■□入賞句/11月20日-11月26日

2006-11-28 23:59:11 | 入賞発表
■高橋正子選
【最優秀】
★柿すだれ空の青さに明るさに/堀佐夜子
干柿にするため、軒にずらりと剥いた柿が干されている。柿すだれという。青空に映えて辺りが一度に明るくなる。「青さに明るさに」の畳みかけの明るさは、作者の気持の明るさでもある。(高橋正子)

【特選/5句】
★美しき人参の赤江戸料理/碇 英一
何気ない人参の赤い色であるが、江戸料理の小粋な彩りとなって、美しいと思わせてくれる。(高橋正子)

★桜紅葉乾きて句帳を零れけり/古田けいじ
きれいな桜紅葉を拾って句帳に挟んでおいたのが、日にちが経って乾いて軽くなり、句帳を持ち出したときに、はらりと零れ落ちた。その零れ具合もいい風趣。(高橋正子)

★諸霊祭胸骨縦に割られけり/おくだみのる
胸骨を縦に割られる大手術をされた作者であるが、自身が医者でおられるので、冷静に受け止められている。諸霊祭は、キリスト教の行事で11月2日に行われる。(高橋正子)

★脱稿をこの日と決めし一葉忌/かわなますみ
「一葉忌」に託す思いが知れる。ここを踏ん張って脱稿にこぎつけようという意思の強さが、一葉に通じるようだ。(高橋正子)

★星流る瀬戸吊橋に連なる灯/小河原銑二
瀬戸大橋の形に灯が灯り、その空を星が流れる美しい夜空が詠まれている。(高橋正子)

【入選Ⅰ/20句】
★樹の中を落ちる黄葉に朝日射す/池田加代子
「樹の中」を落ちる「黄葉」だ。「樹の中」にあって、朝日の「黄葉」は、見事な発見だ。(高橋信之)

★新鮮な泥葱束ねて持ち帰る/大山 凉
「泥葱」が「新鮮」なのだ。生活の強さだ。(高橋信之)

★人参の焼菓子しっとり銀紙に/小川美和
銀紙に包まれた焼き菓子の食感の良さ、香ばしさに手作りの味わい深いあたたかさが伝わります。 (藤田洋子)

★枯葉散る日差しと風の交叉して/大給圭泉
散っていく枯葉ですが、交叉する日差しと風に生かされて最後のきらめきを感じます。(池田多津子)

★山裾のすすき明るく枯れゆけり/甲斐ひさこ
最後の輝きを「白く」ではなく「明るく」と表現したのが共感を覚え、人生も明るく輝いて散りたいと思うのが世の常であると思います。 ( 清水清正)

★冬林檎剥けば真白が息づきぬ/中村光声
林檎自体が剥けば白いが、冬ということで更に白さが際立つ感じがします。 (辻 保宏)

★葉の散りて空きりきりと晴れ上がる/小西 宏
落葉の後、裸木を透けて冬の青空がこの上なく美しくみえてきます。「空きりきりと」の表現が素敵で惹かれました。(甲斐ひさこ)

★冬の灯を点けて一番電車くる/おおにしひろし
つい最近まで、朝陽の中を来ていた始発。冬に入り、未だ明けぬ路を走る一番電車からは、その灯りが、沁み入るように届きます。 (かわな ますみ)

★外つ国に吾子よ勤労感謝の日/志賀たいじ
「今日は勤労感謝の日、外国で働いているご子息のことを感慨深く、愛しんでいる素敵な詩だと思います。リズムも素敵です」(小口泰與)

★冥王星落ちて冬田の真暗がり/野田ゆたか
「冥王星」と「真暗がり」がいいです。大きさのある不思議な魅力のある句。 (多田有花)

★その上に天守と空を冬紅葉/藤田洋子
松山城の冬景色を詠まれたと思います。松山城を懐かしく思い出して居ります。とても好きな句です。 (堀佐夜子)

★それぞれの柿の重さを吊しゆく/池田多津子
重量の異なる柿を吊るしてゆく。干す形態は色々あるが、2個を一組にしているのでしょうか。上手い具合に日が当たるように2個の高さを少しながら吊るすのでしょうか。 (古田けいじ)

★布団干す真青な朝の空あれば/松原恵美子
日に干すとふっくら暖かくなる布団。冬の澄んだ朝の日差しが目に浮かぶ。日常がしっかりと詠み込まれていて好きな句です。(野田ゆたか)

★りんご箱開けて数個を机上へと/祝 恵子
りんごのイメージが、限りなく膨らみ、好きな句です。(渋谷 洋介)

★暖房の周りの家族五角形/高橋秀之
冬の夜の、家族団欒が、なんとも楽しく伝わってきました。暖房という季語が、大きく息づいていると思いました。 (あみもとひろこ)

★冬もみじ山裾までも色尽し/藤田裕子
今年の紅葉は少し遅れたようですが、さいたまも今が盛りです。山裾まで紅葉で染まった状景はそれは美しいことでしょう。 (大山 凉)

★観覧車枯木立ぬけ冬空へ/あみもとひろこ
★彫り深き山より生まる北颪/小口泰與
★木枯らしにセーヌの浪の高かりし/友田 修
★えのころも薄も荻も枯れし野に/多田有花

【入選Ⅱ/31句】
★冬銀河君は佳き人待つくにへ/渋谷洋介
鎮魂の心が溢れている。冬の夜空に輝く銀河は、銀河鉄道のイメージも重なってこの句を引き締めている。(高橋正道)

★鐘撞きて湖東三山秋くるる/吉川豊子
紅葉で賑わっている昼間の湖東三山でなく、暮れようとしている静かなお山を詠まれたのに感じ入りました。(黒谷光子)

★庭先に葱を植ゑけり市立つ日/阿部 昭
葱を植えるという行為にささやかな生産の喜びも感じられると同時に、日常の行為に必ず付随する淋しさもあり、読み手によって両方に取れ、句に振幅の広がりが感じられます。下五がさらに意味を深めていると思いました。(齋藤良一)

★鉛筆の匂い懐かし冬灯下/今村七栄
冬の灯りの下に流れているゆっくりとした時間がいい。何かを書き始めようとする時のうきうきした感じが、久しぶりに触れる鉛筆の香りに上手に表現されていると思います。 (安藤かじか)

★帰り花中の一輪陽をまとう/篠木 睦
★大根の袋斜めにまだ余り/臼井虹玉
★皇居なる大き遺産や番鴛鴦/安丸てつじ
★朝寒やおんなの面の頬白し/児島浩平
★庄内の干大根厳重梱包で着く/宮島千生
★赤かぶの高々干され輝けり/松本和代
★落葉散る風音高き母の忌日/清水清正
★切り方で大根の味さまざまに/平田 弘
★初咲きの山茶花真っ白触れてみる/竹内よよぎ
★水鳥の水曳きてゆく夕暮れに/丸山草子
★白足袋の干されし軒の花八手/齋藤良一
★峠越え初冬の青き風に遇う/尾 弦
★冠雪の富士の耀き新幹線/黒谷光子
★谷深く木々を擽りつつ落葉/安藤かじか
★桜紅葉きれいな一葉拾いけり/岩本康子
★ぱらぱらと音成す竹や冬の径/かつらたろう
★斜め日を浴びて小鳥は枝の中/河野渓太
★おはようと枯葉集める隣近所/辻 保宏
★富士を背に日差し輝く懸大根/鈴木誠子
★新しき靴の弾力石蕗の花/黒沼風鈴子
★食卓を囲み勤労感謝の日/國武光雄
★下校する少女ら弾む冬日のなかへ/野仁志 水音
★外仕事する男らの焚火なり/村井紀久子
★お隣へまわす回覧息白し/飯島治蝶
★紅葉の空より近き所から/松本豊香
★酒そそぐほうれん草の鍋しゃぶに/高橋正道
★夕暮れの空を狭めて雁の竿/澤井 渥

■□好きな句(互選5句)/11月20日-11月26日

2006-11-27 03:29:49 | 互選
互選高点句(11月20日-11月26日投句分)最終結果

57名の方々から57句の投句があり、互選締め切りまでに49名が互選に参加されました。
(内:ブログ句会54名投句、46名互選、自由な投句箱:3名投句、3名互選)
以下、11月20日-11月26日投句分の互選最終結果です。同点は投句者名五十音順となっています。

【最高点/22点】
◎冬の灯を点けて一番電車くる/おおにしひろし
【次点/18点】
○それぞれの柿の重さを吊しゆく/池田多津子
【16点】
○枯葉散る日差しと風の交叉して/大給圭泉
【13点】
○脱稿をこの日と決めし一葉忌/かわなますみ
【12点/同点2句】
○その上に天守と空を冬紅葉/藤田洋子
○柿すだれ空の青さに明るさに/堀佐夜子
【10点/同点2句】
○葉の散りて空きりきりと晴れ上がる/小西 宏
○帰り花中の一輪陽をまとう/篠木 睦
【9点】
○鐘撞きて湖東三山秋くるる/吉川豊子
【7点/同点6句】
○鉛筆の匂い懐かし冬灯下/今村七栄
○山裾のすすき明るく枯れゆけり/甲斐ひさこ
○白足袋の干されし軒の花八手/齋藤良一
○冬もみじ山裾までも色尽し/藤田裕子
○桜紅葉乾きて句帳を零れけり/古田けいじ
○布団干す真青な朝の空あれば/松原恵美子
【6点/同点3句】
○美しき人参の赤江戸料理/碇 英一
○暖房の周りの家族五角形/高橋秀之
○冥王星落ちて冬田の真暗がり/野田ゆたか
【5点/同点2句】
○外つ国に吾子よ勤労感謝の日/志賀たいじ
○冬林檎剥けば真白が息づきぬ/中村光声

すべて1点として集計しています。集計は終了しましたが、互選をされていない方は、
引き続き互選をよろしくお願いいたします。互選をいただきますと、作者は、喜ばれます。
(集計/臼井虹玉)


■好きな句(互選)/11月20日-11月26日
□好きな句(互選)を下の<コメント>にお書き込みください。
①下記の<投句一覧57句/11月20日-11月26日>の中から選んでください。
②好きな句(互選)を5句選んでください。もっとも好きな句1句にコメントも付けてください。
③11月27日の午前0時から11月29日の午前0時までに書き込んでください。

■投句一覧/57名1人1句(高橋信之抽出)
★美しき人参の赤江戸料理/碇 英一
★桜紅葉乾きて句帳を零れけり/古田けいじ
★冬の灯を点けて一番電車くる/おおにしひろし
★外つ国に吾子よ勤労感謝の日/志賀たいじ
★帰り花中の一輪陽をまとう/篠木 睦
★冥王星落ちて冬田の真暗がり/野田ゆたか
★その上に天守と空を冬紅葉/藤田洋子
★大根の袋斜めにまだ余り/臼井虹玉
★それぞれの柿の重さを吊しゆく/池田多津子
★人参の焼菓子しっとり銀紙に/小川美和
★枯葉散る日差しと風の交叉して/大給圭泉
★皇居なる大き遺産や番鴛鴦/安丸てつじ
★布団干す真青な朝の空あれば/松原恵美子
★朝寒やおんなの面の頬白し/児島浩平
★庄内の干大根厳重梱包で着く/宮島千生
★赤かぶの高々干され輝けり/松本和代
★りんご箱開けて数個を机上へと/祝 恵子
★山裾のすすき明るく枯れゆけり/甲斐ひさこ
★彫り深き山より生まる北颪/小口泰與
★諸霊祭胸骨縦に割られけり/おくだみのる
★暖房の周りの家族五角形/高橋秀之
★落葉散る風音高き母の忌日/清水清正
★外仕事する男らの焚火なり/村井紀久子
★木枯らしにセーヌの浪の高かりし/友田 修
★冬もみじ山裾までも色尽し/藤田裕子
★柿すだれ空の青さに明るさに/堀佐夜子
★切り方で大根の味さまざまに/平田 弘
★初咲きの山茶花真っ白触れてみる/竹内よよぎ
★水鳥の水曳きてゆく夕暮れに/丸山草子
★白足袋の干されし軒の花八手/齋藤良一
★峠越え初冬の青き風に遇う/尾 弦
★新鮮な泥葱束ねて持ち帰る/大山 凉
★冠雪の富士の耀き新幹線/黒谷光子
★脱稿をこの日と決めし一葉忌/かわなますみ
★谷深く木々を擽りつつ落葉/安藤かじか
★桜紅葉きれいな一葉拾いけり/岩本康子
★冬林檎剥けば真白が息づきぬ/中村光声
★ぱらぱらと音成す竹や冬の径/かつらたろう
★観覧車枯木立ぬけ冬空へ/あみもとひろこ
★鉛筆の匂い懐かし冬灯下/今村七栄
★斜め日を浴びて小鳥は枝の中/河野渓太
★おはようと枯葉集める隣近所/辻 保宏
★星流る瀬戸吊橋に連なる灯/小河原銑二
★富士を背に日差し輝く懸大根/鈴木誠子
★葉の散りて空きりきりと晴れ上がる/小西 宏
★えのころも薄も荻も枯れし野に/多田有花
★夕暮れの空を狭めて雁の竿/澤井 渥
★新しき靴の弾力石蕗の花/黒沼風鈴子
★樹の中を落ちる黄葉に朝日射す/池田加代子
★食卓を囲み勤労感謝の日/國武光雄
★紅葉の空より近き所から/松本豊香
★庭先に葱を植ゑけり市立つ日/阿部 昭
★下校する少女ら弾む冬日のなかへ/野仁志 水音
★お隣へまわす回覧息白し/飯島治蝶
★酒そそぐほうれん草の鍋しゃぶに/高橋正道
★冬銀河君は佳き人待つくにへ/渋谷洋介
★鐘撞きて湖東三山秋くるる/吉川豊子

■□入賞句/11月13日-11月19日

2006-11-22 11:34:37 | 入賞発表
■高橋正子選
【最優秀】
★初氷陽に煌めいて陽に消える/志賀たいじ
初氷は、まだ儚い。朝日に煌いていたかと思うと、その陽に溶かされて消えてしまった。初氷の繊細な美しさが詠まれた。(高橋正子)

【特選/5句】
★畦抜けて白菜ずしり背負い来し/甲斐ひさこ
収穫した白菜のみずみずしい重みが、「ずしり背負い来し」にある。(高橋正子)

★包丁に白菜からの水こぼれ/古田けいじ
白菜を切ると、白菜からほとばしり出た水が包丁についたという。白菜の清冽さがよく詠まれた。(高橋正子)

★冬紅葉うえに真青な空ありて/多田有花
冬紅葉のころの空は、何もなく、すっきりとした青空である。秋の空よりも、心に沁みるような青さを持ってくる。冬紅葉との対比が明快。(高橋正子)

★しぐれ雲より冷えゆきぬ京都駅/野田ゆたか
京都の底冷えはどこから始まるかと言えば、空のあるしぐれ雲から。京都駅に降り立ち、たちまちに京の冷えを実感したのだろう。(高橋正子)

★時雨るるや銃先覆う猟師たり/児島浩平(添削)
猟期にはいった猟師は、銃の先を覆い山に入ろうとしている。時雨れてもなおである。男性的な力強い句。一句に「や」「かな」の切れ字が二つあるのは、いけないので添削した。(高橋正子)

【入選Ⅰ/20句】
★短日の茜の空の遠くあり/碇 英一
大きな景色と懐かしいものがこみ上げて来る句で好きです。ありがとう御座います。 (鈴木誠子)

★甘蔗(きび)の穂や道まっすぐに見える海/下地鉄
海を正面に望む道、そして色づく黍畑。未だ見たことのない南国の景色が、広々と浮かびます。(かわな ますみ)

★高きより鳥の声降る銀杏黄葉/大山 凉
黄葉した銀杏の木より鳥の声が降ってくる。大きな銀杏の木の上には青い空が広がり、秋の深まりを感じます。 (池田多津子)

★切り株に冬田をしかと見つけたり/堀佐夜子
冬の暖かい陽射しを切り株に感じた発見が楽しい。 (丸山草子)

★少女像石のひたいに冬日満つ/かわなますみ
初冬の空気にさらされ、次第に冷たさの増しつつある石像です。冬日がその少女のつややかな額をほのかに暖め、聡明さと若々しさを照らし出しています。(小西 宏)

★ぎんなんの爆ぜてさみどり広がりぬ/池田多津子
ぎんなんを炒ったときのようすが、とてもよく伝わってきます。次々と爆ぜて香ばしく、中の実は本当にきれいですね。爆ぜる音と広がるさみどりが何ともいえません。 (小川美和)

★真っ黒な土盛られたる冬の畑/今村七栄
荒涼とした冬の畑に、どっしりと大きく盛られた土の存在感がひきたっています。 (安藤かじか)

★母からの野菜に混じる冬すみれ/松原恵美子
宅急便でしょうか 愛情が感じられます。 (児島 浩平)

★午後五時の空蒼かりき冬はじめ/小川美和
午後五時が暮れているかそうでないかが冬だと実感す る確かな時。空がまだ蒼いのに暦は冬。冬はじめの感慨に共感しました。 (碇 英一)

★穭田に吹きぬけし風青々と/大給圭泉
★山の上の町並み蒼し今朝の冬/安丸てつじ
★マフラーの少女ら笑うこと多き/野仁志水音
★紅葉谷分け入る先の水清し/竹内よよぎ
★きっちりと友より届く寒たまご/丸山草子
★採りし菜を積みその上に葱少し/黒谷光子
★黄落の道がつづきて遠嶺まで/中村光声
★語り部の民話ききし七五三/篠木睦
★山茶花のこぼれるばかりに澄める空/三島宏友
★冬薔薇の赤い蕾が陽の向きに/吉田 晃
★鴨飛び立つ黄の水かきの水叩き/あみもとひろこ

【入選Ⅱ/31句】
★人生は長いマラソン氷雨降る/おおにしひろし
季語がとてもよく効いていて深い思いがありながら何か心のつよさを感じさせます。 (篠木 睦)

★黄葉の木の上にある空清し/藤田裕子
一枚の絵を見ているような句で好きな句です。きっと銀杏黄葉でしょうね。銀杏の黄と空の青、すっきりとした素敵な句ですね。 (堀佐夜子)

★駅に立つ枯葉の匂う母の郷/鈴木誠子
駅前にあるのは欅か櫻か銀杏と想像しますが、同じ落ち葉でも都会と田舎では匂いが違うことは私も時々感じています。視感だけだと表現がオ-バ-になりがちですが、臭感も加えたすばらしさがあると思います。(清水清正)

★傾くをなお傾けて尾花枯る/藤田洋子
枯れ尾花の凄ましい姿がリアルに描かれ、優れた日 本画を観ている気がします。 (岩本康子)

★酒提げて鰤起し鳴る故郷へ/宮島千生
鰤起こしは富山、金澤あたりの日本海の冬の雷。鰤漁の豊漁を知らせるサインである。そんな故里へ酒を土産の里帰りか。寒々とした日本海の冬。そんな家にいる親元へ帰るのでしょうか。懐かしい気持ちを思い起こさせる句。 (古田けいじ)

★かそけき音たて納まる骨壷の冷え/渋谷洋介
死の悲しさとむなしさが胸に伝わります。 (おくだみのる)

★秋の色高く広くと欅立ち/河野渓太
変わった作法の句だと思い、注目した。景色も大きい。(おおにしひろし)

★小春日やジャズにはずみし菓子倉庫/小口 泰與
軽快なジャズに合わせて菓子倉庫で作業しておられる作者でしょうか。小春日が効いて楽しげな様子が伺えます。 (今村七栄)

★チャップリンの笑いとペーソス秋の夜/岩本康子
昭和一桁族には泣きたくなるような感興がある。テレビやDVDでこうして昔の名画が見れ る時代。幸福と言って良いのかなあ。 (安丸てつじ)

★ポップコーン頬張る子供に紅葉散る/小河原銑二
ポップコーンを口いっぱいににしてる風景が目に浮かびます。 (辻 保宏)

★一カ所の紅葉は池を明るくし/祝恵子
★暮れゆける光あつめて松葉散る/尾 弦
★木の実落つ手術室に運ばれぬ/おくだみのる
★一枚の毛布を横に並び寝る/高橋秀之
★この海の向こうは紀の国冬日没る/高橋正道
★冬眠に熊の子育つ穴の中/平田 弘
★小春日や幼片言のわらべ歌/飯島治蝶
★落葉踏む奥に釈迦堂切り通し/村井紀久子
★輪になりて散りて落葉の駆け回る/安藤かじか
★大根の糠漬け酢漬け浅漬けに/松本和代
★幼子に歩み合わせて暮早し/上島笑子
★強く締めマフラー直す待ち場所で/辻 保宏
★右上手取ればどよめき九州場所/國武光雄
★水仙の芽のひょっこりと二つ出る/松本豊香
★飲食街の裏は線路で時雨です/齋藤良一
★冬帽子きねん切手を買う列に/阿部 昭
★秋蝶の空かるがると一人占め/とくのあけみ
★冬暁に雁の一列北方(きたかた)へ/かつらたろう
★ブロンズの錆青くして冬薔薇/小西 宏
★柿簾分けて挨拶交わす村/清水清正
★しぐるるや頭の上に雲はなし/澤井 渥

■□好きな句(互選5句)/11月13日-11月19日

2006-11-21 19:58:45 | 互選
互選高点句(11月13日-11月19日投句分)最終結果

57名の方々から投句があり、互選締め切り時間までに38名が互選に参加されました。(内:ブログ句会51名投句、36名互選、自由な投句箱:6名投句、2名互選)
以下、11月13日-11月19日投句分の互選最終結果です。同点は投句者名五十音順となっています。

【最高点/20点】
◎初氷陽に煌めいて陽に消える/志賀たいじ
【次点/15点】
○少女像石のひたいに冬日満つ/かわなますみ
【13点】
○しぐれ雲より冷えゆきぬ京都駅/野田ゆたか
【11点】
○高きより鳥の声降る銀杏黄葉/大山 凉
【9点】
○ぎんなんの爆ぜてさみどり広がりぬ/池田多津子
【8点】
○短日の茜の空の遠くあり/碇 英一
【6点/同点3句】
○畦抜けて白菜ずしり背負い来し/甲斐ひさこ
○傾くをなお傾けて尾花枯る/藤田洋子
○母からの野菜に混じる冬すみれ/松原恵美子
【5点/同点3句】
○人生は長いマラソン氷雨降る/おおにしひろし
○甘蔗の穂や道まっすぐに見える海/下地 鉄
○駅に立つ枯葉の匂ふ母の郷/鈴木誠子
【4点/同点5句】
○真っ黒な土盛られたる冬の畑/今村七栄
○ひつじ田に吹きぬけし風青々と/大給圭泉
○マフラーの少女ら笑うこと多き/野仁志水音
○切り株に冬田をしかと見つけたり/堀佐夜子
○山の上の町並み蒼し今朝の冬/安丸てつじ

すべて1点として集計しています。集計は終了しましたが、互選をされていない方は、引き続き互選をよろしくお願いいたします。互選をいただきますと、作者は、喜ばれます。
(集計/臼井虹玉)

■好きな句(互選)/11月13日-11月19日
□好きな句(互選)を下の<コメント>にお書き込みください。
①下記の<投句一覧57句/11月13日-11月19日>の中から選んでください。
②好きな句(互選)を5句選んでください。もっとも好きな句1句にコメントも付けてください。
③11月20日の午後8時から11月22日の午前0時までに書き込んでください。

■投句一覧/57名1人1句(高橋信之抽出)
★短日の茜の空の遠くあり/碇 英一
★人生は長いマラソン氷雨降る/おおにしひろし
★初氷陽に煌めいて陽に消える/志賀たいじ
★高きより鳥の声降る銀杏黄葉/大山 凉
★しぐれ雲より冷えゆきぬ京都駅/野田ゆたか
★冬帽子きねん切手を買う列に/阿部 昭
★柿簾分けて挨拶交わす村/清水清正
★傾くをなお傾けて尾花枯る/藤田洋子
★かそけき音たて納まる骨壷の冷え/渋谷洋介
★午後五時の空蒼かりき冬はじめ/小川美和
★鴨飛び立つ黄の水かきの水叩き/あみもとひろこ
★穭田に吹きぬけし風青々と/大給圭泉
★山の上の町並み蒼し今朝の冬/安丸てつじ
★母からの野菜に混じる冬すみれ/松原恵美子
★一カ所の紅葉は池を明るくし/祝恵子
★暮れゆける光あつめて松葉散る/尾 弦
★畦抜けて白菜ずしり背負い来し/甲斐ひさこ
★小春日やジャズにはずみし菓子倉庫/小口 泰與
★木の実落つ手術室に運ばれぬ/おくだみのる
★マフラーの少女ら笑うこと多き/野仁志 水音
★一枚の毛布を横に並び寝る/高橋秀之
★黄葉の木の上にある空清し/藤田裕子
★切り株に冬田をしかと見つけたり/堀佐夜子
★冬眠に熊の子育つ穴の中/平田 弘
★小春日や幼片言のわらべ歌/飯島治蝶
★酒提げて鰤起し鳴る故郷へ/宮島千生
★落ち葉踏む奥に釈迦堂切り通し/村井紀久子
★紅葉谷分け入る先の水清し/竹内よよぎ
★きっちりと友より届く寒たまご/丸山草子
★ぎんなんの爆ぜてさみどり広がりぬ/池田多津子
★採りし菜を積みその上に葱少し/黒谷光子
★少女像石のひたいに冬日満つ/かわなますみ
★輪になりて散りて落葉の駆け回る/安藤かじか
★大根の糠漬け酢漬け浅漬けに/松本和代
★チャップリンの笑いとペーソス秋の夜/岩本康子
★黄落の道がつづきて遠嶺まで/中村光声
★包丁に白菜からの水こぼれ/古田けいじ
★真っ黒な土盛られたる冬の畑/今村七栄
★幼子に歩み合わせて暮早し/上島笑子
★秋の色高く広くと欅立ち/河野渓太
★強く締めマフラー直す待ち場所で/辻 保宏
★ポップコーン頬張る子供に紅葉散る/小河原銑二
★この海の向こうは紀の国冬日没る/高橋正道
★駅に立つ枯葉の匂ふ母の郷/鈴木誠子
★語り部の民話ききし七五三/篠木睦
★右上手取ればどよめき九州場所/國武光雄
★水仙の芽のひょっこりと二つ出る/松本豊香
★時雨るや銃先覆う猟師かな/児島浩平
★山茶花のこぼれるばかりに澄める空/三島宏友
★飲食街の裏は線路で時雨です/齋藤良一
★秋蝶の空かるがると一人占め/とくのあけみ
★冬薔薇の赤い蕾が陽の向きに/吉田 晃
★冬暁に雁の一列北方(きたかた)へ/かつらたろう
★冬紅葉うえに真青な空ありて/多田有花
★しぐるるや頭の上に雲はなし/澤井  渥
★ブロンズの錆青くして冬薔薇/小西 宏
★甘蔗(きび)の穂や道まっすぐに見える海/下地鉄

※互選の方法が変更されましたので、ご注意ください。<自由な投句箱/旧デイリー句会>の方も参加しております。
※正子先生の入選句発表は、互選が終わってからになります。

■□好きな句(互選)/11月6日-11月12日

2006-11-15 22:07:20 | 互選
■現在の最高点/14点
★初雪はひんやり水の匂いして/志賀たいじ

▼コメント
とても淡い初雪。水の匂いという表現が素敵です。(飯島治蝶)
初雪を迎えた複雑な作者の心境が、優しい詠い方のなかにみてとれます。(中村光声)
初雪を手のひらに受けとめて、その冷たさに、これからの長い冬をあれこれ考えている作者がとても素敵ですね。また、とてもリズムの良い詩だと思います。(小口泰與)
初雪は冷たい空気と一緒に水の匂いがしたと言う繊細な感覚に感動いたします。(今村七栄)
手や顔に触れる初雪の感触、ひんやり、ふんわり、見る間に溶けいくさまに水の匂いを感じられた。素敵な句ですね。(祝 恵子)
掌に受けた初雪のすぐに溶けてしまう冷たい感触を「水の匂い」と感じられた美しい句と思います。(黒谷光子)
いよいよ本格的な冬の到来なのですが、今年初めて降る雪を快く優しく受け止められて、「水の匂い」の初雪がとても新鮮に感じられました。(藤田洋子)
手の上に受けた淡い初雪の感触を美しく詠まれています。溶けてゆく初雪を「水の匂い」と感じられたのが素敵です。(藤田裕子)
ひんやりと触れた初雪は小さく水と消え、微かな水の匂いをのこしてくれました。冬初めの様子が良く伝わるお句だと思います。(甲斐ひさこ)
ふんわりと落ちる雪は、天からの季節の挨拶なのでしょう。それを感じとると、どんな冬になるのかとイメージが湧いてくるような気がします。印象に残る句です。(高橋正道)
静かに降った初雪、ふんわり掌に受け止めたら、消えてしまった。優しさのある句と思います。(松原恵美子)
初雪の風情と、北国のこれからむかうであろう冬の厳しさがうまく詠まれていると思いました。雪の季節の予兆と覚悟のようなものに共感を覚えました。(尾崎 弦)
長い冬が今始まろうとしている。季節の確かな変わり目を志賀様が強く感じていらっしゃるのが伝わってきます。(上島笑子)
季節の変わり目を素敵に表現されていると思います。(村井紀久子)

■現在の次点/10点
★南天の実と実の触れていて眩し/藤田洋子

▼コメント
つやつやと光る南天の赤が鮮やかに見えてきます。(安藤かじか)
真紅の南天の実の輝く様子が、過不足なく見事に写されて、好きな句です。(渋谷洋介)
南天の赤い実に注がれる作者のまなざしが、あたたかく豊かに伝わってきて好きな句です。(小川美和)
しなやかな南天の、実が触れあって輝いている。とっても素敵な景が浮かんできます。(松本和代)
南天の実が、お互いに触れ合って、赤く輝いている景が、鮮やかに目に浮かぶようです。(あみもとひろこ)
南天の赤と、その輝きが、目の前で見ているように鮮やかに思い浮かびます。(臼井虹玉)
鮮やかな季感を感じさせる句ですね。(篠木 睦)
南天の実がたわわに、触れ合う赤い粒の輝やきの景が、鮮やかに目に浮かびます。「実と実の触れていて」に句の心地よい温もりを感じます。(志賀たいじ)
南天の鮮やかな充実がダイナミックに見えてきます。「実と実の触れていて」を実感します。(宮地ゆうこ)
色付いて南天の実がたくさん触れ合って、温かい雰囲気が伝わってきます。(高橋秀之)

(11月21日集計/臼井虹玉)


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