台風18号が日本列島にやってきたこの3連休、「上陸する前に行かねば!」と焦って、連休初日の16日に映画をまとめて3本見てきました。
田舎の映画館は、公開2週目を過ぎるとすぐレイトショーになったり上映終了したりするので、油断がならないのです。
今回見に行ったのは、「トリガール!」「散歩する侵略者」「ワンダーウーマン」の3本です。「散歩する侵略者」は、「三度目の殺人」とどっちを見るか迷ったのですが、前々日に見た「VS嵐」で、主演の松田龍平が「最後に愛が勝つ映画です」
と言ってたのが気になったので、「散歩する侵略者」のほうにしました。うん、やっぱり番宣って大事だね!
それでは、映画3本それぞれの感想。若干のネタバレがあるのでご注意下さい。
「トリガール!」
私の大好きな土屋太鳳ちゃん主演の、青春体育会系ムービーです。工業大学のキャンパスで、人力飛行機で鳥人間コンテストに挑戦するサークルにうっかり入ってしまったゆきな(太鳳ちゃん)は、人力飛行機のパイロットになるべく悪戦苦闘するが…。ひとつの目標に向かって、迷いながら突き進む若者たちの、友情あり恋あり笑いありのストーリーは、「ウォーターボーイズ」や「スイングガールズ」に通じるものがあって懐かしく思いました。私が太鳳ちゃんを好きになったのは「まれ」より前の「るろうに剣心」だったので、この映画では彼女がその身体能力をフル稼働する姿が見られてとてもうれしかったです。
ゆきなとコンビを組む、もう1人のパイロット・サカバ先輩を演じるのは間宮祥太朗。彼のことはドラマや映画でよく見るのですが、ヒロインの相手役で見るのは初めてだな~と思いきや、クライマックスでまさかの展開になったので、お腹を抱えて笑ってしまいました。ひと昔前、「ウォーターボーイズ」の頃なら、めでたしめでたしで終わっただろうにねぇ。原作があるから一概には言えないけど、時代は変わったんだねぇ。ゆきなならサカバ先輩が雨の日に震える子犬を拾って抱きしめてても、トクン…とか全然ならないだろうしねぇ。いやはや、なんて素敵なヒロインなんだ。2人が居酒屋で激しく言い争うシーンは、うっとりしながら見ちゃいました。
大学のサークル、TBT(Team Bird Trial)の面々は、人数は多いけど、ゆきなとサカバ、部長の圭とゆきなの友人の和美、矢本悠馬演じる古沢以外はほぼモブで、あとはOBの役で芸人のナダルが出ていたくらいで登場人物はごちゃごちゃしてませんでした。それを物足りないと思うか楽でいいと思うか、意見が分かれそうですが。ナダルはゆきなにサカバの過去を教えたり、軽いツッコミを入れたりするだけで、ストーリーには絡んでこないのですが、イラッとして鼻につく人はいそうです。役自体は、大学サークルのOBのあるあるを凝縮したような人だと思ったので、不要だとも邪魔だとも思いませんでした。じゃあ誰が演じればよかったのかと考えても、いまひとつ思いつきませんが。いなかったらいなかったで、話がもたつきそうだし。
OBの存在だけでなく、セリフもなかったメガネ女子が実は部長と内緒でつき合ってて、それを知ったサークルの男たちがショックを受けるというのが大学のサークルの恋愛事情あるあるで、自分の大学の頃を思い出して懐かしかったです。と同時に古傷をえぐられて吐血しそうにもなりました。がはぁ!逆に、女子が少ない工業大学で、同じ女子なのに、主人公のゆきながサークル内で全然ちやほやされないのは気持ちよかったです。ゆきなの友人の和美がモテないのは納得がいかないけど。かわいすぎると逆にモテないってことなのかな?
映画を見る前は、ゆきなとサカバ先輩は鳥人間コンテストが終わる頃にはいい感じになるのかな…と予想してたんだけど、外れてよかったです。2人でイヤホン半分こして音楽聞くとか、少女漫画みたいなムズキュン描写の意味が最後に全部ひっくり返って、いっそ清々しく感じました。やっぱ音楽の趣味が合わない人と付き合うのは無理だもんねぇ。2回目に「SECRET BASE」が流れた時、ゆきなは「またこれかよ」って思ってたんだろうなぁ。
興行的には厳しいかな?と思いますが、今まで見たことない間宮祥太朗と、ずっと見たかった太鳳ちゃんが見られて私的には満足でした。太鳳ちゃんにはこういう元気が爆発している役が似合うので、誰か香港に売り込んで太鳳ちゃん主演でアクションコメディを作ってもらってください。お願いします。
「散歩する侵略者」
宇宙人に体を乗っ取られた夫・真治(松田龍平)と、その妻・鳴海(長澤まさみ)。宇宙人は人間の持つさまざまな「概念」を奪い、地球を侵略しようとしていた。体を乗っ取られたのは、真治の他にも2人、天野(高杉真宙)とあきら(恒松祐里)という2人の若者がいた。ジャーナリストの桜井(長谷川博己)は彼らと行動を共にするが…。
地球を侵略するために「概念」を奪うというのは斬新だなと思いましたが、たった3人で集められるサンプルなんてしれてるし人それぞれ「概念」は違うしで、SFとしてはいろいろツッコミどころが多かったです。原作が舞台作品だから、映画にしたことで齟齬が生まれたのかもしれませんね。舞台も見てみたいけど、できるかしら。
途中、激しいアクションシーンも少しはあるものの、侵略者たちは地球人から、家族や仕事、所有といったものの「概念」を淡々と奪うだけなので、中盤少し退屈しました。2本続けて見てるからというのもありますが。おかげで、映画の内容よりも、普段から浮世離れした雰囲気漂う松田龍平が「僕は宇宙人なんだ」とカミングアウトされて「やっぱりそうだったの」と納得出来たり、ハセヒロが「自衛隊に取材できない」とか「警察組織が云々」とか言うと某怪獣映画とか某警察ドラマとか思い出したり、そういうことが気になって思考が脱線しそうになりました。ただ、真治から愛の概念を問われる神父役の東出昌大が、出てきた途端に噴き出しそうになるほど破壊力があったので、つい「もしこの映画がものすごくつまらなくなっても、この東出君で充分元は取れたな」と満足してしまいそうになりました。いや、あの東出君はほんとすごかった…。見る前に飲み物買わなくてよかった…もし飲みながら見てたら、確実に大惨事を起こしてたもの。
真治は神父から愛の概念を奪おうと思っていたのですが、神父の説明を聞いてもわからなくて、結局奪えませんでした。宇宙人に勝つとは、さすが東出君です。もしかすると、あの神父の中には愛の概念なんて存在してないのかもしれませんが。いや、その方が納得できる。愛がなくても生き生きしている人を演じられるなんて、さすが東出君!このまま黒沢清作品のレギュラーになってくれ!次は香川照之と対決して、心が昆虫な人VS心がない人の対決を繰り広げてくれ!
映画のラストは、松田龍平が言ってた通り「最後に愛は勝つ」でした。まあ、鳴海という妻がありながら出張と称して会社の女の子と旅行に行く真治への鳴海の愛というのがどういうものなのか、なかなか理解に苦しむのですが…てか、鳴海が持ってたのは、宇宙人に乗っ取られる前の真治じゃなくて、乗っ取られてからの真治への愛だったのかな?
ハセヒロ演じる桜井は、いつもと比べるとマトモな役だなと思っていたのですが、最後に結局チャオみたいになってました。そうならないといけないと規約に書いてあるのでしょうか。それにしても、ロケットランチャーとか無人列車爆弾とか、なぜ私が映画で見るハセヒロはいつも何かをぶっ放しているんだろう…。
この映画の長澤まさみは、「長澤まさみ史上もっとも美しい」と絶賛している人がいましたが、確かにとてもきれいでした。長澤まさみが妻でも浮気する夫がいるなんて、信じられません。宇宙人に乗っ取られる前の真治がどんな奴だったのか、知りたかったです。あんまり変わらなかったりして。
「ワンダーウーマン」
最後は、公開前にムビチケを買ってあった「ワンダーウーマン」。

特典のこれ目当てでムビチケを買ったのですが、せっかく買ったのだから映画も見ないといけません。なかなかタイミングが合わなくて、見に行ける時間帯の字幕上映がなくなってしまいました。吹替は字幕を追わなくていいから楽な面もありますが、聞き取りにくいこともあるので一長一短です。
さて、SNSで割と評判がよかったので、少し期待して見たのですが、この日3本目だったせいなのかそれ以外の理由なのか、思ったよりノレませんでした。女性が戦う、女性が活躍する映画だと思って見たけど、敵と戦う女性はワンダーウーマンことダイアナだけで(ストーリー上当たり前だけど)
、ギリシャ神話では節操のない女好きで多方面に迷惑かけてるあのゼウスがなんかいい人みたいな扱いになっていたので、モヤモヤしました。こういうことが引っかかる当たり、自分の器の小ささを実感するのですが、仕方ありません。
女だけの島、女戦士アマゾン族の島で育ったダイアナは、世界のこと、自分たち以外の人のことを書物でしか知らず、世間知らずてちょっと天然ぽいところがあって、まるで朝ドラのヒロインみたいでした。見た人の感想に「ローマの休日」っぽいというのもありましたが、確かにそんな感じもしました。アン王女戦わないけど。クリス・パイン演じる二重スパイのスティーブは、グレゴリー・ペック演じる記者みたいだったかと言われると…ゲフンゲフン。スティーブのお仲間たちは秘書の女性を含めてキャラが立ってて素敵でした。女性の出番が少ないのがもったいなかったです。
敵役は、ドイツの将校と彼のもとで毒ガス開発をすすめる女性研究者…かと思いきやラスボスはまさかのルーピン先生!(めっちゃネタバレやがな)闇の魔術を研究するうちに、自らも闇に囚われてしまったのでしょうか?一応ラスボスなのでクライマックスでダイアナと激しいバトルを繰り広げたり見せ場はあるのですが、個人的にはダイアナが敵とみなして戦う男たちよりも、仮面のマッドサイエンティスト、マル博士のほうが印象に残りました。作中、何度も強調される男尊女卑社会の中で、女性のマル博士がどういった立場にいて、どんな考えを持っていたのか…。パーティーでスティーブが、樹法を得るためにマル博士に近づいた時の、恥じらうように目を伏せた彼女の表情、その後スティーブがダイアナに目を奪われたと誤解した時の、怒りと落胆の混じった表情。こういった機微を描かれているのはいいなと思ったのですが、それ以上の掘り下げがなかったのは残念でした。正義の王女ダイアナと、闇に住むマル博士の対比がもっとあればよかったのにと。
基本アクション映画なのにテンポがよくなかったのは、シリーズ1作目で物語世界の説明に尺を取られたからでしょうか。でも次は時代が一気に進むだろうから、また説明が必要になるんじゃないのかな。
次はバットマンと共に戦う「ジャスティス・リーグ」です。私のエズラ・ミラーも出るので、とても楽しみですが、予備知識がなさ過ぎて映画が理解できるかどうか心配です。。。
しかし、振り返ってみると3本中2本に高杉真宙が出てて、1本目と2本目はタフな女性が空を飛んでる映画だった…。朝ドラヒロインという意味でも被ってるっちゃ被ってるし。
「三度目の殺人」は次回に持ち越し。「新感線 ファイナル・エクスプレス」をもう1回見たいけど、さすがにもう無理かなー?
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