでも、この映画は充分に価値があると思います。あと、ダムマニアの人にも見て欲しいかな。私はダムの知識がないからよくわからないけど、マニアの人がどんな感想を持つのか知りたいです。

ラストシーンがあまりにも美しく完結している(頭痛が痛いみたいな矛盾を感じる表現だけど、他に思いつかない)ので、おそらく続編はなさそうです。前作を見た後、「もし続編を作るならエルサにもパートナーができるのかな?」と危惧していたのですが、杞憂に終わってよかったです。

…まあ、車椅子に乗ったこっぱげと変なヘルメットかぶったおじさんがエルサのもとにやってくる続編なら大歓迎ですけどね!(アイスマンと能力が被るだろ)

前作で高らかに"Let It Go"を歌いながら一人で氷の城を築き上げたエルサの孤独が、今作のラストシーンでは昇華されていたのが胸に沁みました。興行成績は前作より落ちてるという噂があるけど、この続編があってよかったなと私は思います。

余談ですが、本編が始まる前に流れた「2分の1の魔法」の予告に、“ペットセマタリー的な結末じゃないだろうな?”と疑ったのは私だけかしら?もうすぐ「ドクター・スリープ」が公開だから、なんとなく脳内がスティーブン・キングづいちゃって、つい…。予告を見て「面白い!見に行こう!」とまでテンションは上がらなかったけど、これを見ればアメリカ社会が子供に伝えたい生命倫理がわかるのではないかと気になってます(どういう目線や)。

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