【型で俳句を】(第二型を学ぶ)
さて第二型は、中七を「や」で切り、下五に五音の季語を置く。
例句
越後屋に衣さく音や / 更衣 其角
この句は、ほとんどの歳時記に掲載されておりますので、第一型の典型的な其角の句 名月や畳の上に松の影 とともに人口に膾炙されています。
さて上掲の 越後屋に衣さく音や更衣 の句に関しては、以下、主宰著
『型で俳句を』から引用させていただきます。
「ところが、蕉門十哲に数えられる森川許六は『かやうの今めかしき物を取出して発句にする事、以ての外』と『俳諧問答』で非難しているのですから、
江戸時代に於いても其角を理解できる人は少なかったのではないでしょうか。
『今めかしき物』とは目新しい俗な素材ということでしょう。新興都市江戸を詠んだご当地ソングだ、くだらんと許六には思えたのかも知れません」と。
中略・・・・
そして
「さて、この第二型の基本は、まず十二音で呟き、中七を『や』で切り、
下五に五音の季語を置いて完結させます。
草花を画く日課や / 秋に入る 正岡子規
下駄買うて箪笥の上や / 年の暮 永井荷風
貝の名に鳥やさくらや / 光悦忌 上田五千石
中略・・・
この第二型は、下五に季語を置くだけなので、基本五型の中では最も作り
やすい型です。凄い句を作ろうとは思わず『改装の店のチラシや / 夏浅し』
と日記のように、時候の季語に日常眼に触れた何でもない物を取り合わせて作ってみましょう。」・・・・・
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それではわたくしの処女句集『樹木葬』から拾ってみます。
肩越しのまた肩越しや三社祭
自転車に油差す日や冬初め
赤鳥居くぐる低さや冬至の日
押し花の褪せた栞や年惜しむ
折鶴に息吹き込むや日脚伸ぶ
※全句247句中、もうちょっとあるかなと思いましたが5句のみでした。
次回は『詩あきんど』40号より拾って、鑑賞いたします。
中村修さん「生まれる」
伊勢原大山 「松鈴庵」庵主
相原秀樹氏作品
たまあじさい・みずひき しゅうめいぎく・とさみずき・
竹花入れ・板敷 もう秋がそこまで