あぁ。なんで。
ついに動かなくなってしまった。
およそ21年前。
私の誕生日に初めてもらったもの。
光を当てると、頷くようにゆっくり首を動かすマスコット。
まだ出会ってそれ程でもなかったけど。
大したものじゃないけれど、と言って。
どんな時も、近くに居てくれる気がして。
私はその最初の贈り物をずっと大事にしていた。
21年もの間。
例え彼女が居なくなっても。
ずっと頷き続けていた。
今日、動かなくなった。
受光部か、回路か。
直そうと思えば直せるだろう。
こんなものをいつまでも大切にしているなんて。
自分でもよく分からない。
でも何度引っ越しても、住む部屋が変わっても、いつも部屋で頷き続けていた。
こいつも告げているのかもしれない。
終わりを迎えるのだと。
明日、お墓にお供えしよう。
あいつも喜んでくれるかもしれない。
長い間、ささやかなひだまりをありがとう。
最後の仕事に向けて、また一つ区切りがついたのかもしれない。