【岡潔の思想】３０１「１９６９年の質疑応答」精神分裂症

【岡潔の思想】３０１「１９６９年の質疑応答」

【精神分裂症】

（岡) あなた、「懐かしさ」ありますか。仏教で平等性智という。平等性智が大宇宙を支えてるという。平等性智とは何かといえば、「懐かしさ」のことですよ。

　精神分裂症っていうのがあるでしょう。ボヤーッとする！(笑) 「懐かしさ」が足りない。前世に利己的過ぎる。ただボヤーとする！それが「懐かしさ」です。

　だから利己主義であっちゃあ駄目なんです。「懐かしさ」が足りなくなる。わかりますか。治りませんよ、あんな者ちょっと。

前世でひどく利己的だった。それで初めから、粘土でいえばサクサクした粘土。それで、あるところへきて破綻が出る。そしたらボヤーッとする！まとまらない。

「懐かしさ」って言葉でいったって内容わからんでしょう。それを知らなきゃいかん。ひとは1個の有機体と普通いってますが、1つの「もの」でしょう。何故、1つの「もの」にまとまってるのかと思わないといけない。「懐かしさ」です。仏教は平等性智という。足りないと精神が分裂する。

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横山賢二さんの解説が読めます

🔶岡潔講演録（１７）：【２２】精神分裂症 (okakiyoshi-ken.jp)

※典比古

　岡さんは無差別智の一つである「平等性智」を「懐かしさ」のことであると述べています。そして「何故、1つの「もの」にまとまってるのかと思わないといけない。「懐かしさ」です。」と。

　ここは３８兆個あるといわれている全細胞が、どうして一つの「もの」にまとまっているのか・・・また、昨日の自分は、またしても今日の自分であるのだろうか」・・・ここは最大の不思議というか疑問でもあるのですが、岡さんはそれを「懐かしさ」という一言で述べています。

　なんだか「凄い」ことを述べていますが、ほのぼのとわかるような気がしています。

　とにもかくにも岡さんの著書はすべて座右の書ですが、とくに『岡潔集　第四巻』（学習研究社・昭和４４年５月）には「弁栄上人の教えのエッセンス」だけに絞って「無差別智」に言及しています。

　そして「万物は心のすがた」というタイトルで、この無差別智の四智のことについて述べておられます箇所は圧巻です！もうここだけ読めば「仏教」がわかってしまうくらいの叡智が鏤められています。

　このブログに２０２１年８月２・４日の２回にわたり記事にしております。

🔷【岡潔の思２１想】７（無差別智　其の１　） - 【岡潔の思想】 (goo.ne.jp)

🔷【岡潔の思想】８（無差別智　其の２） - 【岡潔の思想】 (goo.ne.jp)

　横山さんは解説の最後に於いて「岡は次のようにいっている。『生まれたばかりの赤ん坊は人を見れば人が懐かしく、音楽を聞けば音楽が懐かしく、天井を見れば天井が懐かしい』と。人は生まれた時、既にそうなのである。だから人は生まれてから「懐かしさ」を身につけるのではなく、逆に「懐かしさの世界」から生まれてくるといっても過言ではないのである。」と。