■入賞発表
□高橋正子選
●7月22日(日)~7月31日(火)
【最優秀】
★奔放に土手の朝顔白と青/甲斐ひさこ
朝顔は、家庭で栽培されて楽しむのが一般的だが、種でも零れたのであろうか、土手に奔放に蔓が伸びて、白と青の花を咲かせている。その逞しいまでのみずみずしい色に、涼しさをもらう。(高橋正子)
【特選/5句】
★夏シャツを真白く濯ぐ水の匂い/池田加代子
夏は冷たい水を使うので、洗濯もたのしい。白いシャツを水が澄むまで濯いでいると、水の匂いがしてくる。澄んだ水の心地よさが、洗濯を通してたのしく伝わってくる。(高橋正子)
★蜻蛉の風を捉えて羽透けり/吉田晃
蜻蛉が風に羽を張り詰めて飛ぶ様子が目に見える。風になったように透明な蜻蛉の羽が涼しげである。(高橋正子)
★雷雨すぎ野は広やかによみがえる/小川美和
雷雨の間は、野は雷雨に消されていたが、雷雨が過ぎると、野が洗われて、それまで以上に生きいきとしてくる。それを「よみがえる」とした。「広やかに」に作者の心情がでている。(高橋正子)
★角とれて青柿日々に太りゆく/井上治代
柿の花が落ち、実をつけたばかりの青柿は、花と同じように、四角に角張っている。いつの間にか角が取れて、日々太ってゆく様子が見える。その姿を日々眺めると、すがすがしい思いになる。(高橋正子)
★きちきちを追うて着きたり祖父の墓/かわなますみ
祖父の墓は、草のある道を辿って着くのだろう。きちきちが、行く手をキチキチと飛んで、案内をするよう。それを少年のように追いかけてゆく面白さがある。きちきちは祖父のお使いかもしれない。(高橋正子)
【入選Ⅰ/15句】
★一斉に翔ちて影濃き夏野かな/志賀たいじ
光りがあふれる夏野に、翔び立った鳥達の濃い影が映った。夏野のみどりに生まれる、ひかりの溢れる緑の明るさ、影となった緑の深さが対照されて、ひろびろとした北海道の景色が浮かぶ。(高橋正子)
★一色を描き加えたる夏見舞/まえかわをとじ
夏見舞いの葉書だろうか、一色が置かれて、すずしそうだ。一色を加えて、お見舞いするその気持に、すずしさをもらう。(高橋正子)
★それぞれの草のなびくや露涼し/松本和代
明け方でしょうか・・・色々の名もない草が朝風に揺れている、露が下りてきらきら光っている。それだけでも涼しさが、十分に伝わります。旨く、まとまって、素晴らしい寸景です。(おおにしひろし)
★百日紅今日はひときわ空青し/かつらたろう
真っ青な空に紅色の百日紅、美しい光景が浮かびます。(黒谷光子)
★風に乗りとんぼ入りくる木の家に/藤田裕子
風とともに入るとんぼもまた木造の家も、とても涼やかで、夏の暑さの中、一抹のこころよい涼味を感じさせてくれるようです。 (藤田洋子)
★合歓咲くや坂東太郎満々と/小口泰與
大きな川の流れを見下ろすように咲く合歓の花。やさしい合歓の花と大きな流れに、ゆったりとした気持ちになります。 (池田多津子)
★全天は青く果てなく梅を干す/あみもとひろこ
梅雨明けの真青な空が広がり、心が晴れ晴れとする。その空の下に、一つ一つ丁寧に梅が干されます。きっと豊かな光の甘い味の梅干ができるでしょう。(吉田 晃)
★山の水音して風来る夏座敷/古田けいじ
山奥の澄んだせせらぎの音、爽やかな風が通る宿の夏座敷、ゆったりとくつろぐ山の宿の一夜の心豊かな情景が伝わってきます。(大山 凉)
★母に一枝手向けし沙羅の花真白/おおにしひろし
★一湾に子等の声して遠花火/篠木 睦
★青栗のころころ零れ通学路/湯澤まさえ
★もっと日の高くなれ今日プールの日/小西宏(信之添削)
★「癌です」と告げらる夜の短さよ/尾 弦
★浜木綿に夜の海鳴りせまりくる/しまづやすひろ
★片蔭に蝶の出入りの眩しさよ/藤田荘二
【入選Ⅱ/32句】
★旅人となり手折りたる青胡桃/中村光声
★切り通し越えれば明る合歓の花/大給圭泉
★日焼の子飛び込み上がる水飛沫/飯島治蝶
★先急ぐさまの揚羽の森に消ゆ/臼井虹玉
★風抜ける場所を平らにテント張る/野仁志水音
★向日葵の咲き初め似合う空が欲し/黒谷光子
★打水の風入れ今日の始まりに/藤田洋子
★渓流を上り大きな滝に会う/池田多津子
★火箸いま風鈴となり澄む風に/多田有花
★糠床に茄子を寝かせて今日終える/松原恵美子
★夕涼し楕円形した月を見る/堀佐夜子
★夏の寺豊かな森の風を受け/祝 恵子
★一斉に蝉鳴き出してはたと終わる/岩本康子
★軒先の蟻の行列一直線/高橋秀之
★梅雨空に青き機体の旋回す/上島笑子
★飛沫散るプールの笑いは光の中/碇 英一
★茗荷の子両手に余りお隣へ/渋谷洋介
★父と娘の大の字に寝る夏座敷/大山 凉
★剪定の音サクサクと夏の雲/河野渓太
★古びたる竪坑櫓や雲の峰/國武光雄
★虚子詠みし和布刈の海や月涼し/高橋正道
★夏空や白き風車のゆったりと/いなゆきの
★論文を書きあげし後の冷そうめん/おくだみのる
★海の音涼しく旅の本の中/笠間淳子
★ぴかぴかととれたての茄子届けらる/丸山草子
★一輪車の子の奔放に梅雨の明け/安藤かじか
★手を繋ぎ日焼けし姉妹角曲がる/宮島千生
★袖通す浴衣ののりもきいており/辻 保宏
★梅雨の中百万石の鬼瓦/吉川豊子
★葉の先の雫に朝日梅雨明ける/小河原銑二
★梅雨明けに納戸の窓を開け放し小河原宏子
★稗の穂の青田を越して出ておりぬ/澤井渥
□高橋正子選
●7月22日(日)~7月31日(火)
【最優秀】
★奔放に土手の朝顔白と青/甲斐ひさこ
朝顔は、家庭で栽培されて楽しむのが一般的だが、種でも零れたのであろうか、土手に奔放に蔓が伸びて、白と青の花を咲かせている。その逞しいまでのみずみずしい色に、涼しさをもらう。(高橋正子)
【特選/5句】
★夏シャツを真白く濯ぐ水の匂い/池田加代子
夏は冷たい水を使うので、洗濯もたのしい。白いシャツを水が澄むまで濯いでいると、水の匂いがしてくる。澄んだ水の心地よさが、洗濯を通してたのしく伝わってくる。(高橋正子)
★蜻蛉の風を捉えて羽透けり/吉田晃
蜻蛉が風に羽を張り詰めて飛ぶ様子が目に見える。風になったように透明な蜻蛉の羽が涼しげである。(高橋正子)
★雷雨すぎ野は広やかによみがえる/小川美和
雷雨の間は、野は雷雨に消されていたが、雷雨が過ぎると、野が洗われて、それまで以上に生きいきとしてくる。それを「よみがえる」とした。「広やかに」に作者の心情がでている。(高橋正子)
★角とれて青柿日々に太りゆく/井上治代
柿の花が落ち、実をつけたばかりの青柿は、花と同じように、四角に角張っている。いつの間にか角が取れて、日々太ってゆく様子が見える。その姿を日々眺めると、すがすがしい思いになる。(高橋正子)
★きちきちを追うて着きたり祖父の墓/かわなますみ
祖父の墓は、草のある道を辿って着くのだろう。きちきちが、行く手をキチキチと飛んで、案内をするよう。それを少年のように追いかけてゆく面白さがある。きちきちは祖父のお使いかもしれない。(高橋正子)
【入選Ⅰ/15句】
★一斉に翔ちて影濃き夏野かな/志賀たいじ
光りがあふれる夏野に、翔び立った鳥達の濃い影が映った。夏野のみどりに生まれる、ひかりの溢れる緑の明るさ、影となった緑の深さが対照されて、ひろびろとした北海道の景色が浮かぶ。(高橋正子)
★一色を描き加えたる夏見舞/まえかわをとじ
夏見舞いの葉書だろうか、一色が置かれて、すずしそうだ。一色を加えて、お見舞いするその気持に、すずしさをもらう。(高橋正子)
★それぞれの草のなびくや露涼し/松本和代
明け方でしょうか・・・色々の名もない草が朝風に揺れている、露が下りてきらきら光っている。それだけでも涼しさが、十分に伝わります。旨く、まとまって、素晴らしい寸景です。(おおにしひろし)
★百日紅今日はひときわ空青し/かつらたろう
真っ青な空に紅色の百日紅、美しい光景が浮かびます。(黒谷光子)
★風に乗りとんぼ入りくる木の家に/藤田裕子
風とともに入るとんぼもまた木造の家も、とても涼やかで、夏の暑さの中、一抹のこころよい涼味を感じさせてくれるようです。 (藤田洋子)
★合歓咲くや坂東太郎満々と/小口泰與
大きな川の流れを見下ろすように咲く合歓の花。やさしい合歓の花と大きな流れに、ゆったりとした気持ちになります。 (池田多津子)
★全天は青く果てなく梅を干す/あみもとひろこ
梅雨明けの真青な空が広がり、心が晴れ晴れとする。その空の下に、一つ一つ丁寧に梅が干されます。きっと豊かな光の甘い味の梅干ができるでしょう。(吉田 晃)
★山の水音して風来る夏座敷/古田けいじ
山奥の澄んだせせらぎの音、爽やかな風が通る宿の夏座敷、ゆったりとくつろぐ山の宿の一夜の心豊かな情景が伝わってきます。(大山 凉)
★母に一枝手向けし沙羅の花真白/おおにしひろし
★一湾に子等の声して遠花火/篠木 睦
★青栗のころころ零れ通学路/湯澤まさえ
★もっと日の高くなれ今日プールの日/小西宏(信之添削)
★「癌です」と告げらる夜の短さよ/尾 弦
★浜木綿に夜の海鳴りせまりくる/しまづやすひろ
★片蔭に蝶の出入りの眩しさよ/藤田荘二
【入選Ⅱ/32句】
★旅人となり手折りたる青胡桃/中村光声
★切り通し越えれば明る合歓の花/大給圭泉
★日焼の子飛び込み上がる水飛沫/飯島治蝶
★先急ぐさまの揚羽の森に消ゆ/臼井虹玉
★風抜ける場所を平らにテント張る/野仁志水音
★向日葵の咲き初め似合う空が欲し/黒谷光子
★打水の風入れ今日の始まりに/藤田洋子
★渓流を上り大きな滝に会う/池田多津子
★火箸いま風鈴となり澄む風に/多田有花
★糠床に茄子を寝かせて今日終える/松原恵美子
★夕涼し楕円形した月を見る/堀佐夜子
★夏の寺豊かな森の風を受け/祝 恵子
★一斉に蝉鳴き出してはたと終わる/岩本康子
★軒先の蟻の行列一直線/高橋秀之
★梅雨空に青き機体の旋回す/上島笑子
★飛沫散るプールの笑いは光の中/碇 英一
★茗荷の子両手に余りお隣へ/渋谷洋介
★父と娘の大の字に寝る夏座敷/大山 凉
★剪定の音サクサクと夏の雲/河野渓太
★古びたる竪坑櫓や雲の峰/國武光雄
★虚子詠みし和布刈の海や月涼し/高橋正道
★夏空や白き風車のゆったりと/いなゆきの
★論文を書きあげし後の冷そうめん/おくだみのる
★海の音涼しく旅の本の中/笠間淳子
★ぴかぴかととれたての茄子届けらる/丸山草子
★一輪車の子の奔放に梅雨の明け/安藤かじか
★手を繋ぎ日焼けし姉妹角曲がる/宮島千生
★袖通す浴衣ののりもきいており/辻 保宏
★梅雨の中百万石の鬼瓦/吉川豊子
★葉の先の雫に朝日梅雨明ける/小河原銑二
★梅雨明けに納戸の窓を開け放し小河原宏子
★稗の穂の青田を越して出ておりぬ/澤井渥