彼らは笑う

いつも夢の中で彼らは楽しそうに笑う。
楽しそうに話している。
私はそれが何故だか分からない。

いつも何かを話しかけてくれる。
私はそれが何の事だか分からない。

いつも違う場所で顔を向けてくれる。
私にはそれが何処だか分からない。

いつもこっちにいるよ、と言っている気がする。
私にはどちらか分からない。

ただ、彼らはいつも笑っている。
今度聞いてみよう。

どうして笑っているのか。
彼らの家族を聞いたら、何と答えるのか。

喪失感

ずっと消えないものの一つ。
多分、これからも。
抱えたまま。

泣いてくれる人

久しぶりにこの話を人にした。

ずっと私の話を黙ってただ聞き。

何を言う訳でもなく。

ただ、涙を流してくれた。

家族でもないのに。
友人、でもない。

「少しでも早く、元気になって楽しそうな君が戻るといいね」

そう言ってくれた。

あぁ。
私はまだ、私の事で泣いてくれる人が居るんだ、と。
「大丈夫、貴方の味方だよ」
そう言ってもらった気がして。

色々な人が私を支えてくれた。
涙を流してくれた。

少しだけ、救われた日だった。

いい夫婦の日

いいご夫婦だなぁ、そういう人達を知っている。
少し前までは、自分もそうかなと思っていた。

今は、なんだか羨ましいな、と思う。

私も、そういう人が居たんだ。
きっとそうだったのに。

話そうと思った

今日話そうと思った。
最近のこと、家族のこと、この１年をどう過ごしたのかを。

話そうと思った。
でも実現できなくて、別の誰かに。


日付が変わった。
今日はいい夫婦の日。
去年の今日は、いい夫婦の日だね、なんて希望的な話をしたっけ。
素気ない返事だった。
最初のいい夫婦の日は、出かけた事をブログにしてたっけ。
辛いこと思い出しちゃったな。

探し物と伝えたいこと

最初に予想した通り。
やっぱり1年経つ位では何も変わらなかった。
この１年、考えたり思い出したりしなかった日は１日たりともなかった。
どこかに救い、というか意味のある答えがあると思って。

結果、どこを探しても見つからなかった。
必死に探して、頭使って考えたけれど。
時間が止まっている感覚なのに、時は過ぎていって。
何かをすら気力すら無くし、こうして文章を書いているだけ。
でもそうしてどれだけ吐露した所で、何も。

私の日常、毎日は大きく変わった後、何も変わり映えのないものになった。

私は今でも妻を探している。
一度でいいから、「妻」と話がしたい。
私が何故失わなければならなかったのか。
詭弁や嘘でなく、納得のできる答えが欲しい。
そう思ってしまう。そんなものあるかどうかも分からないのに。

私はこれからも変わらないと思う。
ずっと妻の事を考え、妻を想って。
多分過去に生きているのだろう。
そして、それをこうして吐露する事だけが唯一妻への想いを証明できること。
自分に対して。自分に証明して、安堵を得ている。

自分決めた事は必ずやる。
私は今までそうしてきた。
そうして決まった事はあと一つ。一つしかない。
もう新しく決める事が思い浮かばない。

「妻へ」
どこかで元気にやっていますか。
私の事を覚えていますか。
私と過ごした日々を覚えていますか。
ふとした時に私の事を思い出したりしますか。

私は元気でやっています、と言いたい所だけど。
やっぱりこんな調子です。
私は貴女との日々を毎日思い返しています。
自分を忘れないように。


私は最後まで信じています。そうしたいから。
どこかに貴女が生きていて、いつかまた。
いつかまた、あの頃のように会話できると。
どこかで元気にやっていて、心配しないで、と言っている貴女を。
最後まで信じています。


私の事を覚えていますか。
貴女を思う夫が、どこかにいること。
忘れないでください。
私はここにいます。いつも、ここにいます。

誓い

誓い、とは大事な約束のこと。
相手に対する約束であることはもちろん。
自分に向けても約束するものだと思う。
最も重要で、深い約束。

私が誓ったことはこれまででひとつだけ。
生涯、妻を愛すること。
生涯をかけて。

他社との約束、という意味では叶わないのかもしれない。
ただ、自分との約束はそれとは無関係だ。
私は残りの生涯をかけて、妻を想い続ける。
例え、側に居られなくても。
例え、自分と引き換えであっても。
例え、妻の存在がこの世界から消え去っていたとしても。

誓い。

生半可な想いではないのだから。

あぁ

やばいやばい。
どうしよ。あー

子供

彼らは自分達の子供達のような存在だった。

それぞれ個性があって、一緒に居るのが当たり前だった。

1人は特に甘えん坊で、そこがとても可愛かった。

「のりくーん」

いつもそう言って甘えてくれた。

「地震とかあったら絶対一緒に助けてね」
「おでかけ連れてってー」
「生まれ変わったら飛行機になって、のりくんを乗せてあげるー」

毎日話していた。
日々の会話が今でも浮かび、忘れた事はない。

大事な家族。
彼らもそう言ってくれた。

夢で姿を見せてくれるけれど。
会いたいな。
話したいな。

お前達が居ないと、お前達も居ないと、とても寂しいよ。
いつかまた一緒にお出かけしよう。

願い

この一年。体調の許す限り色々な場所を巡った。
今日もそうだったけれど。

思い出の場所。
そうする時、一緒に行ったつもりになって指輪をはめて行く。
愚かに思うけれど、そうしたかったから。

私は未だに受け入れられず、願っているのかもしれない。
どこかで彼女が生きているんじゃないか。
まだ彼女の欠片が残っているんじゃないか。
そうあって欲しいと。

思いつく限り全ての場所を巡ってみようと思う。
遠くても。


私の持っている〇〇は3つ。
どれも救いのないもの。
それはあまりにも辛すぎるから。

時間目一杯まで確かめる。
本当に何もない、残っていないのかを。
届いて欲しい願いを。
偽りや嘘がないのかを。
そして。
自分が生きているのか、確かめにいくんだ。