4 ミーター、教えてくなれい。たまにあなた、ニヤニヤして、思い出しているようで、そうやってボオッとしてることが多いわね。ちゃんとその理由はわかってますけどね。取りあえず、聞いてみようとして。
わたし、こう見えても心理スキャン備え付け最新鋭イルミネショナーですから、あなた、顔がなくても、ちゃんとわかるんですからね。
何が最新鋭だって? 4年前のあの事件じゃ、こっちはもう停止寸前だったんたぜ。お陰で熱いお湯に浸かったり、こんな時間の無駄になってるんだ!
あれは、しょうがなかったのよ。あれは宇宙潮流のデータがターミナスのデータではもう古くなっていたのよ。今ではシウェナや、カルガンの航宙技術の方が進んでいるんですから。あっ、いけない。またカルガンって口走ってしまったわ。ミーター!ミーター!また思い出しているのね。やっぱりアルカディアのことねぇ!
「ミーター、今日のちょうど50年前の夜から初まったのよね! ちょうど今日よね! 行くわね! 『追憶の鍵を開けて』の続編やっと書けるわ。何しろ今まで公務で必死だったんですから。ベイタおばあちゃんのカルガンの話から100年目ですよね!
トントントン。
なによ、ミーター、聞いているの?」
「アルカディアお嬢様、ちゃんと聞いてますよ。
お嬢様、窓に何か当たったみたいですよ。
どうしたんですか?お嬢様、突然階段から降りて行って。危ないですよ、もう歳なんですから。」
「アンソーアさん。そうだと思った。ちゃんと一階の玄関の鍵を開けたわ。ようこそ我が家へ。今はこの家、ミーターと二人だけですけど。お入りになって。アンソーア。二階の窓に木枝を当てたのがあなただってすぐわかったわ。あなたも大事な公務を終えたのですね。
お入りになる前に、あなたがターミナスの人間かどうか、確かめられたら、どうぞお入りになって。」
「アルカディア、久しぶり!
歌えるよ。あれから毎日、『我らは銀河の子』の練習は、欠かさなかったからね。
ニュートンから歩いて来たんだ。途中、夕方からずっと以前のお宅のラベンダー畑にいたんだ。あの薫りで、もう一度昔の僕に戻れたような気分だよ。
今回はちゃんと一階の玄関からお邪魔しましたよ。玄関の鍵を開けてくれてありがとう、アルカディア!」
ねぇ、ミーター! 寝ているような、泣いてるような!
イルミナ、もし僕が人間だったら「泣いている」と思うよ。
ところで、あの奇跡のベイタさんの思い出のカルガンまで、どこくらいだい。
アルカディアの遺言の一つなんだからね。
https://youtu.be/_HXT5wSN4VA
yatcha john s. 『ミーターの大冒険』 オーロラへ 4 「アルカディア 追憶の鍵を開けて① 」