「朝日文庫」の「現代俳句の世界8」「加藤楸邨」編を読む。その序文を安東次男さん(故人)が書いておられるが、そのなかに猿投の茶碗を楸邨に贈った返礼の手紙が紹介されている。猿投と言えばわが疎開先愛知県西加茂郡猿投村に違いない。猿投の麦のことを松本たかしが詠んでいる。懐かしさがこみあげてくる。楸邨は「ホトトギス」に対抗する水原秋桜子の「馬酔木」系の俳人。「人間探求」派と言われる。けったいな派やなあと思うが花鳥諷詠を第一に説く子規派に飽き足らず革新的な俳句を探求した。
傷兵の生きて目に見る青蜜柑/天の川戦争を忘れゐしにあらず/蟇誰かものいへ声かぎり。ぼくが猿投村の柿畑でリュックを背負った兵隊さん(帰還兵)に台風のあとに落ちた柿を渡したことを思い出す。兵隊さんから5円か6円のお金をもらって母親に渡すとこっぴどく叱られた。ためらったがお金を受け取った意思の薄弱な子だった。
賞味期限分からず生きる楸邨忌 昇龍子
この坂をいつまで漕げる楸邨忌 同
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ノーやん

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